アメリカ人との効率的なコミュニケーションの秘訣

アメリカ人との効率的なコミュニケーションの秘訣


 アメリカ人は合理的かつ時間の無駄を嫌う傾向がある。例えばミーティングを行う場合でも、彼らは“自分にとって有意義である”ことを優先する。そのため、その内容がいかに彼らにとって重要か、利用価値があるものかどうか等を見極めてから、はじめて相手とのアポイントに応じるか否かを決定するのである。

 日本の場合は、どうしても知人を介した紹介や、「まあまあ飯でも〜」という感覚が強い。そのため、「まずは膝と膝を合わせて話をする」、「とりあえず会ってから話は聞く」的な流れになりがちだが、アメリカの場合はビジネスの場において、まずそのような日本的な感覚はない。例えば相手と仕事のミーティングをセットアップする際に、日本的に「まずは食事でもしながら」と誘ったとする。たいていの場合、「飯を一緒に食ったところで、ビジネスや物事に何の意味があるのか?」と聞かれるがオチだ。

 では、どのようにして効率よくコミュニケーションを図るのがいいのだろうか? アメリカ人は、とにかくダイレクトであるということを忘れてはならないだろう。日本人がアメリカ人に対して何かを交渉する際、「ビジネスなのにアポイントが取れない」、「連絡したのに一向に返事が無い」、「ミーティングを行う約束まで辿り着けない」という問題や壁にブチ当たることが非常に多い。アメリカ人にはダイレクトに交渉するべき、ということを念頭に置けば、その悩みの多くは解決できる。最初から、彼らが「その仕事のために時間を費やす利点」が見える内容でコンタクトをすればいいのである。日本人ではない彼らは、「今の自分に関係ないこと」に対しては、一分たりとも時間を費やそうとはしない傾向が非常に強いからだ。

 また、アメリカでは、オンライン上のコミュニケーションのみで、ビジネスが回っているという事実もある。多くの場合、オンライン上のやりとりで9割以上詰めるべき内容が決まってから、はじめて当人同士が会うという流れが一般的だ。そのため、誰かの紹介がなくても、双方のメリットが確認できる取引には積極的だし、ソーシャル・ネットワークの「Linked in」などは会ったことのないビジネス・プロフェッショナルのバックグラウント(経歴や誰と繋がっているかなど)を探る上での必需品であろう。 自分が会いたいと思う相手を検索してオンライン上でコンタクトする→相手とのオンライン・コミュニケーションを2〜3週間続ける→2〜3カ月経ってビジネスのメリットがお互いに認められれば直接のコンタクトが始まる、というビジネスの流れが、ごく普通にあるのだ。

 もうひとつ付け加えると、アメリカ人は徹底して無駄なものにはお金を使わない。いくら安くても、今使用している道具が壊れるまでは新しい何かを買うことはないという人が主流である。たとえば、性能のよいPC用のマウスがたった1ドルだとしても、自分の使っているマウスが壊れかけていても、多くのアメリカ人は自分のマウスが壊れるまで新品を買おうとはしない。そのため、仕事上のコミュニケーションにおいても無駄な出費は極力しない。

 日本の方は驚くことが多いが、アメリカでともすると「無駄なもの」になりかねないビジネス・アイテムに「名刺」があげられる。もちろんアメリカ人も名刺は持っているし、名刺交換という文化自体がないわけではない。しかし、名刺を交換する以前にオンライン上でコミュニケーションが成立するようなビジネスの流れが非常に多いために、名刺を渡すタイミングがなくても事足りてしまう状況は少なくないのだ。名刺よりも大切なのは、自分の経歴やビジネススキルを常にアップデートして、Linked in で発信することだろう。名刺を渡すよりもずっとダイレクトな形で自分をセールスできる点においても、その方がずっと効率がいいのだ。

 そう考えると、「名刺はご挨拶時には必須」とか、「知らない相手とも食事をする」という日本のビジネス常識の中には、無駄が多いと言えるのかもしれない。それはきっと日本のビジネス背景がプロセス重視のグループワークが基本であり、個人の意識レベルでは社会が動かないからとも言えるだろう。それは、決して悪いことではない。「とりあえず会って、食事をして」ということが大事なのは十分理解できる。日本では本音と建前がひとつのセットなので、ビジネスの本題に入るのにとても時間がかかることも仕方ない。それが日本流であり、日本の美点なのだから。しかし、アメリカで優先すべきことは、とにかく直接的で無駄がないことだ。この差異は、今後のために是非覚えておいてほしい。

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