移民政策の取り組みは、異文化に対する理解から

移民政策の取り組みは、異文化に対する理解から


 「アメリカの移民政策に取り組むには、異文化に対するコミュニティーの偏見を乗り越える必要がある」と、ワシントンD.C.の非営利米国移民フォーラムのエグゼクティブディレクター、アリ・ヌラニ氏はWLRNのインタビューに答えている。「移民制度の改革は、政治を変えるだけでなく、カルチャーを変えることである。その時に忘れてはならないのが、文化の変化を受け入れられない多くのアメリカ市民の存在だ」。
 パキスタン移民を両親に持つヌラニ氏はこの10年、アメリカ各地を回って移民について調査してきた。アメリカがトランプ氏を大統領に選んだことで、ヌラニ氏の言い分が確証されたことになったが、ヌラニ氏は「希望を持ったのは、保守派とリベラルでは移民について語る言葉は違っても、その目的は同じ。皆がアメリカを良い国にしたいと思っていること」と語っている。とはいえ複雑な米国の移民問題。RedとBlueの見解は?

出典『WLRN』(マイアミ州フロリダの公共放送局)
元記事「Want U.S. Immigration Reform? Then Face U.S. Immigration Culture.」
http://wlrn.org/post/want-us-immigration-reform-then-face-us-immigration-culture

RED: 無法状態の移民政策。
「Immigration Lawlessness .」

 アメリカには3,000万人以上の不法移民が侵入している。うち800万人は不法に働いて袖の下をもらうか、あるいは盗んだソーシャル・セキュリティー番号を使って支払いを受けている。2014年時点では全米の薬物犯罪の75%近くが不法移民に関連しており、有罪を判決され、刑務所に収容されている犯罪者の33%が不法移民だ。
 さらに言えば不法移民の半分以上が何らかの国の補助を受けている。これは明らかに米国連邦法典の規律に違反する。ヌラニ氏は移民問題のポイントは文化であり「移民への偏見からくる恐れと怒り」だと言うが、不法移民の問題はアメリカの法律が破られ、極左の政治家たちがそれを気にもかけないことにある。これは受け入れ難いことであり、すぐさま修正しなければならない。法を施行するか、しないかだ。
 しかし、大多数のアメリカ人が不法移民を恐れているなどとは馬鹿げている。アメリカ人は怒っているのではない。単に国の法が守られることを望んでいるだけだ。不法移民は速やかに国外に退去させられるべきだ、そして正しい法的手続きを経て入国してくればよい。不法移民が滞在するのを認めるかどうかを議論するのは見当違いだ。法は法である。法を犯し、不正に国の援助を受けている不法移民の滞在を認めるのは、同情ではない。無法状態そのものだ。


BLUE:アメリカには世界中から来た人が集まっている。
「The People Here Come From Everywhere.」

 昨今「移民」という言葉を使うと、火炎瓶を放り投げたような反応が返ってくる。アメリカは世界中から人々を受け入れてきた国であり、その移民の歴史は長く豊かだ。そして時には困難なことにも直面してきた。実際、ヨーロッパ人が15世紀にやってくる前からのこの国の住民であるネイティブ・アメリカンを除いては、元を正せばすべてのアメリカ人はよその国からやって来たのである。
 現代においては、アメリカの地方で働く医師の多数が合法的な移民だ。なぜかというと、アメリカ生まれの医師たちは大都市で働きたがるからだ。アメリカ人のために農作物を収穫する季節労働者の農夫たちも移民だ。季節労働者の多くが合法なH-2A労働ビザを保持している。なかにはビザを保持していない季節労働者もいるだろうが、こうした重労働をしたがるアメリカ人はいないから、彼らが農作物を収穫してくれなければ野菜や果物は手に入らない。
 インタビューに答えているヌラニ氏は、アメリカを作っているのは移民だという事実と同時に、この国をより素晴らしいものにしていくのも移民だと指摘している。
 しかし、現在のアメリカの政治状況は、すべての移民がアメリカ国民から仕事を奪い、犯罪やテロを持ち込む凶悪な侵入者であるように色付けている。この記事でヌラニ氏が争点にしている「移民」の本質的なことは無視して、外国人労働者と聞いただけで不法だと叫ぶ人が驚くほど大勢いるが、ヌラニ氏は不法移民の話題にすら触れていない。そんな火炎瓶を放り投げたような反応をしてしまう人が多いことこそが、ヌラニ氏のポイントでもあるのだ。

記事トピックスは過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

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