ミレニアル:経済の鍵を握る世代と彼らを顧客にしたい企業の実態

ミレニアル:経済の鍵を握る世代と彼らを顧客にしたい企業の実態

日本でも浸透しつつある言葉、「ミレニアル(Millennial)世代」。1980年代から2000年代前半に生まれた世代を指すが、アメリカのミレニアル世代の実像とは、どのようなものなのか?


 身の回りにインターネットやスマートフォンなどが当たり前に揃った時代に生まれたミレニアル世代の若者たち。日本でも「ミレニアル」という言葉はかなり浸透しているので、耳にしたことがある人も多いだろう。

 アメリカの大手調査機関ピュー・リサーチセンターによると、ミレニアル世代はソーシャルメディアを他者とのコミュニケーションの中心に置いており、直接的な人間関係の構築には苦手意識が高いとされる。しかし、国境を有しないデジタル空間を活用することで可能になる様々な国の人たちとの交流には積極的だ。その好影響から、多様な文化や価値観を受け入れることに対して、順応性が非常に高い。また、都市部に住むことを好む一方で、環境問題にはとても関心が高いことや、社会問題に対して敏感に反応する(但しネット上で)という点も特徴とされる。

 そんな彼らを表すキーワードは「共有」。ソーシャルメディアを通じて、第三者と情報や感情を共有するのはもちろんのこと、家や車なども第三者と共有し、なるべく不要な所有は避けるという価値観が、ミレニアルの間ではかなり浸透している。こうした傾向が強まる理由の背景には、彼らが住宅バブルの崩壊や、リーマンショック後の金融危機に強い影響を受けている点がある。「余計なものは持ちたくない。住宅も車は“資産”にも“ステイタス”につながらないから必要ない」といった調子で、今までの“古きアメリカの常識”は彼らには通用しない。

 しかし2020年までには、アメリカ全体の消費の70%以上をミレニアルたちが占めるようになるとも言われており、各企業は彼らを顧客として取り込むことに必死だ。例えばニューヨーク州ローチェスター市を拠点とする研修会社「Millennial Coaching」という企業では、「企業がミレニアル世代にどんなアプローチをすべきか」、「どんな宣伝がミレニアル世代への営業に結びつくか」などを指導するセミナーを展開している。主に顧客企業のニーズに合わせたカスタマイズ式セミナーを提供しているが、個人向けの公開講座などには、小売り店や小規模メーカーのオーナーなどが殺到し、開催するたびにあっという間に満員御礼になると言う。

 一般的に質素と思われがちなアメリカのミレニアル世代。しかし彼らにとって興味がないのは固定資産に縛られることであって、決して所有の「欲」がないわけではない。収集はしないが高額な美術品を1点だけ購入したり、旅行だけはとても贅沢に楽しむなど、そういった消費には積極的なのもミレニアルの特徴だ。アメリカの経済を中心的に担うミレニアル世代。その価値観が今後のアメリカの流行や文化の形成にも大きく関わるであろうことは間違いない。

記事関連HP
Millennial Coaching
http://millennial-coaching.com/

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