アメリカで話題の本!『Me We Do Be』

アメリカで話題の本!『Me We Do Be』

「Me We Do Be: The Four Cornerstones of Success」(Randall Bell著) ■Amazon: https://goo.gl/myNIzZ


 自己啓発の本を読めば読むほど、学ぶべきたくさんの「習慣」に触れることが出来る。それらをどう生かすかは個人の問題だし、取り入れたいと思えることの好みも人それぞれだろう。しかし、その「それぞれ」を私たちは一体どう選択すべきなのか。『Me We Do Be: The Four Cornerstones of Success』は、その問いに回答をくれる名著と言える。

 著者のランダル・ベルは経済社会学者であり、40年に渡る多くの企業コンサルティングの経験がある。特に事件性のある問題のために不名誉な状態に陥った人、不動産、それらに関わる経済ダメージなどをどう回復するかというコンサルテーションには定評があり、本書ではそうしたコンサルテーションの具体例を交えながら、人間の行動や習慣を、自分の内面を示す「ME」、社会との関わりを示す「WE」、自分の所持する財産や生活の管理を「DO」、それらの結果である「BE」に分けて解説している。

 例えば、あまりにも有名な元俳優でアメリカンフットボールの選手のOJシンプソン殺人容疑事件。彼の元妻、ニコール・ブラウン・シンプソンの殺人現場だった家などをどのように売却したか、家族たちとはどんな対応したかなどの事例は、非常に興味深い。他にも原発事故として深刻な被害をもたらしたチェルノブイリ事故のことや、あまり有名ではないが実例として読むと「なるほど」と思えるような事件などを取り上げて、そこから生じた被害を経済的に算出しつつ、避けるべきであった結果をどうやってMe、We、Doの流れから回避するべきかを、分かりやすく検証している。いかなる行動も、「終わりさえよければすべてよし」なわけで、悲惨な結果にならないためには、どのような行動をとるべきかについて学べる内容になっている。また、学歴、年収、純資産、健康歴などを多肢選択式のアンケートと自由回答で5,000人を上る人々に聞く大規模な調査を行い、人間の行動動向を徹底解析。これらを元に独自の生活論を挙げている。

 さて、先の4つを簡単に解説しておこう。まず「ME」を中心とする習慣において、我々は個人としての哲学、思想を重視する。ベルは行った調査を分析し、成功者の心の基軸としてもっとも重視されている特徴について、誠実でいること「Honesty」、「Stand For Something」(何かの意義をもつこと)、そして「Connect With a Higher Power」(自分以上の超越的なものとの関係をもつ) をあげている。また、こうした人たちの個人レベルでの活動特徴については、常に学び、探求し、新たな知恵を蓄えるという習慣が認められることが特徴的でもある。「Continually Learn」(勉強をし続けること)という習慣を持つことで、「自分」をより高見に成り立たしていくのである。逆に"己"の立場を壊しかねない毒性行動として、移り気、人間不信の視線で世の中を見ること、自分の知恵や経験への過信や過信による横柄な行動、自己も目標も盲目になってしまい、社会で機能しなくなることなどをあげている。

 次に「WE」について。Weとは世の中でうまく活動できるために必要な人間関係を示している。人は一人では生きていけない。日常生活、仕事などあらゆる面で、人と人の絆を維持することは重要である。社会で機能するためにグループ活動とチームワークは避けられない。集団、組織、チームの一員であることで、まずは周囲に目を向け、第三者の貢献を意識的に感謝したりすることが、重要なコミュニケーションになる。感謝の手段は様々だ。多くの人の前で感謝を述べるようなケースもあるだろうし、一対一の会話、オンラインやソーシャルメディア上でメッセージを伝えることもあるだろうが、「気遣いの習慣」としての感謝は非常に重要なのだ。また、自らがWeの一人として仲間たちと一緒に心を通わせることは、ストレス解放などに大切なことであり、それには「遊び」という要素が欠かせない役割を果たすと本書は解説している。この分野においての毒性行動としては、根に持つこと、長いものに巻かれること、わざと影に隠れて周囲との関係を維持しない行動などをあげている。

 「DO」の解説では、体力、家計、財産、環境などにおいて生産力をアップすることの重要性を説明している。体力を増やすのにはエクササイズ、経済力や財産を増やすためには新しいサービス導入などの付加価値を探していくことは必須であろう。もしも何か商品を開発する立場にある場合は、自分の創造性をどのように世の中に出してお金に変えていくかは大事だろうし、そうした活動を支えるために「貯蓄」というものがカギだとも本書は説いている。また、生産性高い「Do」という行動を取り続けるためには、身の周りの空間をすっきり整理しておくことも重要だという。この分野の毒性行動としては、食べ過ぎること、借金をすること、流行や宣伝にのせられた不要な買い物をすることなどをあげている。

 最後に、「BE」というカテゴリーでは、経験や業績を重ねた後、自分がどのような「結果」を得たいのかを明確にすることの重要性を説いている。自分が人生で下してきた選択は、自分らしいものだったのか。そして、それを踏まえて今後の人生をより実行可能な計画的なものにするためにも、自分の目指す結果の落とし込みを「記録」することは、非常に重要だと述べている。すぐ出来ることのひとつに、時間管理のためのツールやカレンダーを生かして、自分がやりたいことをリストアップすることがある。また、特筆すべき成果や記憶、何かを達成した記念日などを書き残し、達成感を明確にすることも重要だそうだ。この分野における毒性行動としては、目標なしに暇を潰すことや、自分の行動を無力だと思い込むこと、重要な思い出を半ば意図的に忘れようとすることなどがあげられる。こうした行動は、自分だけではなく、自分の家族や組織の存在意義まで危うくしかけないので要注意だ。

 この本のアドバイスでは、一見すると常識的なことが多い。ただし、その分け方が非常に効果的だと私は考える。自分との関係(ME)、周りとの関係(WE)、それからその関係においてどのように行動すべきか(DO)、または、最終的にその行動の総価値はどのような価値をもつか(BE)を常に意識することで、有意義かつ有力な毎日を過ごすことに一歩に近づけることは間違いない。また、この四つの分野を使って上手にカテゴリー分けすれば、今まで本や経験からすでに得ている知識を整理することも可能になるだろう。この本で紹介されている習慣のまとめは以下のホームページに掲載されているので、もっと詳しく知りたい方は、是非一度読んでおくといいと思う。
http://www.drbell.com/PDFs/Rich-Habits-Free-Report.pdf

 ただし、この本の内容はあくまでアメリカにおける事例をもとにしているので、例として示している社会、会社、家族との付き合い方は完全に日本社会に応用できるとは限らない。アメリカの潜在的な文化的な背景だからこそ機能するノウハウであることは、伝えておきたい。他の国に自己啓発の書籍やプログラムを紹介するときの課題になるのは、いかに伝える先の文化にあうよう、ローカライズするかだろう。しかし、そうだとしても、この本はあなた自身の行動を客観的に分析することにも、人生でよりよい結果を手に入れるためにも役立つはずだ。また言うまでもないだろうが、アメリカで将来何かを成し遂げたいという「Do」がある人であれば、これほど役立つ書籍はないはずだ。

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