テロ防止を求めるテキサス人がトランプを歓迎した最大の理由とは?

テロ防止を求めるテキサス人がトランプを歓迎した最大の理由とは?


 マンチェスターでの爆弾テロの後、アメリカ各地の警察が“If You See Something, Say Something”というテロ防止キャンペーンを再開した。「何か不審な行動を目撃したら、FBIや警察に報告しろ」と、国民に協力を求めるこのキャンペーンは、2010年に国土安全保障省が開始したものだ。しかし、オバマ政権は一貫してイスラム教徒が肩身の狭い思いをしないようにという配慮から、“イスラム教過激派”や“テロ”という言葉を使うことを事実上禁止。これらの言葉を使った人々は人種差別者、イスラム差別者だと酷評されるようになった。 
 2013年のボストン・マラソン爆弾テロの翌日に、民主党幹部もこのフレーズを使って国民に警戒を呼びかけたが、メディアでは爆弾犯に同情的な報道やコメントが多かったため、アメリカ在住者の多くはオバマ政権やメディアに批判されることを恐れて、不審な物事を目撃しても口をつぐんでいた。
 そんな中、2015年9月にテキサス州アーヴィング市の高校生、スーダン出身のアハメド君が市販の目覚まし時計の中身をアタッシュケース型の箱に入れて学校に持って行ったところ、それが爆弾に似ていたため逮捕されるという事件が起きた。
 この直後、オバマ政権もメディアも、アハメド君に同情し、テキサスの教師や警官を人種・イスラム差別主義者と決めつけたような発言を繰り返した。さらにアハメド君がホワイトハウスやNASA、 Google社に招待されたことも手伝って、アーヴィング市はアメリカ全土から非難される対象となった。
 しかし、アハメド君自身が箱の中身が怪しまれるだろうと自覚していたことや、彼の父親がスーダン大統領に二度も立候補したことがあるイスラム教活動家だったことが分かると、保守派のコメンテイター数人が「この父親は、アメリカはイスラム教差別をしているという説を広めるために、逮捕されるようなことを意図的に息子にやらせたのでは?」と発言した。
 その後、アハメド家は保守派コメンテイターたちを名誉毀損で訴え、さらにはアーヴィング市と学校を人種差別で訴えるという行動にでたため、テキサス人たちは、「オバマ政権が続く限り、テロの危険を通報することすらできない!」と嘆いていた。
 2015年12月2日に起きたサンバーナーディーノ乱射テロの犯人の隣人も、不審な行動を目撃したものの、人種差別者またはイスラム教差別だと言われることを恐れて通報しなかったと話したが、リベラルなカリフォルニア州でさえも、テキサス人と同じようなジレンマを感じていた人がいたといえる。
 トランプ政権誕生後も、ポリティカリー・コレクトであることを何よりも大切と考えているメディアが、テロ情報通報者の人格を抹殺するような扱いをすることは必至だろうが、少なくともアメリカ政府が彼らを叩くことは、もうないだろう。テキサス人は、マイノリティーやイスラム教徒に対して、腫れ物に触るような態度を取ることのないトランプ大統領のお陰でアメリカはテロを未然に防げるようになるだろう、と信じている。

 ちなみに、アハメド家が起こしたひとつめの訴訟は、テキサスの地方裁判所で証拠不十分で却下され、アハメド家が被告の弁護料を払うことを命じられた。ふたつ目も先日の記事で紹介した第5巡回区控訴裁判所の管轄下にある連邦裁判所にて、「学校側の対応は人種差別が原因ではなく、生徒全体の安全を重視した行動を取っただけ」という理由で却下された。

市販の目覚まし時計の中身を箱に入れたアハメド君の時計
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