人生の時間を最大化する選択をする

人生の時間を最大化する選択をする


 南北朝時代から室町時代を通じて盛行した芸能に「幸若舞(こうわかまい)」がある。軍記ものを題材にして、小鼓などに合わせて詠唱し舞うもので、当時の戦国武将に愛好されたと言う。その中に、平家の若き武将を描いた『敦盛』がある。織田信長が特に好んで出陣の前に舞ったというが、その有名な一節に、 

「人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり」 

というものがある。

 仏教には、欲望に捉えられた世界を六つに分けた「六道」という概念があるが、数千年の命が与えらえている天上界の住人に比べたら、人間の人生は(当時のスタンダードとして)50年ほど。人の世の歳月はしょせん夢幻のようなものだというのが、この一節が意味することだ。

 アメリカでは55歳がシニアへの入り口だ。55歳から会員になれる「全米シニア協会(AARP)」という団体があったり、「55+(フィフティファイブプラス)」という、55歳以上に特典があるプログラムが各種ある。また、55歳以上が入居条件の住宅などは市価よりも割安の値段で購入・賃貸出来たりもする。ほかにも自動車保険、旅行、またファミリーレストランでの割引など、年を重ねた人への特典がたくさんある。

 そして何を隠そう、わたしと妻は今年、晴れて「ピカピカのシニア一年生」になった。

 私たちは、この年を機に人生の次の章を歩み出そうと思っていた。まずは生活自体のダウン・サイジング計画の第一弾として、つい最近、今まで住んでいた自宅を売却した。息子たちも成人し、それぞれの人生を歩み始めているので、これからは「老夫婦」のサイズで暮らせば十分だ。自分たちのライフステージにあった生活基盤を構築し直して、この夏、私たちはお気に入りの愛車、コンパクトなHondaで旅に出ることを計画している。いろいろな場所を訪ねて、落ち着きたい街が見つかったら、そこに落ち着くのもいいかと思っている。私たち夫婦の楽しみのひとつは、各地の図書館でゆったりとした時間を過ごすこと。Wi-Fi環境とパソコンと、投資家としてどこでも収入を得ることが可能な状態を維持できれば、そうした生活を続けていけるのだ。

 私がこれまでの55年で学んで来たことで、皆さんのヒントにもなると思うことは進んでシェアしたいと思う。例えば、外国語を複数使えるようになることなどは特にお勧めだ。私の場合、いくつかの語学が出来ることが大きなプラスになった。言葉の自由はどこにでも旅立てる勇気を与えてくれる。IT技術と仲良くなることで学校経営をオンライン化できたことと、投資の知識を得たことは、場所を選ばないで暮らしていくという新しい決断を可能にした。

 栄養状態が改善され、医療ほかさまざまな技術の発達した今、巷では「人生100年論」も盛んになっているが、それでも人の人生は、宇宙の時間に比べたら儚かなすぎるほど短いものだ。物理的な時間は伸ばせないだろうが、時間を増やすような生き方をして、可能性を広げるコツはあると思う。

この記事の寄稿者





アクセスランキング


>>総合人気ランキング

企画

保守派とリベラル派、2つの視点でニュースを読む。