空への夢の始まり⑤――アメリカ留学で驚いた文化の違い その1

空への夢の始まり⑤――アメリカ留学で驚いた文化の違い その1


 私は留学当初、アメリカで勉強してパイロットになれたら、帰国して日本で仕事をするものだと思っていた。まさか、その23年後もアメリカに住み、アメリカでパイロットという職業につくとは当時は想像もしていなかった。

 アメリカに留学するまでは、私はアメリカに来たこともなければ、関心もなかった。金曜ロードショーの映画を通して、アメリカ人がどんな家に住んで、どんな生活をしているのかは一般的でステレオタイプな知識しかなかった。渡米前は英語の勉強だけに集中し、文化習慣の予習をしなかったので、留学生活の初期は新鮮で驚くことの連続だった。特に驚いた例を挙げてみよう。

 最も驚いたのが、男女混合寮だった。6階建ての寮塔に階ごとに別れて男女共同で暮らしていた。どの階も行き来は自由で、みんな好きなように行き来していた。シャワーもトイレもオープンで、シャワーを浴びているときに、外で男性の声が聞こえるたびにドキドキした。なんてデリカシーのない国民性なのかと最初は戸惑ったが、開放的な雰囲気にはすぐに慣れて、男女を問わず、たくさん友達を作ることができた。

 次に驚いたのは、靴を履いたままベッドに横たわるルームメイトを見たとき。これも文化の違いを認識させられる良い教訓だった。日本人は清潔第一という文化に育ち、屋内では靴を脱ぐのが当たり前だが、アメリカでは屋内でも靴を脱ぐ習慣がない。もちろん寮の中も土足だ。それはなんとか許せても、靴を履いたままベッドに横になる彼らにはショックを受けた。

 雨でも傘をささない習慣にも戸惑った。日本人は雨が降ったら傘をさす。日本では小雨でも、傘をささずに濡れながら歩いている人はあまり見かけないが、アメリカでは傘を持って外出する人はほとんどいない。私は渡米する際に、日本から折りたたみ傘を持参したので、雨の日はそれをバックパックに入れて外出していたが、アメリカ人の友人たちは誰一人傘を持たず、雨の中を濡れて歩いていた。さすがに土砂降りのときはわざわざ歩かないが、「少しぐらい濡れてもいい」という、アメリカの楽天主義な文化はこういう日常的なことから徐々に学んだ気がする。

 私は自分が通う大学があったセーラムから、バスに乗ってボストンの街によく遊びに行ったが、ボストンで信号を無視して道路を渡る「ジェイウォーク(J-walk)」を見たときも、ある種のカルチャーショックを受けた。ボストンは大都会で人混みも多い。横断歩道で信号待ちをしていた時、周りの歩行者が一斉に道を渡り出したので、私もつられて道を横断しようとしたが、よく見てみるとまだ信号は赤。「あれ?」と思いながら道を渡りきった。確かに、そのときに車は通っていなかった。その後、再び信号待ちをしようと立ち止まった際、信号は赤なのに、車が通っていないことを確認して周囲が一斉に道を渡り始めた。私は信号が青に変わるまで待つため、そこに残ったが、信号を待っていたのは私だけだった。後になって、信号を無視して道を渡ることを英語で「J-Walk」というと学んだ。法規を無視して、まるで当然のようにJ-walkをするアメリカ人たちには驚いたが、これもすべてに合理的なアメリカ文化の一環なのかもしれないと思って、受け止めた。

 このように様々な驚きと衝撃を受けながら日々アメリカ文化を学び、私は徐々にアメリカという国を知っていった。

※編集部注:州により州法が異なるが、J-walkは警官に現行犯で見つかると罰金が課せられる州があり、罰金額も州ごとに異なる。
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