ネーミングは最重要! アップルやグーグルの商品名の決め方とは?

ネーミングは最重要! アップルやグーグルの商品名の決め方とは?

アップルといえば「iPhone」や「iPad」、グーグルも社名はもとより「GoogleMap」や「クローム」など世界中の人たちに知られている名称がついた商品を世に送り出している。ビジネスの最先端を行くグローバル企業は、どうやって社名や商品名を決めるのか? アメリカにおける「ネーミング・ビジネス」の現状をお届けしよう。


 言うまでもないが、社名や商品名はビジネスにおいて大変重要で、企業にとって最も貴重なアセットのひとつである。アメリカの企業では専門家に何千ドルも支払って名称を考えてもらうのが主流で、考えられた名称(ネーミング)には通常6週間以上の作業期間が掛かると言われている。しかし、大金を払ったからといって必ずしも最良の名称が手に入る訳ではない。特にウエブサイトのドメイン名が既に取得されている場合などは、気に入った名称を諦めざるを得ないこともある。

 ドメイン名登録のVeriSign社によると、2016年の年末時点で「.com」または「.net」で終わるドメイン名は、2011年には1億1400万だったが、2016年の年末時点には1億4200万が登録されたという。

 グーグル社の元ネーミング部長、アマンダ・ピーターソン氏は同社のグーグル・ライフ・サイエンスから現在の「Verily」に名称変更した際、「言葉の持つ意味がライフ、真実、データを繋げるもので、ロゴも強調できるもの」として、「誠に」や「確かに」という意味を持つ単語で、ロゴはヴィーと発音される「V」を強調し、フランス語の「ライフ、人生」と同じ発音であることに意味を持たせたと話している。

 アップル社では「i」がつく商品に「Pod」や「Mac」、「Book」をつけるネーミングを採用しているが、「iPod」を考えたのは社内ではなく、専門のエージェンシーだった。最初に出したときは女性の生理用品をイメージする名称だと揶揄する声もあったが、商品の人気が高まると共にネガティブな声は消えた。当時スティーブ・ジョブズ氏は、社内で候補としてあがった「tune(チューン)」という単語を商品名に入れるアイデアそのものが、商品の大いなる可能性を限定してしまうと猛反対し、専門家にネーミングを託すことになったらしいが、それが功を奏して同社はその後のネーミングで一線を画している。

 スタートアップから大企業まで、多くの企業の社名や商品名を決めてきたキャッチワード・ブランディング社によると、ネーミングの予算はプロジェクトが$6,000(約67万5千円)からスタートし、平均すると$30,000(約337万円)。会社名の場合は代表のビジョンを聞き、商品名の場合は開発マネージャーや技術者から話しを聞き取る。それを報告書にまとめ、何十または何百もの名称候補のリストを作り、それぞれの名称候補が、実際に使用しても法的に問題ない名称なのか、競合や他社が商標をとっていないか、ドメインは空いているか、空いていないならば値段はいくらかなどを細かく調査するため、それに掛かる費用は調査が進むほど高くなる。

 商品名がどれほど重要かの一例として、2010年にHP(ヒューレットパッカード)社が約10億ドル(約1千億円以上)もかけて買収した「Palm」の再ブランディング失敗談があげられる。このスマートフォンのビジネスが難航した際、HPはWebOSソフトウエアを搭載して「Gram」という新名称を立ち上げた。分析家たちは単語から連想される内容なども考慮して新名称に反対したが、HPは強行。結局うまく行かず、2013年にそのビジネスを家電企業LGエレクトロニックスに売却して、「Gram」という名称を捨てた。そして、なんとHPがまだ「gram.com」のドメイン名を所有している期間中に、サンフランシスコを拠点とするカナビス(マリファナ)関係業務のスタートアップ社「Gram Health」が、「Gram」を同社の商標に登録してしまった。まさに「アメリカあるある話」のトップを走るような話だが、専門家の話を聞かない商品名を強行した場合にどういうことが起こり得るかという教訓のような話である。

 シリコンバレーを拠点に、Wifi信号ブースターを販売する「Plume」のファーリ・ディナーCEOは、専門家に依頼する前に社内でネーミングを出しあったという。しかし、選ばれた名称は「HomeFi」という、家とWi-Fiを足しただけのお粗末な名称だった。同CEOは、「世の中の人々は、社名や商品名に対し、その一言ですべてを表現するものを求める傾向があるという難しさに気づき、専門家に依頼することを決断した」と話している。たしかに「HomeFi」という商品名を使っていたなら、「Plume」は今より注目されなかったかもしれない。

元記事『サンフランシスコ・クロニクル』紙
How tech firms like Google and Apple come up with names
http://www.sfchronicle.com/business/article/How-tech-firms-like-Google-and-Apple-come-up-with-11287568.php

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