共和党支持者は「大学は国に悪い影響を与えている」と考えている

共和党支持者は「大学は国に悪い影響を与えている」と考えている


 ワシントンD.Cのピュー研究センターが先月、2,504人の成人のアメリカ人を対象に大学機関、メディアなどが国に与える影響についてアンケート調査を実施した。その結果、共和党および無所属寄りの共和党支持者の58%が「大学は国に悪い影響を与えている」と回答。それとは対照的に、民主党支持または民主党寄りの人の72%は「大学は国に良い影響を与えている」と回答した。

 メディアに対する見方は、85%の共和党および共和党寄り支持者による「メディアは国に悪い影響を与えている」に対し、民主党支持者は46%が良くない影響、44%が良い影響を与えていると回答した。同時期に行われたクイニピーアク大学の調査では、共和党支持者の1/3が、ニュース番組はFOXニュース(保守系テレビ局)のものしか見ないという結果が出た。

 アメリカ国民が2つに分断していることを改めて認識させるような調査結果に対する、RedとBlue の見解は?

出典『Seattle PI』紙
元記事:Connelly: Big Republican majority says colleges negatively influence country
RED: この記事の争点は大学ではない
“The colleges are NOT the real story”

 この記事の見出しにある「大学は国に良くない影響を与えると共和党支持者が考えている」というのは、調査結果に対する正しい解釈ではない。アメリカの大学は、学生が実社会に出る準備をするために十分な仕事をしていないのだ。ひとつ例を上げよう。2015年に『ハフィントンポスト』がレポートしたところによると、平均的な大学卒業生は35,000ドル以上の借金を抱えており、半分近く(45%)の卒業生は大学卒業資格を必要としない仕事についている。だから多くの人が大学というものに対して、学生からお金を取りながら、「その投資に見合ったキャリアを築かせる約束を果たせない機関」だと見ているのだ。しかし、この記事の重要点はそこではない。最後に記者が加筆したちょっとした事実だ。

 「民主党支持者の間でひとつだけ意見が大きく分かれた回答がある。リベラル民主党支持者の40~44%は、教会、宗教団体が国に悪い影響を与えていると答え、穏健派および保守的民主党支持者の58~29%が良い影響を与えていると回答している」

 Urban.orgによると2014年にアメリカの教会および宗教団体はチャリティーのために1140億ドルを集めている。つまり民主党支持者の多くは、貧しい人に食料や服や住居を提供するためにお金を募るのは、国によくない影響を与えると考えているということだ。この記事の見出しはこうあるべきだ。「教会はチャリティーのために年間に1140億ドルを集めているにもかかわらず、民主党支持者の大多数が教会は国に悪い影響を与えていると考えている」。


BLUE:共和党は票のために教育を手放したいのか?
“Are Republicans Really Willing to Trade Education for Votes?”

 左派はしばしば、学歴の低いアメリカ人ほど共和党に投票する傾向があると見ているが、これは侮辱ではない。

 ハーバード大学の研究結果で、2012年の大統領選でオバマ(民主党)とロムニー(共和党)が対戦した時、18~29歳のうち60%がオバマを支持し、ロムニーを支持したのは36%だけだった。2016年にヒラリー・クリントンはアメリカ国内の高学歴50郡において2012年のオバマよりも8%上回る票を獲得しているが、低学歴50郡では11%低くなっている。また別の統計を見ると、高校就学もしくはそれ以下の教育を受けた人の27%がヒラリー・クリントンに投票し、69%がトランプに投票。また大学院修了の54%がクリントンに投票し、トランプに投票したのは41%となっている。

 右派がこの事実に気付かないはずがない。2011年、共和党はニューハンプシャーで大学生の投票を制限しようとした。保守系のテレビ局FOXニュースが、大学構内を度々の暴動や、リベラルではない発言には罰を与える好戦的な教授といった、危険な場所のイメージに作り上げようとしたのだ。

 現実には、アメリカの若者の多くが彼らの周りの世界について学び、理解を深めており、右翼から押し付けられる欺瞞的で狭量な話は拒絶するようになっている。重要なことは、より良い教育を受けた労働力は、グローバル化の社会での成功率がより高いということだ。右派は本当に我々の競争力を自分たちの票のために手放すのだろうか?

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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