修道女たちがパイプライン建設に抵抗、その土地に聖堂を建設

修道女たちがパイプライン建設に抵抗、その土地に聖堂を建設


 「土地の神聖さ」を信仰するカトリック修道女らが、教会所有地に天然ガスのパイプラインを通す許可を出した連邦機関を「信仰の自由」の侵害で訴えている。

 米天然ガス輸送大手ウィリアムズ・カンパニーは、今秋、全長200マイルのパイプライン「アトランティック・サンライズ」の工事開始を予定している。ペンシルベニア州マーセラス・シェール・フィールドから東海岸へ天然シェールガスを送る、30億ドル規模の建設計画だ。今年はじめ、同社は米国連邦エネルギー規制委員会(FERC)の認可を受けて、パイプライン通過予定の土地の所有者に、私有地の収用(公共の目的で補償と引き換えに私有財産を徴収すること)を通告したが、その中にカトリック教団「キリストの血の崇拝者」教会が所有する1.02エーカー(約102平方メートル、約31坪)の土地も含まれていた。

 同教団の修道女たちは、創造の神聖さを賛美し、地球をあらゆる生命の聖堂として崇め、土地を「美と滋養の贈り物、来たる世代のための遺産」として尊ぶ「土地倫理」に導かれている。化石燃料のパイプラインのための土地利用は、「当教会に深く根付いた信念と対極にある」と訴え、それに対抗するために「パイプラインに反対するランカスター郡」という名称で活動する地元の抗議団体に土地を提供し、そこに野外礼拝堂を建てさせた。トウモロコシ畑に木製のあずまやとベンチが置かれただけのその礼拝堂だが、そこでさまざまな式典が行い、地元や国内のメディアの注目を集めた。さらに教団は、土地収用権を許可したFERCを相手どり、ペンシルベニア州東部地区連邦地方裁判所に、差し止め命令を求める訴訟を起こした。

 同教会の代理人、J・ドワイト・ヨーダー弁護士によれば、修道女たちが根拠とするのは、「政府は説得力のある根拠なく、宗教的儀式に過酷な負担をかけるべきではない」と定めた1993年の連邦法「宗教の自由回復法」(米国最高裁による2014年のホビー・ロビー判決で有名)であり、「連邦政府が企業に私有地の収用を許すというこの事態にも同法が適用される。我々は同教会の土地が彼らの宗教生活と信仰に不可欠な一部だと信じている」と話している。

 裁判資料によれば、同教会の1.02エーカー区画の査定額は109,740ドルだったが、ウィリアムズ・カンパニーは「誠意をもって」交渉し、査定額以上の支払いを申し出た。同社によれば、パイプラインが地下3〜5フィート地下に埋め込まれてしまえば、工事の痕跡はほとんどなくなり、同教会はその土地をまた使うことができるのだ。収用に応じない所有者に対して、同社側もまた、しかるべき法的措置を検討している。また、FERC側の広報担当者は、「係争中の訴訟についてはコメントしない」と語っている。

元記事: Catholic nuns take fight against Pennsylvania gas pipeline to the feds
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