「旅客機の座席が狭すぎる!」 裁判所が座席サイズの見直し命じる

「旅客機の座席が狭すぎる!」 裁判所が座席サイズの見直し命じる


 アメリカでは、旅客機の座席とシートピッチ(座席前後の間隔)は過去数十年の間にじわじわと狭くなっている。1970年代では35インチ(89 cm)だったエコノミー席のシートピッチ(座席の前後間隔)が、現在では31インチ(79 cm)と10cmも狭くなっており、飛行機によっては28 インチ(71 cm)のものもある。さすがに幅は狭めるのに限界があるらしいが、それでも過去10年で、18インチ(46 cm)から16.5インチ(42 cm)に縮小している。座席が狭くなるのと反比例して、アメリカ人の体格はどんどん大きくなっているため、押し込められた乗客にとっては拷問に近いものがある。しかし、競争の激しいアメリカの航空会社は、利益効率を上げるために座席数を増やそうと、どんどんシートを狭くしているのが現状だ。

 その動きにようやくストップがかかるかも知れない。ワシントンD.C地区の連邦高等裁所が先月、旅客機のシートピッチが狭いと「非常時において乗客の脱出に弊害をもたらす」として、連邦航空局に基準を見直すように命じ、「座席が狭くなることで乗客を危険にさらすことになる」という、乗客の権利を守る団体「Flyers Rights Org」の主張について再調査するように言い渡した。また「非常時に脱出する際に座席のサイズは関係ない」とする連邦航空局の主張を、裁判官の一人は「虫歯の調査をするのに、患者の砂糖消費量だけ記録して、歯磨きやフロスについては無視するようなもので、まったくのナンセンス」だ、と退けた。

 連邦航空局のスポークスマンは電子メールで、「当局はシートピッチについてはテストを実施し、旅客機の安全な避難を評価している。現在、裁判所の判決内容を吟味し、いかなる対応が可能かを検討しているところだ」と述べている。

 今回の判決は、体格の大きな乗客にとって狭い座席は非常時の脱出に大きな影響を与えるか、という点に限定されており、乗客の健康と快適さに与える影響をについて調査するようには命じていない。また現在、米国下院においても、連邦航空局に米国航空会社、「旅客機乗客の安全と健康を守るために」座席サイズおよび座席前後の空間サイズの最低基準を定める議案が検討されている。乗客にとってはどちらも歓迎すべき動きだ。

 こうした国の動きを反映して、アメリカン航空はいち早くボーイング737MAXジェット機の座席の一部を当初予定していた2インチの縮小から1インチの縮小に変更して、30インチにすると発表した。一方で、このところ乗客への対応が悪いと避難されることの多いユナイテッド航空のスコット・カービー社長は、5月に行われた議会公聴会で、同社ではシートピッチを29インチに縮小するかどうか、まだ決定していないと言っている。ちなみにユナイテッド航空の大半のシートピットは現在31インチだ。

元記事:U.S. Government Ordered to Solve 'Case of the Incredible Shrinking Airline Seat'
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