偽の警察機関が120万ドル相当の武器を獲得できた理由

偽の警察機関が120万ドル相当の武器を獲得できた理由


 米連邦議会行政監査局(GAO)は、他の連邦機関の監査や捜査、政策分析などを行い、その情報を議会に提供する機関で、議会の番犬とも呼ばれている。そのGAOが今年は「おとり捜査」という手段を使い、米国防総省をひっかけた。
 架空の警察機関を作り上げ、国防総省に軍隊級の装備を申請したのだ。それらしいウェブサイトを設け、住所は検索すれば空き地にたどり着く、簡単にわかるものだったのにもかかわらず、1週間もしないうちに申請は通り、「おとり」の警察機関は、暗視用眼鏡、M-16A2ライフル銃、パイプ爆弾材料など、120万ドル相当の軍隊級装備を入手した。「確認らしいことは何もせず、現場を見に来るということもしない。ほとんどすべてが電子メールで片付いた。まるでeBayで買い物するようなものだった」と同捜査を担当したチームの責任者は語っている。
 国防総省は、今後は確認手続きを強化し、現場確認なども怠らないと約束したとGOAは報告している。この国防総省の大失態をRedとBlueはどう見るか?

出典『Wired』
元記事:How Fake Cops Got $1.2 Million in Real Weapons
RED:政府が無能だって? いや違うね。
“Government is Incompetent? Say it isn’t so”

 どんな政府だって間違いは犯す。この記事はトランプ大統領就任後、政府は以前よりもっと無能になったと断言しようとしている。

 どれ、その判定を少し正してみようか。オバマ大統領時代の2009年、米国アルコール・タバコ・火器取締局(ATF)は、メキシコの麻薬カルテルの犯罪組織に2000点もの武器の販売を促進し、即座に紛失している。これは米国境警備員ブライアン・テリー氏が、その紛失した武器で殺害されたことで発覚した。ATFはエリック・ホルダー司法長官(当時)の監督下にあったのだが、長官は「そういうことが起こっていたとは知らなかった、どうしてATF がそうした販売を認めたのか、FBIのだれがそれを知っていたのかわからない」と言っている。
 つまり、ホルダー元長官が公式質問の際に議会にウソをついたか、あるいは彼がまったく無能だったかのどちらかだ。

 さらに、リビアのベンガジにおけるアメリカ大使館襲撃がある。この時のアメリカ政府の役人の対応は完全に無能で恥ずべきものだ。英国の電信によると、当時(2012年9月)の米国中央情報局(CIA)が、アサド政権に対抗するグループの手に渡ることを期待して、リビアの地元民兵団に武器(高度な防空兵器システムを含む)の販売を促進していたらしい。もちろん、これらすべては2012年9月11日にベンガジの米国大使がテロリストに襲われ、崩壊した。
 オバマ大統領とヒラリー・クリントン国務長官は、これらの防空兵器がどこにあるか知らないし、アメリカ政府が無能であったことから不必要に命を落とした4人のアメリカ人の襲撃について、何ら対応策を立てていない。

 覆面捜査によってアメリカ政府が120万ドルの武器を失ったことは確かに良くない。しかし、それは今に始まったことではないのだ。少なくともトランプ大統領の下では、偽の警官に扮した政府職員に売られただけだ。それに引き換えオバマ大統領は、本物の武器を本物の犯罪者に売って、5人もの死者を出している。


BLUE:どうして警察に軍隊用の武器が必要なのか?
“Why Do the Police Need Military Weapons?”

 そもそも、なぜ警察に軍隊用の武器を売ろうとするのか、このコラムの読者は疑問に思うことだろう。1997年、アメリカ政府は軍隊・警察双方の経費節減のために、軍隊の余剰装備を警察に譲渡することを許可する法律を作った。譲渡されたほとんどの装備は武器ではなく、衣服や医療器材といったものだったが、警察署によっては装甲車のようなものを受け取ったところもある。アメリカ人は時にして、警察署がそうした本格的な装備をしていることを知って驚かされることがある。

 今回、バイヤー(偽警官)が本当の犯罪者でなかったのは、売り手にとって幸いなことだった。犯罪者に武器を売る者は、犯罪者と同じだけ非難されるべきだ。アメリカの警察が厳重に武装しているのは事実で、戦場にあってもおかしくない車両を携えている。武器が必要とされること自体はとても残念なことだが、警察が危険な状況に備えて十分な装備をしていることは安心につながる。
 しかし、大切なことは、警察は決して占領軍のように振る舞ってはならないということである。過去に警察が過度の武力と装備で対応して、大変な非難を浴びたことがある。警察の仕事は市民を守ることであって、市民を一掃することではない。

この記事の寄稿者





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