リベラル派と保守派の不法移民に対する温度差は何に起因するのか?

リベラル派と保守派の不法移民に対する温度差は何に起因するのか?


 リベラル派のほとんどは都会に住み、8割方はホワイトカラーの裕福な人々だ。

 彼らが接する不法移民は、子どもたちの面倒を見てくれるベビーシッター、黙々と働いてくれる家政婦、庭の芝刈りやプールの掃除をしてくれる労働者など、安い労働力を提供してくれるありがたい存在。そのため、リベラルな人々は費用効率のいい働き者の不法移民に同情的だ。

 一方、ベビーシッターや家政婦を雇えず、大きな庭もプールもない家に住み、麻薬の被害者が多い労働者階級の人々にとっては、不法移民は建設業者に安い労働力を提供してブルーカラーの人々の賃金を下げ、メキシコ国境から麻薬を運んでくる悪者という存在にかわる。

 それに加え、テキサス州やアリゾナ州などメキシコと国境を接するレッド・ステイツ(共和党派が多い州)では、国境警備隊が不法移民に襲われる事件や密入国を斡旋している麻薬カルテルの犯罪が頻繁に報道されている現状もある。
 この数週間にテキサスで特に大きく報道された事例だけでも、ざっと以下のような感じになる。

■ 7月23日、サン・アントニオで密入国斡旋カルテルに置き去りにされたトレイラーの中から、不法移民8人の死体が発見された。

■ 7月28日、港町ラレードで800万ドル相当の麻薬が押収された。

■ 7月30日、メキシコ・テキサス国境でメキシコ軍と麻薬カルテルの銃撃戦があった。

■ 7月31日、ジョージ・ブッシュ高校で11人が結核に感染していることが発覚したため、生徒と職員の結核検査が必要になった(プライバシー保護の立場から感染者の名前は公表されていないが、結核が発見された地域のほとんどが不法移民や難民が圧倒的に多かったため、大多数のテキサス人が「結核を持ち込んだのは不法移民の子どもだ」と認識)。

■ 8月5日、ヒューストンの住民二人を殺した容疑で捕まった不法移民ギャングの裁判で、地方検事が「彼らは縄張り内の住民に恐怖を植え付けるために、裏切り者を殺すときは刃物で滅多切りにしたり、弾丸をいくつも撃ち込み、意図的に惨殺している。」と発言。


 このように地元ニュースで報道される事件に加え、国境周辺の住人は不法移民から様々な被害を受けている現状もある。「不法移民に洗濯物やニワトリ、家庭菜園のトマトなどを盗まれた」、「不法移民が運転する車にぶつけられた」などの実害を被ったという報告は後を絶たない。前述したようなニュースや住民の被害話は、全米で放送されている保守派のラジオ番組で逐次取り上げられているため、国境に隣接した州以外の州に住む保守派も、”不法移民”という言葉を聞くと反射的に犯罪者を思い浮かべる。

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