テネシー州の裁判官「避妊手術を受けた服役者は刑期を短縮」

テネシー州の裁判官「避妊手術を受けた服役者は刑期を短縮」


 処方鎮痛剤の乱用が招いたオピオイド中毒は全米に蔓延しており、その問題が特に深刻なテネシー州では、オピオイドの過剰摂取による死者が2015年だけで1400人にものぼった。同州ホワイト郡一般裁判所法廷のサム・ベニングフィールド裁判官によると、犯罪に走る中毒患者も多く、法廷が取り扱う事件の圧倒的多数がドラッグに関連した犯罪だという。

 そこで同裁判官が出した解決法が、同郡の刑務所の服役者に対し、「長期的な避妊処置をしたら刑期を30日短縮する」というもの。男性は「精管切除手術」いわゆるパイプカット、女性はネクスプラノンと呼ばれる腕へのインプラントで、施術費用は無料。いずれもほぼ3年間避妊できる。同裁判官は、「これは命令ではない。出所後、望まない妊娠をして社会復帰が難しくなるのを避け、この間にリハビリを受けて生活の立て直しをするよう役立ててもらいたい」と話し、更生の手助けになることを望んでいると言う。

 しかし、このニュースが報道されると各方面から非難の声が上がった。全米最大の人権団体、アメリカ自由人権協会(ACLU)テネシー州取締役のヘディ・ワインバーグ氏は、「刑期と避妊をはかりにかけて選ばせるのは生殖の自主性の権利を侵すものであり、憲法違反だ」と非難し、「裁判官は地域に重要な役割を持つが、個人の妊娠を監督するのは仕事の範囲ではない」と訴えている。また、同郡の地区検事長 も「長期的な避妊を決断するのは個人的な問題で、裁判所が勧めたり命令したりすべきものではない」と話している。

 そうした世間の喧騒をよそに、当事者である服役者は、これまでに少なくとも24人の女性がインプラントの施術を受けており、男性38人が施術申し込み手続きをした。

 「女性たちに、自分の生活を立て直すために何ができるか考えるチャンスを与えたい」と話すベニングフィールド裁判官は、麻薬中毒の母親の胎内で育った子供がかかる「新生児禁断症候群」の教育プログラムに参加した服役者には2日のクレジットの提供もしており、服役者の社会復帰に役立つプログラムへの参加を奨励をしている。

引用元:Judge Promises Reduced Jail Time If Tennessee Inmates Get Vasectomies

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