テスラ社のマスクCEOら「殺人ロボットの製作禁止」を呼びかけ

テスラ社のマスクCEOら「殺人ロボットの製作禁止」を呼びかけ


 人工知能の技術が日々着々と進化する中、テスラ・モーターズ社のイーロン・マスクCEOなどを含む人工知能ロボットを製作するIT企業の代表者たちが、非営利組織「Future of Life Institute(FLI)」を通じ、「自主的な判断ができる人工知能ロボットは戦場において大きな脅威になる」と呼びかけ、自治権を持つ殺人兵器の製作を禁止する国際連合を作ろうと世界の企業へ向けて声明文を発表した。

 現在、世界中の様々な企業で戦場へ送り出す人工知能ロボット兵器が生産されている。米軍は中東の戦場へ10年近く、遠隔操作にて無人ドローン兵器を送り込んでおり、イスラエル軍はガザの国境を警備するために遠隔で操作できる砲塔を置いている。今のところ軍の人工知能ロボットやドローンは人間が操作しているが、次のステップとして米国などで開発されている兵器の中には、「高度なレベルの判断だけ」を人間が下し、それ以外はすべて人工知能が判断する「セミ・オートマティック」の兵器も含まれる。

 人工知能が攻撃の判断を可能にする兵器の開発は、既にある程度のレベルには達しているため、「人工知能兵器が人間の関与なく、すべてを独自のデータで判断し、攻撃する」ことが可能な兵器の完成は、もはや時間の問題だ。SF映画のように、「たとえ人間の意思に反することでも、人工知能がデータ的に正しいことを瞬時に判断し、攻撃を開始する」とすれば、場合によっては味方が攻撃されたり、まったく関係ない人々が攻撃される可能性もあるだろう。

 この状況に対し以前から懸念を表明しているテスラ社のマスクCEOは、人工知能開発の暴走を止めるため、既に2015年にFLI へ1,000万ドル(当時約12億円)の寄付をしている。今回の共同声明では、「一度、それを製造してしまったら、殺人兵器は人間が戦場の状況を理解するのとは比べ物にならないほど素早く自主的に判断し、二者のうちのどちらを攻撃するべきかをデータだけで瞬時に決定してしまう。人工知能ロボットが自動殺人兵器と化して、人間が望まない方法で行動することは人類の脅威になる。それを起こしてはいけない」と、世界のAI開発中の企業へ訴えた。

 しかし、軍事産業は巨大だ。「呼びかけ」だけで新型兵器開発を止めさせることは、非常に難しいと見られている。また、たとえ世界中の企業からコンセンサスが取れたとしても、それが実際どれほどの効力を発揮できるのかも疑問視されている。戦争という国の行方を左右する事態において、人間はどこまで冷静でいられるだろうか。

元記事:Killer Robots Are Coming, and Elon Musk Is Worried
AI(人工知能)・ロボット >

この記事の寄稿者





アクセスランキング


>>総合人気ランキング

企画

保守派とリベラル派、2つの視点でニュースを読む。