若者に流行りのミーム━使い方次第ではハーバードの合格取り消しに?━

若者に流行りのミーム━使い方次第ではハーバードの合格取り消しに?━


 Meme (ミーム) という単語を聞いたことがあるだろうか。

“I found funny memes!” (面白いミームを見つけた)
“Oh my god, the meme you sent me yesterday was hilarious!” (昨日あなたが送ってくれたミーム、面白過ぎ!)

 こんな会話をよくネットやチャットで見かける。元々は人から人へ伝わる情報や文化、例えば昔話や習慣を表した単語だが、最近インターネットで使われている「ミーム」は、それとは違った意味合いを持つ。

 若者たちが使っている「ミーム」とは、一般的にインターネットを通して拡散される、画像を加工して吹き出しを追加する「おもしろ画像」のことを指す。知っている方も多いと思うが、数年前に日本で流行った「写真で一言ボケて (bokete)」というアプリにコンセプトは似ている。画像には芸能人、政治家、動物、キャラクターなど様々な人や物が使われ、その画像に対して、いかにクリエイティブに面白くボケることができるかが、ミーム作成者のゴールだ。

 まずミームを作って投稿し、一部のコミュニティーで広めてから、その他の伝達手段(フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、タンブラー)などを通して、より大きなコミュニティーに伝えていくのが、若者のミーム拡散の手法だ。フェイスブックやインスタグラムには、ミームをたくさん投稿する専用アカウントがある。例えば 9gagというアカウントは、一般人が投稿した流行りのミームを取り上げ、アカウントのフォロワーに拡散している。

 ただ面白いミーム画像を投稿するなら良いのだが、度が過ぎたり、内容が適切でない場合は、その投稿が炎上したり、大勢から反感を買ってしまうことも少なくない。アメリカでは「ポリティカル・コレクトネス」と言われる考え方が重要視されている。これは政治的や社会的に正しく、偏見や差別のない表現を重視する姿勢のことを指す。ソーシャルメディア上においても、ポリティカル・コレクトネス的に正しくない投稿は批判される対象となり、個人の将来に関わる結果を招いてしまう場合まであるのだ。

 最近も、ハーバード大学の合格者約10名が、同学年の合格者を集めたフェイスブックのグループで不適切なミームを投稿したことから、合格が取り消しになったという出来事が話題になった。ちなみにアメリカでは、大学に合格して進学を決めると、フェイスブック上で同じ学年のもうすぐクラスメイトになる人たちと繋がり、グループを作る習慣がある。例えば “○○ University Class of 2021” (○○大学・2021年卒業クラス)など、分かりやすい名前のグループを作って、入学前、そして入学後も情報拡散や情報収集のために利用するのだ。

 さらに複数の大学では共通の趣味であるミームを楽しむために、その大学だけの「ミーム投稿・共有用グループ」を作っているところもある。合格が取り消されたハーバードの学生たちも、このミーム専用グループで投稿していたが、投稿した内容が厳しい指摘を受けたのだ。彼らの投稿は、人種差別、自殺、ホロコースト(ナチスの大虐殺)、性的暴行などをネタにするものだった。これらの投稿が大学本部に伝わり、投稿をした生徒の合格を取り消すという決断をハーバード大学は下した。

 ハーバード大学の決定に、世論は賛否両論だった。「将来を担うリーダーたちを輩出するハーバード大学に、このようなマインドセットを持つ人間はいるべきではない。大学の決断は素晴らしい」という声もあれば、「発言の自由という権利があるのだから、彼らが何を投稿しても関係ない」といった考えを持つ人もいたようだ。ハーバード大学ほどの一流大学になると、こういった出来事への対応も注目されてしまうのである。

 ミームは当初は楽しんで投稿するだけのものだったが、最近は「いかに誰も傷つけずに面白い内容にできるか」が、ミーム作りの重要なポイントにもなっている。時として、人を中傷したり、人を馬鹿にすることが「面白い」と思われることがある。しかし冗談と中傷の境界線はどこにあるのかについては、誰もが自問すべきだろう。SNSのスピード感やライブ感に振り回されるのではなく、何かを投稿する前にまずしっかりと考えてからこうしたサービスは利用すべきではないだろうか。SNSはパブリック・スペースだ。その内容を発信したらどういう影響があるか、想像力を働かせながら楽しむことが大切だと思う。

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