私が銃を所有する理由

私が銃を所有する理由


 その駆除の現場に居合わせたくなかった私が、2時間後に家に戻ると、旦那とご近所さんはまだ格闘中だった。どうやら2発くらいは当たったらしいが、まだオポッサムは苦しそうに息をしながら生きていた。その後、安楽死させるために捕まえてナイフで息を止めたが、一発で射止められていれば苦しませずに済んだのにと、二人はそれをとても悔やんでいた。

 私はといえば、オポッサムのような子犬ほどの大きさの動物が2発の銃弾を受けても命を絶たない、いや、絶てないことに驚いていた。 ということは、これが人間だったら、どうなるのだろう、と。もし、自分の家に体格の大きな泥棒が入ってきたとしたら?

 アメリカで空き巣を狙う泥棒のほとんどがドラッグ中毒者だ。ドラッグを買うための小銭欲しさで泥棒に入る。地元のニュース報道を見ていると、古いテレビなどといった「そんな物を盗んでどうするのか?」と思うような品物でも盗む。その際に、家の住人と鉢合わせた場合に起きるレイプや誘拐もあり、銃を持った泥棒に住人が殺されてしまうこともある。ドラッグが効いている時は痛みに強いため(例えればゾンビのような状態)、ドラッグ中毒者は自分が乱暴であることに対して疎いところがある。だからドラッグ中毒者の泥棒の現場に居合わせたら、襲われてしまう確率が高いのだ。ハリウッド映画のように、犯人を目掛けて一発撃てば解決というのは「映画の世界だけの話」。乱暴に襲い掛かる犯人と対面することは、命の危険にさらされるのと同じことなのだ。

 セキュリティー・システムに入っていれば、侵入者が入った時点で警察に連絡が行くが、警察が到着する迄に10分はかかるだろう。アメリカは広いので、もっとかかることもあるはずだ。その10分は、命のかかった10分だ。オポッサム事件をきっかけに、自分の身を自分で守るために銃を所有するという感覚を初めて理解することができた気がした。

 我が家にも銃がある。私もその使い方の講習を受け、時々練習している。ちゃんと使えなくては意味がなく、余計に危ないからだ。銃口は家の外には向けないとか(裁判で不利になる可能性がある)、いろいろな注意点もある。どれだけ冷静に行動できるかも重要だ。今は安全なコミュニティーに住んでいるので、あまり心配はしていないが、いつ何があるか分からないアメリカでは、心の準備は必要だ。うちは旦那が不在の時が多いこともあり、自分の命は自分で守らねばならない。

 ご近所さんがハンターばかりというのも安心だ。彼らはいつでも援護してくれるし、腕も良いだろう。だか、それを頼りにしてはいけない。助けを求める時間の余裕があれば良いが、ない場合のほうが多いかもしれないからだ。アメリカ生活は、サバイバル精神がなければ続けられない。ドラッグやギャング、マフィア、貧富の差の問題……すべてが解決するまでは、悲しいかな……私は銃を持ち続けなくてはいけないだろう。

 銃に反対する人の気持ちも十分に理解出来るし、私もそうしたい、そうでありたいと思う。でも、自分や自分の家族、子供の身に何かあった時、被害に遭って命を失ってからでは、悔やんでも悔やみきれないだろう。銃による犯罪が起きる度に失望し、悲しい気持ちになる。モラルのない人間には銃は持たせたくないし、持たせてはいけないと思う。だからと言って、一般人から刀狩りのように銃を取り上げても、悪い奴だけが銃を持ち、それを乱用するだろう。本当に頭の痛い問題である。

 私の銃の出番が一生来ないことを祈るばかりだ。

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