学生のお財布 若者たちのファイナンシャル・マネージメント

学生のお財布 若者たちのファイナンシャル・マネージメント


 体力と時間はあるが、社会人と比べてお財布に余裕がないのが私のような若い学生たちだ。アルバイト代やお小遣いなどをやりくりしながら、たまの娯楽を楽しむ。これは多くの基本先進国の若者に共通するものだが、アメリカの若者のファイナンシャル・マネージメントには他国の学生とは少し違うところがある。

 アメリカの若者、そして、その家族たちを経済的に苦しめている大きな原因は、異常に高い大学の学費だ。学生の大学受験を多面からサポートしている非営利団体、カレッジボードによると、私立の大学の学費平均費は33,480ドル、日本円にして374万円ほどだ。アメリカの大学生の多くは自宅から通学するわけではなく、寮に住むため、学費に加え、さらに寮費や食事代がかかる。そして保険料、教科書代、その他の諸々を含めると50,000ドルを超えることになる。しかも、アイビーリーグなどのいわゆる”エリート校”に進学するとなると、70,000ドルを超えるケースも多々ある。

 しかし、アメリカの経済状況、所得の分布を見ると50,000ドルを子供の教育に捻出できる家庭は少ないことがわかる。中間層と言われる人たちにとっても、大学の費用を払うのはなかなか難しい。では、アメリカの若者たちはどうやって大学に通っているのだろうか?

 アメリカの大学には、補助金や奨学金といったシステムがある。補助金は 「Need
Based(ニード・ベースト)」と呼ばれ、一世帯の収入によって一定金額が支給される。奨学金は「Merit Scholarship( メリット・スカラシップ)」で、本人の成績、スキル、エッセイなどによる審査をもとにして支給金額が決まる。アメリカやカナダの大学には、「ファイナンシャル・エイド」と呼ばれる様々な経済的支援プログラムがあるが、メリット・スカラシップがある大学は珍しい。また、留学生にファイナンシャル・エイドや奨学金を与える大学はさらに少ない。

 大学からの補助金や奨学金でも足りない場合は、学校外の団体や企業から出る奨学金を取ることもできるが、これらは非常に競争率が高く、将来どういった分野で仕事をするかということも審査の対象になる。特に最近多いのは、STEM (Science Technology Engineering and Mathematics)、「ステムフィールド」と呼ばれる理系の分野に進学する学生に贈られるものだ。さらに大学院の奨学金となると、もっと分野が狭まる。

 しかし、補助金や奨学金だけでは学費を全額払えない場合はローンを組み、大学を卒業してから返済するケースもある。40代、50代になっても大学のローンを返済できない人たちが多くいること、また自己破産する人も増えていることは、今アメリカで問題になっていることのひとつだ。社会人となってから、家賃や生活費などに加えて、月々ローン返済をしなければならないのは大きな経済的負担である。

 学費以外のファイナンシャル・マネージメントには、アルバイトがある。私のような留学生はビザの関係上、実際に働くことは難しいが、アメリカの多くの若者たちは、高校生の頃からアルバイトを始める。ボーディング・スクール(全寮制の寄宿学校)などに通っているとアルバイトはなかなかできないが、夏の「サマージョブ」と呼ばれる夏限定のアルバイトをしている学生はとても多い。カフェの店員やベビーシッター、なかにはキャンプのカウンセラーなどをしている学生たちもいる。大学生はインターンを通して収入を得たり、また大学の敷地内にある仕事、つまり「オン・キャンパス・ジョブ」をして、生活費の足しにしている学生も多い。

 アメリカのお小遣い制度はもちろん家族によって異なるが、私の周りの大学一年生たちは決められた金額内で自分なりに予算を考えて生活している。お小遣い帳をグーグルシートで管理している学生もいる。グーグルシートにはテンプレートがあり、計算式を入れると残額が自動で算出される。特にほとんどの大学生は親元から離れて暮らしているので、このようなお金の管理は必要であり、経済観念を培うためにも重要だ。

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