それって不法侵入では?! アメリカでの驚きの家探し

それって不法侵入では?! アメリカでの驚きの家探し

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをアーカンソー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回は「ハウジング・ブーム」、つまり不動産ブームに沸く南部における、驚きの家の探し方をご紹介しよう。


独自のハウジング・ツアーとは?

 旦那の勤務先のリロケーション(配置転換)により、まもなく他州に引っ越すことが決まった。今はアーカンソー州に住みながら、建築士と遠隔でやり取りして新居を建てている最中だ。

 建築中の新居の向かいに偶然にも友人家族が住んでいるため、何か進捗があるごとに連絡をくれるのだが、先日届いた連絡には度肝を抜かれた。

 なんと、全く知らない家族が我が家の中に入って見学をしていたそうだ。

 日本でも建築中の家や完成した家の内部を担当者と一緒に見学することはあるようだが、この家族は、日曜の午後の教会帰りにふらっと建設中の我が家に訪れて、勝手に内部を見ていたというのである。もちろん、向かいに住む友人が「その家はもう所有者がいる家だ」と伝えたそうだが、アポなしで勝手に他人が建設中の家に上がり込んで見学するなんてことをしていいと思っているのだろうか?

 新しく引っ越す先は、これまた南部の州なのだが、その街は特に新築の需要が高く、市場に出たら早く手をつけないと売れてしまうそうだ。そのため、住みたい地域に建築中の家を見つけると、使っている資材や技巧、間取りなどを確認するために市場に売り出される前に、我先にと独自で「ハウジング・ツアー」をする人が多いらしい。

鍵が掛かる前ならば入ってもいいのか?

 日本人の感覚からすると、建築中の家に勝手に入るなんて危険だし、それこそ不法侵入として捕まるのではないかと思ってしまうが、アーカンソー州で建築士をしている友人によると、建築中の家で「ドアやガレージ(車庫)に鍵がかかる前」であれば、勝手に入って見学することは昔からよくあることなのだそうだ。

 しかし、こうした問題を防ぐ対策を講じている地域もある。米南部でハウジング・ブームが起きている地域といえば、昨年フォーブス誌が発表した「全米で急成長する都市トップ3」に入ったテキサス州ダラス市がまず頭に浮かぶ。そのダラス市では、こういう新興住宅地の大区画にはセキュリティー車が配置され、こういうことがないように見張っているという。

 アメリカでは州によっては、マリファナが嗜好品として認可されている州があったり、ホームレス問題が深刻な州や地域もあり、そういう地域では建築中の家に鍵を掛けた後でも、窓から家に侵入して、若者たちが隠れてパーティーや違法行為をしたり、ホームレスが勝手に住み着いてしまうこともあるという。そういう話を聞くと、今回の我が家で起きた「勝手な見学会」くらいは、まだ良い方なのかも知れない。

 しかし、やはり知らない人に勝手に家に入られるのは気持ちが良いものではない。向かいに住む友人には、教会帰りのハウジング・ツアーをされないように日曜の午後は特にしっかり見張って欲しいとお願いした。ドアに鍵が付く日が来るのが今から待ち遠しい。

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

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