スターバックスも大迷惑? シアトルの薬物政策

スターバックスも大迷惑? シアトルの薬物政策

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。薬物依存は、アメリカにおける深刻な社会問題のひとつ。その薬物ユーザーを庇護するかのような政策を行ったシアトルの未来は?


薬物患者が安全に薬物を楽しめる施設?

 先日、子供の小学校の校庭に、ドラッグ用の注射針が落ちていて騒ぎになった。こういうことが日常茶飯事になりつつあるという悲しい状況が、シアトル市の周辺地域にはある。

 シアトル市の薬物政策の中心には、「ハーム・リダクション」という考えが根付いている。これは公衆衛生と薬物ユーザーの基本的な人権を優先させ、寛容さをもって薬物問題を軽減する政策を指す。シアトル市が位置するキング郡保健局は、「薬物患者が針の使いまわし等をすることなく、安全に薬物を使用できる施設」を二か所開くことを2017年に決定した。周辺地域は猛反発したものの、ワシントン州の最高裁判所は、この政策を支持し、今年も議会は10万ドルの追加予算を決定したばかりだ。

 「シアトル市の悪影響は本当に迷惑だ」————私が住む地域にある教会の牧師は深くため息をつく。「シアトル市に追随して、ブレマートン市でも注射針を無料でデリバリーする団体が出来た。彼らは自らを人道支援団体というが、まともとは思えない。」

スターバックスも困惑? 極左政策の暴走

 こうした問題には、かのスターバックス社も頭を悩ませている。同社は昨年5月に、店舗のトイレを顧客以外にも一般解放することを決定した。しかし、それ以降シアトル市内の同社のトイレには、毎日のように薬物を使用した後の注射針がゴミ箱に捨てられるという事態が起きている。しかも、これまでに少なくとも2人の従業員が、トイレのゴミ箱に捨てられていた針で指を刺してしまったという。

 こうしたシアトル市のような極左的な政策が受け入れられない人は、同州の住民の中にもかなりいる。これまでは生粋のリベラル派を自負していた人たちであっても、「ワシントン州がこれ以上おかしくならないうちに、できれば引っ越したい」と話す人たちも周囲にかなりいる。シアトルは水と緑に囲まれた美しい街で、私もこの街が大好きだが、これ以上ドラッグ問題が深刻にならないでほしいと祈る毎日だ。

この記事の寄稿者

青山学院大学卒業。コマーシャルなどの映像コーディネーターを経て1998 年、宝塚歌劇団香港公演の制作に参加。その後プロデューサーに転身。株式会社MJ コンテスほか複数企業の代表として、ネバダ州立大学公認のピラティススタジオ日本進出事業や各種研修事業、2007 年に行われた松任谷由実の 「ユーミン・スペクタクル シャングリラⅢ」をはじめとする国内外の舞台・イベント制作など、さまざまな事業を展開。これまでにベストセラー数冊を含む70以上の書籍、DVD 作品を企画、プロデュース。現在も様々な事業を展開しながら“Go Tiny”(大切なものが、すべて半径5メートル以内にあることに気づこう!の意)というライフスタイルの提案も展開中。

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