死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

アメリカには不思議な法律がいろいろ存在するが、ワシントン州で思わず首をかしげたくなるような「ホラーな法案」が承認され、この5月1日から施行されようとしている。かなり気味が悪い法律の全貌とは?


遺体を肥料にしてよい法律があってよいのか?

 スターバックス本社や大リーグ野球のマリナーズなどで日本人にも人気の高いシアトル市があるワシントン州は、全米の中でも環境保護活動が盛んなリベラルな土地としても知られている。しかし、環境への意識が高い人でも困惑気味の法案が同州の議会で承認され、5月1日から施行されようとしている。その法案とはなんと「死んだ後の人間の遺体を堆肥化してよい」という法案だ。

 これは「遺体について(concerning human remains)」と題される法案5001条のことで、ジェイ・インスリー州知事の署名を待つのみという状態だ。日本なら多くの人が「そんなバカな法案が通るはずがない」と思うだろうが、アメリカでも特にリベラル派が強い州における、リベラル派の後押しの下、この法案が承認される流れとなった。

あなたは有機肥料になりたいか?

 この法案成立をリードしてきたカタリーナ・スペード(Katrina Spade)は、全米ではかなり知られた活動家である。「死後の遺体肥料化」を悲願にビジネスを展開するRecompose社の代表でもある彼女は、この活動を「The Urban Death Project(都市型『死』のプロジェクト)」と呼び、人の死後、安全かつ持続可能な方法で土壌へ返すことで、農地やコミュニティー・ガーデンなどが死者を尊重する場所に変容し、土壌汚染を食い止める手段にもなると主張し続けてきた。彼女は全米各地で講演などを通じ啓蒙活動を行っているが、TEDでのスピーチは特に大きな反響があったという。

 理由を聞けば「なるほど」と思う部分もあるだろうが、それでも死んだ後に「有機堆肥」になりたいと思う人は、日本にはどのくらいいるだろうか? 人体の堆肥が使われた土地で育てられた野菜を食べることに抵抗がある人も多いことだろう。

 前出のインスリー州知事は、2020年の大統領選に出馬を決めている。それ故に、リベラル派が支持するこの法案にサインすることを見送ることは、得票対策上、考えにくいというのが大方の予測だ。しかも、こうした考えは多くのリベラル州で必要性を問われているとも言われており、ワシントン州での事例が「遺体の堆肥化に対して、民意は否定的ではない」というモデルケースにもなる期待も高い。アメリカでは、「人が肥料となって育った野菜」が食卓に並ぶ日も近いかもしれない。

この記事の寄稿者

関連する投稿


気候変動対策を訴える若者たち:沈黙を続けるトランプ大統領と仲間たち

気候変動対策を訴える若者たち:沈黙を続けるトランプ大統領と仲間たち

圧倒的にリベラル派が多く住む米西海岸から、トランプ大統領と共和党の政策に真っ向から反対する日系アメリカ人ジャーナリスト、マイク佐藤がお届けする「トランプを支持しない人たちの声」。今回は、気候変動への対策を訴えるスウェーデンの少女、グレタ・トゥーンベリさんら若者たちの話を聞こうとしない米大統領や政治家たちについて。


16歳の対応がクレバーだと絶賛!トランプ大統領の皮肉に大人な対応

16歳の対応がクレバーだと絶賛!トランプ大統領の皮肉に大人な対応

国連の温暖化対策サミットで各国の代表を前に、怒りの涙を浮かべながら迅速な温暖化対策を熱望するスピーチをしたスウェーデンの16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさん。温暖化対策に後ろ向きといわれるトランプ大統領がツイートでトゥーンベリさんを皮肉ったところ、彼女の対応が「クレバー(賢い)!」だと世界的な話題になった。


50年前より野鳥が30億羽も減少 北米の調査結果にショック

50年前より野鳥が30億羽も減少 北米の調査結果にショック

世界中で気候や環境が大きく変化している中、北米で過去50年間に野鳥の数が極端に減ったという研究結果が発表され、大きく報道された。


地球温暖化を食い止めろ! 世界各地で若者たちが一斉抗議行動

地球温暖化を食い止めろ! 世界各地で若者たちが一斉抗議行動

世界中で異常気象が続く中、「何もしない大人たちに抗議する」活動を続けるスウェーデン人の少女に賛同し、世界各地の若者たちが日本時間21日に一斉に抗議集会や行進を行った。


リベラル派の発言は矛盾ばかり! あのオバマ夫妻が大豪邸を購入

リベラル派の発言は矛盾ばかり! あのオバマ夫妻が大豪邸を購入

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、オバマ前大統領夫妻が大豪邸を購入することは、これまで夫妻が説いてきた話と矛盾すると指摘する保守派たちの意見を紹介しよう。






最新の投稿


【Red vs. Blue】アメリカには、なぜドナルド・トランプが必要だったのか?

【Red vs. Blue】アメリカには、なぜドナルド・トランプが必要だったのか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は「アメリカには、なぜトランプが必要だったのか?」という米メディア記事について。


今週の神秘ナンバー占い(2019年12月13日~19日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年12月13日~19日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


あなたの作品が永久保存される「スケッチブック・プロジェクト」

あなたの作品が永久保存される「スケッチブック・プロジェクト」

ニューヨークの「ブルックリン・アート・ライブラリー」が主催する「スケッチブック・プロジェクト」。これまでに世界101カ国から16万人を超えるクリエイターが参加している、ユニークなアート・プロジェクトとは?


米大統領選ガイド(4)「フェイスレス・エレクターとは?」

米大統領選ガイド(4)「フェイスレス・エレクターとは?」

2020年11月3日に実施される米大統領選挙。トランプ現大統領率いる共和党とリベラルな民主党が政権奪回を争う選挙戦は、その後の世界情勢にも大きく影響するが、米大統領選のルールはかなり複雑だ。そこで、米大統領選を2000年から取材しているジャーナリスト・西森マリーによる、どこよりも分かりやすい解説をお届けしよう。


「えっ、そうなの?」 日本とは全く視点の異なるアメリカでの家探し(3)

「えっ、そうなの?」 日本とは全く視点の異なるアメリカでの家探し(3)

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをケンタッキー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。「アメリカでの家探し」の第3回目、今回は新築の家を購入する際に気をつけたいことを説明しよう。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング