アメリカでは4人に1人がスマートスピーカーを所有している

アメリカでは4人に1人がスマートスピーカーを所有している

進化を続けるオンライン事情により、日々豊かに変化していく人々の暮らし。そんな世界で賢く生きる術とは? デジタルマーケティング専門家、ティム・ポールが解説するコラム『オンラインと僕らの生活』。アメリカの一般家庭におけるスマートスピーカーの普及率が上昇し、成人の4人に1人が所有するといわれるアメリカ市場の現状とは?


何をするためにスマートスピーカーを購入するのか?

 最初にスマートスピーカーがアメリカ市場に登場した時、多くの人々が危惧したことは「プライバシーは守れるのか?」ということだった。しかしその懸念は、スピーカーだけでなく、様々なことを簡単にコントロールできるスマート・ホームデバイス市場の成長とともに急速に薄れてきた。

 アメリカにおけるスマートスピーカーの所有率は2017年から40%も上昇し、現在アメリカ人は6,640万台を超えるスマートスピーカーを所有している。昨年だけでも、390億ドルものスマート・ホームデバイスが購入された。

 スマートスピーカー市場を制するのはアマゾン・ドットコム社の「アマゾン・エコー(Amazon Echo)」で、同市場の約61%を占めている。続くグーグル社の「グーグル・ホーム(Google Home)」は昨年から5%伸ばし、約24%。アップル社の「ホームポッド(HomePod)」は市場の約4%しか占めていない。また、複数の家電メーカーがマイクロソフト社の「コータナ(Cortana)」をベースにしてスマートスピーカーを製造販売しているが、先日マイクロソフト社は独自の製品を開発してスマートスピーカー市場に参入する予定はないと発表したばかりだ。

 スマートスピーカー所有者たちの使用用途は、ほとんどの場合が何かを質問したり、音楽を聴いたり、天気予報を知るためだけという。所有者の約4分の1に当たる人たちは、日常的にスマート・ホームデバイスを使用しており、タイマーや警報機をセットしたり、ニュースを聞くことに加えて、月に何度か何かを買う時に値段や性能を比較したり、レシートを見るために使用しているそうだ。また所有者の約15%に当たる人たちは、最低でも月に一度、何かを購入する時のリサーチにスピーカーを使用するという。

搭載AIはほぼ100%、あなたの質問を理解している

 アマゾン・ドットコム社は3種類の「エコー」を継続して販売している。既に三代目となった小さな「エコードット(Echo Dot)」は価格が40ドル以下と手頃で初心者向けだ。フルサイズの「エコー」(79ドル)と、それよりも大きな「エコー・プラス」(149ドル)はそれぞれ2代目で、音の品質が以前より向上した。

 グーグル社も3種類のサイズで「ミニ」(49ドル)、「ホーム」(129ドル)、「マックス」(399ドル)を販売している。なかでも「マックス」はサイズ感も音楽に特化したサウンド品質も、明らかにアップル社の「ホームポッド」に対抗する商品だが、「ホームポッド」(299ドル)を販売するアップル社は同スピーカーのワンサイズで勝負している。

  Loup Venturesによる昨年末の調査によると、上記3社はそれぞれ自社のスマートスピーカーのAIが質問を99%かそれ以上、正確に理解していると回答している。しかし、受けた質問に対して正しい回答ができる率となると、グーグルが87%以上で1位、アップルのSiriが約75%で2位、アマゾンのAlexaは72.5%だった。

 AIの性能に加え、どのブランドのどの商品を購入するべきかは誰もが悩むところだ。「自宅だけで使用するのか?」、「それで何をしたいのか?」。「音楽の選択肢」が重要だと思う人も多いだろう。それにおいて上記3社のデバイスは、すべてSpotifyと直結している。「アマゾン・エコー」と「グーグル・ホーム」でもApple Musicを使えるが、音楽を再生する際には他の音楽プランを使用しなければならず、「ホームポッド」はAirPlayを使ってAmazon Music またはGoogle Play Musicを使用できる。

 スピーカーを選ぶ際には「自宅のスマート・ホームデバイスと連動できる」ことも重要だ。連動できないスピーカーを購入しても日常生活はあまりラクにならない。ちなみに多くの人が気にしなくなった感の高い「プライバシーの保護」だが、トップ3社の中で売上において大きく差を開けられている3位のアップル社だけが「プライバシーの保護」をセールスポイントに掲げている。

次に注力する性能は音声コントロール

 さて、スマートスピーカー市場における次の展開はどうなるのだろう? スピーカー所有者の約3分の1が、スマートスピーカーを通して「カスタマーサービス」(顧客対応係)が使えたらいいのにと言っているそうだ。確かにそれが出来たら日常生活はかなりラクになる。また最近、特に市場を広げているのが「健康およびウェルネス関連」のアプリやデバイスだ。その中でもバーチャル・ドクター診察、サンプル採取と分析、睡眠のモニタリングは、急速に発達してきている。

 スマートスピーカーを所有することがアメリカ人の日々の暮らしの中に急速に浸透しつつあることで、スマートフォンでも音声アシスタントを使用することが拡大した。この「音声コントロール」の上昇トレンドを無視するブランドはまずないだろうから、各社が性能を競っていくはずだ。「30歳以下のアメリカ人の約半数が買い物をする際に音声アシスタントを使用する」と言われる状況下で、スマートスピーカーの所有数は今後もさらに伸び続けるだろう。

この記事の寄稿者

インターエージェンシーLLC代表(ワシントン州シアトル)。デジタル媒体におけるブランディングおよびマーケティング・コンサルタント。クライアントは米大手スポーツ・ブランドや玩具メーカーから、スタートアップ、非営利団体などと幅広く、緻密なデータ分析から導き出すクリエイティブなネットマーケティングのコンサルテーションには定評がある。シアトルのグランジミュージック・シーンを牽引したバンドのベーシストだった過去を持つ。

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