分かりにくいアメリカの法律――州法と連邦法

分かりにくいアメリカの法律――州法と連邦法

アメリカは50の州と連邦政府の直轄地区であるワシントンD.Cで成り立つ、文字通りの“合衆国”だ。そして、それぞれの州には独自の法律、州法がある。ひとつの国として機能しているものの、州と連邦(国)の法律間には一筋縄ではいかないことも派生する。


 アメリカは各州に、それぞれ独自の法律がある。そのため、州によって法律がまったく異なる項目があることを知っておく必要がある。身近な例では、アメリカにおける運転免許証の発行は州の管轄だ。連邦法のもとにアメリカ中の交通ルールが統一されているわけではなく、州によって交通規制が異なるからである。よって運転免許証の試験の内容もそれぞれの州で異なり、運転免許証を取得できる年齢も微妙に異なる。転勤や転居で州が移る場合には、その都度、運転免許証を新たに住む州のものに書き換えねばならない。
 
 なかには、外国からの移住者に寛容な免許証制度がある州もある。例えばワシントン州のように、日本の有効な運転免許証保持者に対しては、必要書類の提出と視力検査、手数料を支払うだけで学科や実施試験を受ける必要なく、すぐに州の免許証を発行してくれる州もある。しかし、こうした規定もすべて州によって異なるわけである。

 たびたび社会論議に持ち上がる銃の規制についても、州によって銃の保持に対する考え方が異なる。所持が許される銃の種類や、銃の登録や免許に関する規定、銃を携帯して外に持ち出せるのか否か、銃の販売店に対する条件等、州によって異なるルールが存在する。銃のほかにも飲酒に対する州法(年齢や販売できる時間帯など)、結婚や離婚についての法律など、州によって異なる法律の項目はたくさんある。

 州によって法律が異なることは理解できるだろうが、難しいのはアメリカ連邦政府が定める州法との関係である。連邦政府が定める法律では違法とされていることが、州法では合法とされている項目も存在するからだ。その代表的な項目がマリファナだ。昨今、さまざまな州でマリファナの合法化が認められているが、連邦法においては現在でも所持も吸引も違法である。カリフォルニア州ではマリファナの吸引が合法でも、同州はアメリカ国内に位置するのであるから、これをどう解釈したらよいかは非常に悩むところだ。理論的には連邦法は遵守しなければならないものの、現実的には州法を優先するのが大方の見解である。

 アメリカで生活するならば州ごとの法律と連邦法との違いをよく理解する必要がある。その上で、まずは自分が住む州の法律順守が必須であるとことを覚えておこう。

Bizseedsでは、アメリカの注目新サービスを日本に展開するお手伝いをしています。ご興味のある方はお気軽にお問合せください。

この記事の寄稿者

関連する投稿


死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

アメリカには不思議な法律がいろいろ存在するが、ワシントン州で思わず首をかしげたくなるような「ホラーな法案」が承認され、この5月1日から施行されようとしている。かなり気味が悪い法律の全貌とは?


再生紙はもはや常識? 環境に優しいファストフード

再生紙はもはや常識? 環境に優しいファストフード

アメリカのファストフード企業の多くは、このところ環境配慮を全面に押し出したマーケティングを行っている。環境配慮の一環としてパッケージに再生紙を利用し、プラスチック・ストローを廃止し、パッケージのリサイクルなどを行うだけでなく、商品を包むパッケージの全てを「堆肥化可能なもの」にしたという企業も現れた。


スターバックスも大迷惑? シアトルの薬物政策

スターバックスも大迷惑? シアトルの薬物政策

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。薬物依存は、アメリカにおける深刻な社会問題のひとつ。その薬物ユーザーを庇護するかのような政策を行ったシアトルの未来は?


【Red vs. Blue】米国土安全保障省、留学生の取締まりのため「おとり」の偽造大学設立

【Red vs. Blue】米国土安全保障省、留学生の取締まりのため「おとり」の偽造大学設立

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は不法滞在者のおとり捜査をするために、米国土安全保障省が「おとりの偽造大学」を創設していたことについて。


ミレニアル世代は「社会主義」のイメージまで塗り替える?

ミレニアル世代は「社会主義」のイメージまで塗り替える?

アメリカ生活20年強。翻訳家の高柳準が、アメリカ文化とそれにまつわる矛盾を語る「アメリカで暮らしながら想うこと」。今回は資本主義よりも社会主義に魅せられるという、ミレニアル世代たちについて。なぜ今、社会主義なのだろう?






最新の投稿


成功への選択「あまのじゃく」2019年4月26日~5月2日

成功への選択「あまのじゃく」2019年4月26日~5月2日

ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスが送る「成功への選択」。算命学、数秘術、占星術などをベースにしたオリジナル手法を用いて、あなたが切り開くべき幸運への扉のヒントを毎週アドバイスします。さて、あなたのビジネスを成功に導くのは、どちらの選択肢でしょうか?


国税庁を味方にトランプ大統領を窮地に追い込む民主党

国税庁を味方にトランプ大統領を窮地に追い込む民主党

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、政敵トランプ大統領に対し国税庁を使って追い詰めようとしている民主党のやり方について、保守派の見解を披露する。


米FDAが警鐘 豊胸手術でリンパ癌になる確率高まる

米FDAが警鐘 豊胸手術でリンパ癌になる確率高まる

整形大国のアメリカにおいて、「整形したい部位の手術ランキング」のトップに君臨する豊胸手術。年に約40万人ものアメリカ人が豊胸手術を受けている中、米食品医薬品局(FDA)が、人口乳房の埋め込み手術を受けた人が珍しい癌にかかる割合が高いと注意を換気する公聴会を開き、患者や整形外科業界を中心に波紋を呼んでいる。


死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

死んだら肥料になる? ホラーな法案がワシントン州で成立間近

アメリカには不思議な法律がいろいろ存在するが、ワシントン州で思わず首をかしげたくなるような「ホラーな法案」が承認され、この5月1日から施行されようとしている。かなり気味が悪い法律の全貌とは?


再生紙はもはや常識? 環境に優しいファストフード

再生紙はもはや常識? 環境に優しいファストフード

アメリカのファストフード企業の多くは、このところ環境配慮を全面に押し出したマーケティングを行っている。環境配慮の一環としてパッケージに再生紙を利用し、プラスチック・ストローを廃止し、パッケージのリサイクルなどを行うだけでなく、商品を包むパッケージの全てを「堆肥化可能なもの」にしたという企業も現れた。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング