打倒アマゾンを掲げるウォルマート 家の冷蔵庫の中まで配達?!

打倒アマゾンを掲げるウォルマート 家の冷蔵庫の中まで配達?!

国土が広大なアメリカでは、宅配に時間が掛かる。そのため企業は短時間で荷物を届けるサービスを競い、時短輸送システムの構築に力を注いでいる。現状、宅配のスピードに関してはアマゾン・ドットコム社のプライム会員サービスが王者の座についているが、それに対抗しようとするのが全米各地に大型店舗を展開する大企業ウォルマート社だ。


「シッピング・サービス戦争」の幕開け

 アメリカ国内におけるオンライン・ショッピング王者は、言うまでもなく「アマゾン・ドットコム」だ。その取り扱い商品の豊富さはもちろんのこと、プライム会員(月額$119、日本円で約1,300円)になれば「翌日または翌々日、無料配達」のサービスが受けられる。日本ならば「翌日に商品が届くのは当たり前」かもしれないが、アメリカの国土は、日本の約25倍もある。これだけ広いアメリカでは、普通に何かをオンラインで購入して輸送すると少なくとも3日~1週間は掛かる上、オーダーしてから発送までの作業にもなぜか数日かかることもあり、注文した物が忘れた頃に届くことも少なくない。

 その常識を一新したアマゾン・ドットコム社は、独自の巨大ウェアハウス(倉庫)をアメリカ各地に配置したことで翌日配達を可能にした。しかし、このままアマゾン・ドットコム社だけにシッピング・サービス業を牛耳られていては、小売業者の存続に関わると危惧して立ち上がったのが、アメリカ全土にほぼくまなく大型店舗を持つ、大手小売業の「ウォルマート」だ。これまでの同社イメージを変えるべく、有名人とのコラボ商品を続々と打ち出して話題作りに余念がない同社だが、同社もアマゾンを見習って、全米中に展開している大型店舗を同時に倉庫としても使用することで独自のルート配送システムを築き、商品が翌日もしくは翌々日に配達されるサービスを開始した。

冷蔵庫まで商品を届けるウォルマート アイデア合戦の軍配はどちらに?

 米国内の配達は、荷物を家の玄関前に「置いておく」のが主流だ。しかし、留守中に届いた箱を狙った「置き引き」が横行し、組織ぐるみの犯行も増えてきたため、アマゾン・ドットコムは配達時に商品が置かれた玄関の写真を配達完了メールに添付したり、「置き引き防止策」として玄関の中や車庫の中(アメリカでは家屋に隣接したビルトイン・ガレージが主流)まで配達するという画期的なサービスを開始した。当サイト記事でも以前紹介したが、一部地域では、宅配サービスをさらに進化させて家の中にまで荷物を入れる配達サービス、「Amazon Key」を開始して話題にもなった。

 さらにアマゾン・ドットコムは、自社が買収した米高級自然派食品スーパー「ホールフーズ」のサービスの一環として、同社プライム会員へ割引や配達サービスもしている。これに対し、米スーパーマーケットの王者ともいえるウォルマート社が、生鮮食品の配達を開始することでアマゾンに対抗しようと動き出したのだ。しかも、ウォルマートは顧客からの配達指定日に、生鮮食品を「自宅の冷蔵庫の中に入れる」という驚きのサービスを開始するという。もちろん、このサービスを受ける客は玄関に特別な鍵を取り付ける必要があり、その鍵代(未定)は客が負担する。特別な鍵を自宅のドアに取り付けるのは、アマゾンの「Amazon Key」サービスと同じだ。配達員が家の中まで入ってくるサービスは、物騒なアメリカでは特に無防備な感じがするが、各配達員にはボディーカメラが装着さられており、客はその映像を通して配達の様子を見ることができる。これもアマゾンのサービスとまったく同様である。

 ウォルマートは、この新しいサービスの試験運用をニュージャージー州で既に5ヶ月間行い、顧客の懐疑心を拭うことに成功したと言っている。今秋には全米数州でこのサービスを開始し、さらにサービス地域を拡大させていく予定だ。ウォルマートはそもそも売り上げの40%が生鮮食品であるため、この「冷蔵庫まで配達するサービス」の導入で、生鮮食品の売り上げの拡大が期待できると見ている。

 あまり話題にはならなかったが、ウォルマートは2017年にSmart Security Companyとパートナーを組んで同様のサービスを試験運用している。米フォーブス誌の予想によれば、このサービス戦争の軍配はウォルマートに上がるとのことだが、顧客側としては競合がある方がサービスが向上し、より便利になるので、企業が競争するのはウィン・ウィンだろう。

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