「アメリカを再び偉大に」? マジか?

「アメリカを再び偉大に」? マジか?

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回は、トランプ大統領と共和党が、アメリカが抱える様々な問題の解決には目を向けずに、「アメリカを偉大な国にしよう(Make America Great Again)」と今なお呼びかけて続けていることについて。


トランプ支持者にとっての「良かった時代」とは?

 「アメリカを再び偉大な国にしよう(Make America Great Again)」。ご存知、ドナルド・トランプが支持者を集めるために使っているスローガンだ。これは、現在のアメリカは、かつてのように偉大な国ではなく、そのアメリカの偉大さを取り戻すことができる人物がトランプなのだと意味するものだ。

 しかし、これはまったくバカげた考えだ。たとえ、アメリカの偉大さが以前よりも薄れたという考えを受け入れたとしても、トランプが大統領になってしまった事実は、その問題の結果であって、解決策ではないことは明らかだ。トランプと共和党は、自分たちの個人的な利益のためにアメリカの富を奪っていく。その事実から民衆の気をそらすために、過去の「良かった時代」を取り戻そうなどという不明確なことを支持者に訴えているだけだ。その「良かった時代」の定義も曖昧だが、アメリカが抱えている数々の大問題を解決せずに、どうして「良い時代」に行けるなどと思うのだろうか?

大問題を無視したままでは、偉大にはなれない

 一方、民主党は、すべての人にとってより良いアメリカ、より良い世界になるよう未来に向かって進もうとしている。来年の米大統領選に向けて、すべての民主党候補者たちは、彼らが勝った暁には次の3つの大きな問題に取り組むことを掲げている。

1.気候変動

 気候変動が地球上の生命の存在を脅かすことは、誰もが知っていることだ。オバマ政権下ではこの問題に対処するため、アメリカは世界の他の国々と共にパリ協定に加わった。しかし、共和党は純粋に経済的な理由で気候変動を否定しており、トランプ大統領はアメリカをパリ協定から離脱させた。共和党は、環境を保護する規制よりも企業が最大の利益を得ることを優先するべきであり、環境問題はそれが本当に深刻になった時に解決法を見つければよいと言っている。バカげている。この愚かな考えを正すには、民主党が勝利しなければならない。

2.医療制度

 アメリカの医療制度は最悪だ。今の医療制度は人の命を犠牲にし、健康よりも利益を優先するものだ。医療費があまりにも高いので、多くのアメリカ人は具合が悪くても医者に行かず、大きな病気にかかってしまうと経済的破綻に追い込まれる。オバマ前政権はこの問題に取り組むことを最優先事項とし、手頃な価格の医療制度(オバマケア)は、完璧な解決策ではなかったものの正しい方向への第一歩だった。しかし共和党は、医療費を払えない人々に医療を提供することは、よいビジネスではないと考え、執拗にオバマケアを廃止しようとしている。それに対し、民主党はすべてのアメリカ人が優れた医療を受けられるようにすることが義務だと考えている。

3.教育

 大学の学費は高額で、多くのアメリカ人は大学進学に必要なお金の余裕がない。そのため多くの若者が多額の学費ローンを借りて進学し、多額の借金に悩まされている。共和党は悩める学生より、ローンの貸し手側の利益を守ることを優先している。高等教育を受けていない人々は、そうでない人々よりも情報や仕事の選択肢が少ないとされ、トランプ支持者の多くもそういう人たちだ。民主党は、教育を受けた人々は本当の意味で偉大なアメリカのためになると信じており、すべてのアメリカ人は借金を背負うことなく、良い教育を受けることができるはずだと信じて、その実現を目指そうとしている。

 このように共和党と民主党の違いは明らかだ。トランプと共和党は、個人的な利益を得られるだけを支持する。それをしやすくするために、敵は何にでも批判的な民主党や大手メディアだと公言し、アメリカを分裂させようとする。しかし民主党は、アメリカ国民が一致団結して将来に希望を持ち、達成への道が困難でも大きな問題を解決するために協力しているときこそ、アメリカが最も輝けることを知っている。個人的な利益のためではなく、それが正しいことだからだ。これこそが、アメリカを偉大にする精神なのだ。

この記事の寄稿者

1974年生まれ。文学書とコーヒーを愛するコラムニスト。書籍に関しては幅広く読むが、コーヒーに関しては、豆の原産地から流通や焙煎の過程までを詳細にフォローし、納得したものだけを味わうことにしている。温厚で穏やかな性格であるものの、コーヒー豆へのこだわりと同様に理路整然としない、あるいは納得できない社会の動きに対しては、牙をむく活動派的な一面もある。妻と犬一匹と共に、カリフォルニア州オークランド在住。

関連する投稿


【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はトランプ大統領が来年11月に予定されている次期大統領選への立候補を正式表明したことについて。


フェイスブックに政治観を明記するか否か

フェイスブックに政治観を明記するか否か

保守とリベラル派の対立が激化し「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが語る。フェイスブックのプロフィール・ページの基本データの中にある「政治観」という欄。ここに「保守派」と堂々と書ける人とは?


トランスジェンダーの不法移民専用の収監施設がすごすぎる件

トランスジェンダーの不法移民専用の収監施設がすごすぎる件

メキシコ国境と隣接する米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回はトランスジェンダーの不法移民専用の収容施設が米国民のホームレスより環境が良いのはおかしいだろうという保守派の声について。


【Red vs. Blue】日本でのトランプ大統領の発言に、アメリカ国民はどう思ったか?

【Red vs. Blue】日本でのトランプ大統領の発言に、アメリカ国民はどう思ったか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は先月、日本に新元号初の国賓として訪れたトランプ米大統領が、日本で開催された記者会見で自国の政敵の悪口を言い、金正恩の発言をサポートしたことについて。


再選活動本格始動! トランプ大統領とディナーを食べたい人、募集中

再選活動本格始動! トランプ大統領とディナーを食べたい人、募集中

毎度お騒がせのドナルド・トランプ大統領が、「彼とディナーを一緒に食べたい人」を募集している。来年の大統領選挙での再選に備えたPR活動の一環だ。公式HPで応募がスタートされるや否や、ネット上は大騒ぎになっている。






最新の投稿


クレジットカード社会のアメリカらしい、子供向けサービス

クレジットカード社会のアメリカらしい、子供向けサービス

日本とは異なり、アメリカでは50ドル以上の現金を持ち歩く人はとても少ない。「現金はまったく持たず、クレジットカードかデビットカードのみ」という人も大勢いる。そんなカード社会だからこそ重宝されている、子供向けのサービスがある。


50歳以上の女性を対象にした一軒家シェア・マッチングとは

50歳以上の女性を対象にした一軒家シェア・マッチングとは

地域などで差はあるものの、一般的に個人主義と言われるアメリカ人は、高齢になってもひとり暮らしを好む傾向が高い。しかし50歳を過ぎて独身の場合は、必ずしもそうとは言えないようだ。一軒家の所有者で同居人を探している人と、賃貸マンションやアパート暮らしに不安を感じている人をマッチングさせるサイトの人気が上がっているという。


アイデア靴下の大勝利? 旅行やアウトドアの必需品に

アイデア靴下の大勝利? 旅行やアウトドアの必需品に

夏、真っ盛り! 旅行やイベントなどの予定がある人も多い中、海外旅行や野外イベントに行くときに、ちょっと心配なのが貴重品の管理だ。大勢が集まる場所や海外ではスリやひったくりに遭わないよう、昔ながらの腹巻型の貴重品入れに財布やパスポートを入れて持ち歩く人もいるのでは? そんなあなたにオススメなのが、このアイデア靴下だ。


今週の神秘ナンバー占い(2019年7月12日~18日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年7月12日~18日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はトランプ大統領が来年11月に予定されている次期大統領選への立候補を正式表明したことについて。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング