トランスジェンダーの不法移民専用の収監施設がすごすぎる件

トランスジェンダーの不法移民専用の収監施設がすごすぎる件

メキシコ国境と隣接する米テキサス州に暮らすイスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーが、米国内でも報道されにくい保守派の声やテキサス州など南部の住民たちの声をお届けするコラム。今回はトランスジェンダーの不法移民専用の収容施設が米国民のホームレスより環境が良いのはおかしいだろうという保守派の声について。


アメリカ人の権利より不法移民の権利を重視するリベラル派

 5月下旬、ホンデュラス出身のトランスジェンダーの女性が、ニューメキシコのトランスジェンダー専用不法移民収容施設に到着した数日後に死亡した。死因は肺炎と脱水症状だったが、その女性はHIV感染者だったため、中道派と保守派は「過酷な長旅が原因の過労死だろう」と考えた。

しかし、民主党議員やリベラル派は「移民捜査局は人殺しだ!」と叫んだため、米移民税関捜査局はその濡れ衣をはらすために、これまでは公開していなかったトランスジェンダー専用の不法移民収容施設の映像とツイートを発信し、人道的な施設であることをアピールした。問題の映像はこちら。

 専用の収容施設に収監されているトランスジェンダーの不法移民たちは、女性らしく見せるためのヘアー・メイクの授業を受け、バスケットボールやバレーボールを楽しみ、図書館で読書をし、インターネットのアクセスもあり、医療ケアや法律相談を無料で受けている。

 この映像が公開された後も、リベラル派は「やらせのPRビデオにすぎない」と言っているが、連邦政府職員が政府の仕事に関して嘘をつくことは罰を伴う違憲行為だ。もし、これがやらせ映像ならば、大きな問題になる。たとえバレーボールやオペラを楽しんでいる姿が演技だったとしても、施設の中で3度の食事とベッドを提供されているのは事実だ。つまり、少なくともトランスジェンダーの不法移民はアメリカ国内に溢れるアメリカ人のホームレスより上等な扱いを受けていると言えるだろう。

まず、アメリカ人のホームレスを保護するべきでは?

 移民税関捜査局は、性別にかかわらず収容施設にいるすべての不法移民に年間2億5000万ドルもの費用を掛けて医療ケアを提供している。その費用は、もちろんアメリカの納税者が負担している。

 さらに、リベラルな民主党が圧倒的多数を占める州では、州民の血税を使って様々な不法移民優遇政策を実施している。たとえばニュージャージー州は、州政府が不法移民の子どもたちに大学の学費援助を提供する州法を通した。ニューヨーク州も、共和党議員が提案した「戦死した兵士の子どもたちの大学の学費を無料にする」という法案は拒絶したものの、不法移民の子どもたちに州が2700万ドルの学費援助を与える法案は可決した。オレゴン州やワシントン州では、不法移民に州内出身者用の学費(他州出身者よりかなり安い学費)で進学できる権利を与えている。カリフォルニア大学は不法移民に2500万ドルの学費援助を提供。議員の75%が民主党のカリフォルニア州では、共和党が提案したアメリカ人の高齢者へ医療ケア拡大は否決されたものの、19才から25才までの不法移民の医療ケア負担法案は可決された。

 ワシントン州のシアトルではホームレス問題が悪化の一途をたどり、ロサンゼルスでもホームレスが急増し、民主党のガーセッティ市長のリコール運動が起きている。これを考えると、保守派や中道派の人々が、「民主党はアメリカ人よりも、不法移民の権利を重視している」と怒るのも無理はないだろう。

 ちなみに、カリフォルニア州、ニューヨーク州などの13州が不法移民の運転免許取得を許可している。アメリカでは運転免許と有権者登録が直結しているため、保守派は「民主党が不法移民を歓迎するのは人道的な理由からではなく、単に票田を増やすためだ」と話している。

この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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