【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

【Red vs. Blue】トランプ大統領、フロリダの集会で2020年大統領選の再選を宣言

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回はトランプ大統領が来年11月に予定されている次期大統領選への立候補を正式表明したことについて。


 先月18日に米フロリダ州オーランドで開催された政治集会でトランプ大統領は、「2020年の大統領選で再選を目指す」と宣言し、ここ2年の成果として経済成長、減税および規制緩和を強調した。しかし、移民政策やオバマケア廃止などの公約は実現しておらず、次期政策の展望や課題も提示しなかった。そんな中、対立政党の民主党では、次期大統領選の候補者20数名の指名獲得争いが先月26日の討論会で火蓋を切った。ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ大統領の支持率は低迷を続けているが、大統領のアドバイザーたちは大統領特有の能力、つまり「予期できない言動」が彼を熱狂的に支持する有権者たちを鼓舞し、浮動票の獲得に結びつくと信じていると報じている。本欄の保守派、リベラル派を代表するアメリカ人の反応は?

出典:「ニューヨーク・タイムズ」
Trump, at Rally in Florida, Kicks Off His 2020 Re-election Bid

Red: アメリカにおける指導者とは?

American Leadership

 240年以上も前に「自由の戦士」として大英帝国と戦った起源から、アメリカ人の国民的アイデンティティの核心には「無骨な個々の市民」という思いがある。これがビジネス、政治、軍事、産業、学会、その他の多くの市民組織に至るまで、多くのアメリカの指導者に見られる「望ましいリーダーシップの特徴」を形成した。例えば軍隊では、良き指導者は無私無欲、熱意、創意工夫、規律、勇気、尊敬、他者への権限委譲、説明責任、傾聴、誠実、任務への献身、そして部下の価値の認識という美徳を具現化することが期待される。本能的なレベルでは、アメリカにおけるすべての偉大な指導者たちは、彼らが率いる男女は子供ではないと認識しているだけでなく、彼らの指揮の下において部下は奴隷でも使用人でもないと認識している。大規模な組織のリーダーには大きな権限と責任が与えられることが多いものだが、指導者たちは彼らが率いる人々に対し、真摯な相互尊重を抱くべきであり、3億3千万人のアメリカ市民を率いる米大統領の場合も然りだ。

 ドナルド・トランプが、我々の記憶に残る近年すべてのアメリカのリーダーと異なることが一点ある。それは、トランプはアメリカの大衆を子供扱いしないことだ。それどころか、彼の指導スタイルは直接的で、アメリカ人の個々人が国にもたらす価値を指摘し、尊重する。端的に言えば、彼はすべてのアメリカ人の心の中に祀られている荒削りな個々の精神に直接語りかけ、簡潔に話す。「我々はみんなひとつであり、平凡な市民から大統領まで断固として平等だ」と。

 来年の大統領選において、民主党の大統領候補が直面している問題は、「国民を自身の問題が解決できる個人として尊重するリーダー」がひとりもいないことだ。ほとんどすべての民主党の政策やキャンペーンは、大学の授業料無料化から政府主導の国民皆健康保険まで、更にコストのかかる政府プログラムを提唱している。民主党は国民を「ママとパパに何もかも払ってもらわないと自立できない無能なティーンエイジャー」のように見下して扱っている。アメリカ人は何よりも個人主義であり、平等を望み、指導者から子供のように扱われることを嫌う。これが、来年の選挙で民主党が負ける理由だ。

Blue: アメリカは1万回の嘘をついたトランプを再び大統領にするのか?

Trump's Told 10,000 Lies. Trump for President!

 アメリカは、「自国の大統領がバカげた言動をしなかったことを祝う」という悲しい状況に陥っている。トランプは自身の選挙キャンペーンを立ち上げる演説において、用意した原稿に従ってスピーチし、その後で原稿を捨ててからも、あまりにも異常なことを言わないように努めていた。この稀な様子を見て、保守派とリベラル派の各メディアはまるで大統領がガンの治療法を発明したかのように称賛した。実際にトランプは演説の中で、もしも彼が再選したら彼の政権はガンとエイズを治癒すると約束したが、彼の主張には科学的な根拠がまったくない。その上、彼は米疾病管理予防センターの予算から14億ドルを削減し、保健社会福祉省からも1,400万ドルを取り上げようとしているのだ。

 来年の大統領選に向けた民主党の候補者たちは、気候変動、経済、移民に対する賢明な解決策を議論するのに忙しい。しかし、トランプは環境の規則から科学を遠ざけ、無意味な輸入関税を通してアメリカ人から金を取り上げ、移民の子供たちを両親から引き離すことに忙しい。トランプの前首席補佐官(ジョン・ケリー)は、移民の子供達が閉じ込められている拘置所を所有する会社の取締役会のメンバーであり、トランプ政権は昨年2億ドル以上を使ったが、トランプは立候補演説でそれについては何も触れなかった。

 トランプはFoxニュースの狂気であり、人間の形をしたソーシャルメディアであり、歩くダニング=クルーガー効果(注:能力の低い人が自らについて実際よりも高い評価を行うこと)だ。そして、日々の最大の問題に対するトランプの取り組み方は、嘘をつくこと、もしくは民主党か報道を非難することである。ツイッターで核戦争の脅威をそそのかして楽しみ、平和条約の交渉や世界サミットの粉砕に自分の子供を送り込む。それなのに何百万人ものアメリカ人は、「トランプは自分たちを理解してくれている」と信じているのだから、どうかしている。

 おそらく最も大きな悲劇は、トランプこそがアメリカのすべての良きものの「フェイス・オブ・ザ・デス(死の顔)」であることを理解できるほど賢くないことだろう。アメリカと世界のためにも、トランプを再選させてはならない。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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