GDPRがアメリカにもたらした教訓 いまさら聞けないデータビジネスの心得とは

GDPRがアメリカにもたらした教訓 いまさら聞けないデータビジネスの心得とは

Facebookの個人情報流出事件では、その制裁金の高さに注目が集まったが、アメリカ企業であっても欧州の顧客データがあるだけで「EU一般データ保護規則(GDPR)」に従う必要があり、今、どの企業もデータ管理の再強化を迫られている。


アメリカ企業に迫られるデータ保護・管理体制の再確認

 SRAMなど最新テクノロジーを搭載した自動運転技術や、ブロックチェーンを利用した仮想通貨プラットフォームなど、新たな技術の発展により生活はますます便利になっていく。しかし、その発展の裏には「データ保護、セキュリティ管理」という課題が必ず付いて回る。

 2019年7月24日、アメリカ連邦取引委員会 (FTC)は、米・Facebook社が最大8,700万人の個人データを流出させた問題に対して、50億ドル(日本円で5400億円) の制裁金を科すと発表した。これは個人情報流出による制裁金として過去最高額とされており、Facebook社は金額的な痛みだけではなく、社会的な信頼という面でも痛手を負うことになった (詳細はこちらから)。

 Facebook社の過ちを反面教師にして、多くのアメリカ企業がデータ保護、管理体制を再確認する必要がありそうだ。

欧州企業以外も順守が必要なGDPR(EU一般データ保護規則)

 今や私たちが関わるほとんどすべてのビジネスで、顧客データが取集され、マーケティング、製品サービス開発などに活用されている。そのため、個人情報に関わるデータは二次、三次…と加工されて、企業の各部署に点在している可能性が高い。日々更新、加工が行われるすべてのデータの管理を正しくできていると胸を張れる企業はどれだけあるだろうか。

 目を向けるのは社内のデータ管理、そして国内規則だけではない。取引のある海外顧客データ、そして現地のデータ保護規則にも十分注意が必要だ。

 具体的にはアメリカ企業であっても、欧州の顧客データを保持している場合は2018年に発効されたGDPR(EU一般データ保護規則)に従ったデータ管理が必要である。

 実際にFacebook社の個人情報流出の件では、イギリス・英国個人情報保護監督機関 (ICO)はGDPRに違反するとして50億ポンド(7,000万円の)制裁金を同社に科している(詳細はこちらから)。

 またGDPRに抵触した場合、ペナルティを負うだけではなくEU当局から問題発生の72時間以内に情報を開示する義務がある。有事の際に情報開示を迅速に行うためには、データガバナンスを意識した情報管理プラットフォーム構築が必要ということと同義である。データビジネスで利益を得る背景には、常に繊細なデータ管理体制が求められているということを、個人レベルで心得ておく必要がある。

Facebook社は2020年に暗号資産「リブラ」を発行する計画もある。一連の個人情報流出によって、今後のデータ保護、セキュリティ管理に関して多くの視線が、マーク・ザッカーバーグCEOの経営判断に集まっている。

この記事の寄稿者

大学卒業後、大手外資IT企業にてセキュリティ、アナリティクス、データベース、機械学習ソリューション提案を担当。2017年4月日本初の商用データサイエンティストコラボレーションプラットフォーム導入を実現。同社グローバルアワード受賞。AI活用をテーマにしたトークイベントの企画、実行を手掛けるなど、社外活動も精力的に行ってきた。
現在はフリーライターとして、記事執筆および編集を行う。前職の経験を生かしたIT関連記事執筆を中心に、欧州・東南アジア在留経験にもとづく情報発信に携わる。

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