二極化するアメリカを操るのは富者

二極化するアメリカを操るのは富者

圧倒的にリベラル派が多く住むカルフォルニア州。同州在住でトランプ大統領に投票しなかったアメリカ人のひとりである著者が語る、今のアメリカのリアル。今回はここまで分断が進んでしまったアメリカを操るのは誰なのか、リベラルな著者の見解を披露する。


共通の敵ではなく、互いに戦わされるアメリカ人

 アメリカ国民は、かつてないほど分裂している。右派vs.左派、保守vs.リベラル、共和党vs.民主党、Red vs. Blue……。政治や社会ニュースは、これらの用語を使って伝えられ、そのほぼ全てが「未来のアメリカのための戦い」として構成されている。

 優れた教育とクリティカル・シンキング(物事に対して批判的精神を客観的に分析、思考すること)のスキルを欠いている多くのアメリカ人は、「どちらか一方を選ぶ義務」を感じている。その後、彼らは選択した側をサポートするTVニュースだけを視聴し、彼らのソーシャルメディア・ネットワークを相手側に対する憎しみを増幅する人々と組織のみで満たす。彼らは互いを敵と見なし、国賊と呼び、アメリカを破壊しようとしていると非難しあっている。

 しかし、彼らは皆、自分たちが操作されていることに気づいていない。誰が、何のために彼らを操っているのかを。

アメリカの政治制度は富者のため

 現実はこうだ。アメリカの政治システムは、巨額な資金を持つ者の利害によって腐敗している。政治家が公職に選出されるには莫大なお金が必要だ。平均的なアメリカ人は、政治キャンペーンに大きな貢献をするのに十分な余裕がない。よって、政治家は有権者に目を向ける代わりに、少数の非常に裕福な個人、企業、そして場合によっては外国政府に頼って、自らが選出されるために必要な資金を得る。その見返りに、それらの裕福な人々と組織は、自分たちに利益をもたらす法律と政策の約束を得る。

 このシステムは、裕福な者たちにとって非常にうまく機能している。平均的なアメリカ人にはほとんど無関係であり、この層から必要とされるのは投票のみだ。そのため、放送局も新聞社もソーシャルメディアもコントロールしている富者は、この架空の戦いを促進し、アメリカ人を自ら戦い続けさせている。政治家はそれと一緒に行動し、有権者は彼らの側のために戦ってくれると信じる人を選択する。そして、国民が気を散らされている間に、政治の腐敗は続くのだ。共通の敵を持っていることに国民が気づかない限り、そのシステムは変わらない。

問題を解決する力を持つ政治家がシステムを変えないのは……

 この腐敗は今に始まったことではない。これまで、ほとんどの政治家はやむを得ず、このゲームをプレーしてきたものの、アメリカ国民のために正しいことをしようとしていた。ところが現在アメリカには、道徳や倫理、そして自分以外の者に対する義務感の負担を全く感じない大統領がいる。そして、この大統領を共和党は恥じることなく支援する。「最高の入札者にアメリカの未来を売ろうとする大統領」を配しているというアメリカの問題は、もう臨界値に達している。

 政治家には、それを許可する法律を変更することにより、問題を解決する力がある。しかし、彼らは何も変えようとはしない。なぜなら、それは彼らを今の地位に選出させたシステムを変えることになるからだ。現状を維持すれば、彼らは公職を失った後も裕福に暮らすことができ、富者の利益を得るために有給のロビイストとして働くこともできる。

 アメリカ人を説得して、右派vs.左派の意見の不一致から大局的な視野に戻し、国を破壊する腐敗に反対するために集まらせることは容易ではない。しかし、アメリカが議会制民主主義として存続していくためには、皆が団結して共通の敵に向かって戦うことが必要なのだ。

この記事の寄稿者

1974年生まれ。文学書とコーヒーを愛するコラムニスト。書籍に関しては幅広く読むが、コーヒーに関しては、豆の原産地から流通や焙煎の過程までを詳細にフォローし、納得したものだけを味わうことにしている。温厚で穏やかな性格であるものの、コーヒー豆へのこだわりと同様に理路整然としない、あるいは納得できない社会の動きに対しては、牙をむく活動派的な一面もある。妻と犬一匹と共に、カリフォルニア州オークランド在住。

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