リベラル圧倒地域から一歩抜け出した世界の風景
現在住んでいるシアトル近郊は、全米でも特にリベラル色が強い地域。そんな場所で7年以上も生活しているので、すっかりその中の「常識」が染み込んでしまっている。少しずつ保守派たちも声を上げ始めているが、今住んでいる場所では表立ってリベラル派に疑問を呈したり、反対することはしにくい。私はリベラルでも保守でもないが、完全なリベラルでないことを批判されたこともある。現政権について疑問はあるものの、「自分たちの意見以外は正しくない」と言わんばかりの、シアトルにいる極左リベラルは正直、苦手だ。
しかし最近、もしかしたら「この国には希望は残っているのかもしれない」と思えたことがある。先日、主人の転勤のためにバージニア州に家探しに行ったのだが、そこに広がっていたのはリベラルと保守の共存した、私個人としては「理想的な」環境だった。
トランプ支持の赤い帽子とリベラルが共存する場所
主人の新しい赴任地は独立戦争の激戦地だったヨークタウンに隣接しており、深い歴史がある。「アメリカ建国」とその歴史に誇りを持つ人々が暮らし、全国から観光客がやってくる場所でもある。オールドタウンの可愛らしいカフェに入ったら、お土産棚に品の良いトランプ大統領グッズと、オバマ前大統領グッズが複数飾られ、売られていた。
「シアトルでは、こんな光景には絶対、出会えない」と思わず口を滑らせたら、後ろに立っていた老紳士が棚の下に書いてある文字を指さして、ウインクをした。そこにはこんな文字が書いてあった。
「We are all American (私たちはみな、アメリカ人)」
老紳士はトランプ大統領でおなじみの「Make America Great Again」と書かれた赤い帽子をかぶっていたが、奥様は私に「実は私、オースティン出身でオバマさんの大ファンなのよ」とニッコリ笑った。
来年は大統領選挙だ。あと1年と少し。本格的な選挙戦の火蓋は既に切られている。投票日当日、私はすでにバージニアにいるはずだ。リベラルの地で経験した前回の選挙と、中道派であってもストレスなく存在が許されるバージニア州での選挙。アメリカが次に下す結論はどんなものになるのだろうか。
青山学院大学卒業。コマーシャルなどの映像コーディネーターを経て1998 年、宝塚歌劇団香港公演の制作に参加。その後プロデューサーに転身。株式会社MJ コンテスほか複数企業の代表として、ネバダ州立大学公認のピラティススタジオ日本進出事業や各種研修事業、2007 年に行われた松任谷由実の 「ユーミン・スペクタクル シャングリラⅢ」をはじめとする国内外の舞台・イベント制作など、さまざまな事業を展開。これまでにベストセラー数冊を含む70以上の書籍、DVD 作品を企画、プロデュース。現在も様々な事業を展開しながら“Go Tiny”(大切なものが、すべて半径5メートル以内にあることに気づこう!の意)というライフスタイルの提案も展開中。