アメリカの大学で教える「変わった授業」とは?

アメリカの大学で教える「変わった授業」とは?

ニューヨークにある名門コロンビア大学バーナードカレッジの学生、光田有希が、アメリカの大学生たちに人気のアプリやサービス、学生たちのトレンドなどの情報をお届けするコラム。今回はアメリカの大学で受講できる、ちょっと変わった授業をいくつか紹介しよう。


いつもと視点を変えて学ぶことで理解が深まることも

 数え切れないほどのアカデミックな科目、世界中から集まった教授と生徒、そしてトップレベルのファシリティー……。アメリカの大学には、常に新しい分野の研究を進め、それを学生に教えるという風潮がある。もちろん他国にもあるような基礎的な授業も揃うが、アメリカの大学には風変わりな授業がたくさんある。今回はそんな変わった授業をいくつか選んでご紹介しよう。

 変わった授業とは単に突飛なことを教えるだけではなく、「ひとつのトピックを通常とは少し異なった目線で学ぼう」という目的がある。例えばマサチューセッツ工科大学で教えられている「Street Fighting Mathematics (喧嘩と数学)」は、喧嘩中に起こる動きを物理的、数学的に分析していく授業だ。また、同大学で教えられている「Kitchen Chemistry(キッチン化学)」では、「台所を実験室に」というアイデアを元に、料理中に起きる化学現象を研究する。この二つの授業は、基礎的でつまらなくなりがちな理系の授業を身近に感じることができるように工夫されている。

 文系の授業はさらに変わった視点から歴史、社会学、文化学を考察するものが多い。ブラウン大学の「 The Private Life of the Privy: A Secret History of Toilets(隠されたトイレの歴史)」という授業では、歴史、ジェンダー、宗教、病気、そしてテクノロジーに触れながら、トイレが異なった文化の中でどのように受け入れられ、変化を遂げていったかを勉強する。世界中のトイレを比較しながら、トイレのあり方がその地域の文化や思想をどのように形どっているかを学ぶのは、なかなか面白いアプローチだ。また、テンプル大学の「UFOs in American Society(UFOとアメリカ社会)」という授業は、軍や科学者、カルト、エンタメ、メディアがどのようにUFOという驚異的なものに反応、対応し、それがどういった意味をもたらすかということを考える。これも前述のトイレ同様、UFOというレンズを通して、そこからアメリカ社会を政治的に分析するという授業だ。

日本でも教えないような日本文化の授業も

 アメリカの大学で、日本の文化はどのように教えられているだろうか? コロンビア大学の「Cultural History of Japanese Monsters(妖怪と文化史)」という授業では、13世紀に渡って妖怪という存在がどのように映画や文学、ドラマ、アートで描写されているかを分析する。ゴジラからポケモンをはじめ、日本人が当たり前のように使い、表現してきた「モンスター」というコンセプトを研究するこの授業は、アメリカでもかなり珍しい。

 この他にも日本ではなかなか出会えないユニークな授業がたくさんある。コーネル大学の「Tree Climbing (木登り)」や「Introduction to Wines(ワイン入門)」の授業を始め、ウィスコンシン大学の「Elvish: The Language of “Lords of the Rings” (エルビッシュ:ロード・オブ・ザ・リングの言語)」など、「そんな授業で単位が取れるの?」と思ってしまうような授業がアメリカにはあふれている。ただ単にその科目を勉強するのではなく、違った目線でその分野を研究することは、学生にとっても、教授にとってもおもしろい学びのプロセスだ。私も残りの大学生活でいろんな変わった授業を受講したいと思う。

この記事の寄稿者

1997年生まれ、21歳。東京都出身。青山学院初等部・中等部を卒業後、米国バージニア州の女子校、St. Margaret’s Schoolに2年通う。2015年にコネチカット州のWestminster Schoolに転校し、卒業。現在はニューヨークにあるコロンビア大学・バーナードカレッジにて都市計画と国際関係、教育を専攻し、国際貢献の分野を志している。

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