保守派が選ぶ8月・9月のフェイク・ニュース「ワースト5」

保守派が選ぶ8月・9月のフェイク・ニュース「ワースト5」

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、アメリカの大手メディアがここ2カ月間に報道したニュースの中で、多くの保守派が「フェイク・ニュース」だと断言しているニュースの「ワースト5」を紹介しよう。


ここ2カ月に限定しても、保守派にとってはフェイク・ニュースばかり

 トランプが大統領に立候補して以来、アメリカの大手メディアはトランプ嫌いが高じて、トランプに不利になる情報はたとえ真偽の確認が取れていなくても「ニュース」として報道するようになった。

 今回は、大手メディアが報道した「ニュース」の中から、この2ヶ月で特に保守派を呆れさせたものを5つご紹介しよう。

保守派が選ぶ フェイク・ニュース第5位

 「今年のアマゾン熱帯雨林の火事が激化したのは、ブラジルのトランプと呼ばれるボルソナーロ大統領のアンチ環境保護政策のせいだ」というニュース。

 アマゾンの火災は事実だが、今年の火災が特に激しかったわけではなく、「過去15年の平均値以下である」とNASAブラジル国立宇宙研究所が報告している。アマゾン火災を利用して環境保護を訴えたフランスのマクロン大統領や俳優のレオナルド・ディカプリオがツイートした写真は20年前のもの、マドンナがツイートした写真は30年前のものだ。

 森林伐採を推進しているボリビアでもアマゾン火災が起きており、インドネシアでも森林伐開拓から大火事が起きているが、大手メディアに糾弾されないのは、ボリビアは左翼政権、インドネシアはイスラム国家だからだろうと、保守派はメディアの偏見にあきれ果てている。

保守派が選ぶ フェイク・ニュース第4位

 「米CIAは ”自制心がないトランプ大統領が機密を漏らす危険がある” という懸念から、ロシアに潜伏させていた諜報員を2017年にアメリカに呼び戻した」というニュース。

 9月9日、CNNはこれを特ダネ扱いで大々的に報道し、民主党派が一斉にトランプを非難した。第一報が流れた直後に、CIAが諜報員を呼び戻す決定が下されたのはオバマ政権時代のことであり、トランプ大統領とは無縁の出来事だったことが判明したが、CNNは未だに上記の”主張”を貫いている。

保守派が選ぶ フェイク・ニュース第3位

 「トランプ大統領はスコットランドで空軍が給油する際に、兵士たちを自分のホテルに泊めさせて私腹を肥やしている」というニュース。

 9月7日にこの第一報が流れ、大手メディアが一斉にトランプを糾弾したが、その後の調査で、オバマ政権時代に国防省が「スコットランドでの給油の際に兵士はトランプ所有のホテルに泊まる」と決めたことが発覚。空軍関係者も「給油所の近くにはマリオット・ホテルもあるが、そちらは一泊161ドル。トランプのホテルは136ドルなので、166ドルの宿泊代をもらった兵士が、安い方を選んでいるだけで、トランプ政権に強要されているわけではない」と話している。

保守派が選ぶ フェイク・ニュース第2位

 「最高裁カヴァナー判事はイェール大学時代に酔ってパンツを脱ぎ、女性の手にペニスを押しつけた」というニュース。

 9月14日、『ニューヨーク・タイムズ』紙は上記を特ダネ扱いで報道し、民主党議員たちが一斉に「カヴァナーを弾劾裁判にかけろ!」と叫んだ。しかし、くだんの女性はインタビューに応じず、彼女の友だちは「彼女はそんな記憶はないと言っている」という事実が発覚。また、上記の記事はマックス・スタイアーという人物が大学時代に耳にした噂に基づくものだったこと、そのスタイアー氏はモニカ・ルインスキー・スキャンダルでクリントン元大統領が弾劾裁判にかけられたときのクリントン側の弁護士であり、弾劾派の弁護士だったカヴァナー判事に恨みを持っていたこと、共和党がスタイアー氏の妻が連邦判事になることを阻止した経緯などが明らかになった。

 さらに、『ワシントン・ポスト』紙が「スタイアー氏の言葉を裏付ける証拠がないので、この情報は記事にできない」と判断していたことも発覚したが、第一報のインパクトが強く、大手メディアは訂正記事を報道していないため、一部の民主党政治家は現在でも「カヴァナーを弾劾裁判にかけろ!」と叫んでいる。

保守派が選ぶ フェイク・ニュース第1位

 「2016年の大統領選でトランプがキャンペーン集会を開いた地域では、トランプの反イスラム教徒・反不法移民のレトリックのために、ヘイトクライムが226%増した」というニュース。

 3月に発表されたこの調査結果は、全メディアで報道され、8月3日のテキサス州エル・パソ銃乱射事件の直後にも、バーニー・サンダーズ議員をはじめとする民主党議員がこの報道の数字を繰り返し発言した。

 しかし、9月6日、ハーバード大学経済学部の大学院生2人が、この調査と同じ手法を使ってヒラリー・クリントン氏が集会を開いた地域と開かなかった地域を比べ、「ヒラリーが集会を開いた地域ではトランプ以上にヘイトクライムが増している」という結果が出た。

 この大学院生たちは、「そもそもこの調査は手段が非科学的だったにも関わらず大手メディアで大々的に報道された。それはリベラル派が圧倒的に多いメディア界が”この結果は正しいに違いない”と思い込んだからだろう」と、メディアの左傾バイアスを批判している。しかし、彼らの報告はFOXニュースなどの保守系メディアでしか報道されていない。

 これらの米大手メディアによる「フェイク」と言えるニュースは、ツイッターであっという間に世界中に広がり、異なる事実が判明しても訂正記事はほとんど報道されない。英語圏では「真実が靴を履こうとしている間に嘘が世界を半周する」という諺があるが、連日連夜アンチ・トランプのフェイク・ニュースが横行する中で、それでもトランプが4割強の支持率を保っているのは奇跡としかいいようがないと保守派はトランプの底力に敬意を表しているのである。

この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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