「牛肉を控えても健康上のメリットなし」? 調査結果に揺れるアメリカ

「牛肉を控えても健康上のメリットなし」? 調査結果に揺れるアメリカ

医学学術誌「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン」が、「牛肉などの赤身肉を控えても健康上のメリットはない」という調査結果を公開し、菜食主義者や健康を気遣うヘルスコンシャスな人が日々増え続けているアメリカが揺れている。これまでの通説を覆すこの研究発表に対して、主要な国際機関からも反発がおきている。


健康のためには赤身肉やハムはNG、は間違いなのか?

 医学学術誌「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン」で発表された健康に関する調査結果が、主要な国際機関が行なってきた健康維持へのアドバイスに反したことで、多方面から反発がおきている。

 「北米とヨーロッパの約5万4,000人を対象とした12件のランダム化比較試験で、赤身肉や加工肉の摂取量が少ない人における心臓病、がん、糖尿病のリスクは、統計的に有意または重要な関連性は認められなかった」という結果は、これまでの通説である「健康を気遣うならば、牛肉などの赤身肉やソーセージなどの加工肉の摂取を控えるべき」、「赤身肉や加工肉はガンのリスクを増やす」などを覆すものだ。

 この調査の共同責任者である、カナダはダルハウジー大学のブラッドリー・ジョンストン准教授はロイターに、「ほとんどの人はこれまでと同様に赤身肉や加工肉を摂取するのがベストアプローチだろう」とコメントしている。

多くの学者や国際機関がこの結果に反論。ステーキはダメ!

 この調査については、すでに米ハーバード、イエール、スタンフォードなどの大学の医師らが撤回を求めている。

 がんの予防のためにステーキ肉などの摂取を控えることを訴えてきた機関のひとつ、世界がん研究基金(WCRF)や、イエール大学リサーチセンターのデイビッド・カッツ氏は、「これは公衆の健康への理解にダメージを与えるもの」と反論。この発表により、ステーキや加工肉の摂取量が増えてしまうのではないかと懸念している。

 多くの学者がこの調査方法では結論は出せないと反論している中、この研究発表を掲載した「アナルズ・オブ・インターナル・メディシン」のクリスティン・レイン編集長は、「肉の摂取量を減らすべきという説には多くの理由があるはずだが、それをすれば健康状態は必ず改善される、という強固な証拠がないことも事実」と話している。

 牛肉やハムやソーセージは避けた方がいいのか、それとも健康維持には関係ないのか。次に新しい研究結果が出るまで、この論争は続きそうだ。

この記事の寄稿者

関連する投稿


MITメディアラボ所長・伊藤穣一氏が辞任! 米富豪との関係が明るみに

MITメディアラボ所長・伊藤穣一氏が辞任! 米富豪との関係が明るみに

米マサチューセッツ工科大学(MIT)傘下の名門研究所MITメディアラボの所長を務めていた伊藤穣一氏が、少女への性的虐待疑惑で起訴された刑務所で自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏との関係を表す証拠メールが公表された直後、メディアラボ所長を辞任した。


ニューヨーカーが大絶賛、ナルシストでテックな新フィットネス器具

ニューヨーカーが大絶賛、ナルシストでテックな新フィットネス器具

ニューヨークにあるフィットネス機材のフラッグシップ・ショップが連日賑わいを見せている。これまでの常識を覆すその機材、どんな場所にも設置が可能で、かなりスタイリッシュだ。一体、どんなものなのだろう?


こんなに違う! アメリカの「就活」常識

こんなに違う! アメリカの「就活」常識

ニューヨークにある名門コロンビア大学バーナードカレッジの学生、光田有希が、アメリカの大学生たちに人気のアプリやサービス、学生たちのトレンドなどの情報をお届け。今回は日本とは異なる、アメリカの「就活」の常識について。


アメリカ生活に欠かせない「持ち寄り&助け合い」最強アプリ

アメリカ生活に欠かせない「持ち寄り&助け合い」最強アプリ

アメリカでは、夏の行楽シーズンや、卒業・学年末などのシーズンになると「SignUpGenius(サインナップ・ジニアス)」というサイトを使ったEメールが頻繁に飛び交う。学校やサークル、ボランティア活動、様々な集会などに欠かせない便利なツールの具体的な使われ方とは?


学生たちを借金から解放させた米実業家に賞賛の声

学生たちを借金から解放させた米実業家に賞賛の声

大学の学費が高額なことで知られるアメリカ。親が裕福ではない限り、大抵の学生が卒業後に返済が始まる学生ローンを受けて進学するため、借金を抱えながら社会人になる。それでは若者たちが夢に向かいにくいと、ある実業家が大学を卒業する生徒、約400人分の学生ローン、総額約44億円を肩代わりすると発表。感動と賞賛の声がアメリカを駆け巡った。






最新の投稿


今週の神秘ナンバー占い(2019年10月18日〜24日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年10月18日〜24日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


大手メディアがまったく伝えない「トランプ大統領の良いところ」

大手メディアがまったく伝えない「トランプ大統領の良いところ」

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、アメリカの大手メディアがまったく伝えないトランプ大統領の良い部分を、保守系メディアではどう報道されているかを紹介しよう。


マイ・エコバッグより、さらに一歩進んだエコ袋とは?

マイ・エコバッグより、さらに一歩進んだエコ袋とは?

環境に配慮した日用品が市場に増えて来たアメリカでは、捨てずに何度も使用できるストローや、店で買い物をした際に自分のエコバッグを持参することなどがかなり定着してきた。最近ではエコバッグはもちろん、そのバッグ中にいれる商品の小分けに使う袋も洗って何度も使えるものや、土に返せるコンポースト素材のものが増えている。


今年も「ボスキャリ」の季節がやってきた

今年も「ボスキャリ」の季節がやってきた

アメリカの名門エモリー大学で28年間、教鞭をとってきた著者が語る、アメリカの日常と非日常。今回は、アメリカの大学を卒業する日本人学生のほとんどが参加すると言われている恒例の「ボストン・キャリア・フォーラム」における就活の様子について。


渦中の米WeWork、この3カ月半で新規オープン622件。大丈夫かの声

渦中の米WeWork、この3カ月半で新規オープン622件。大丈夫かの声

米メディアを騒がせている「WeWork(ウィーワーク)」。先月末のIPO撤回、カリスマ創設者の退任や現金不足など、厳しい局面を迎えていることで注目される一方で、ソフトバンク・グループの巨額出資、今月10日までの3カ月半で123都市、合計622件も新規共同オフィスをオープンしたことも注目されている。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング