渋谷のハロウィン仮装パーティー、アメリカ南部人の感想は?

渋谷のハロウィン仮装パーティー、アメリカ南部人の感想は?

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをケンタッキー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回はアメリカにおけるハロウィンの解説と、宗教色がとても強い米南部で東京・渋谷のハロウィンの写真を見せた米南部人たちの反応について。


米南部には「ハロウィンは危険なもの」だと捉えている人たちも

 秋の風物詩のひとつ、ハロウィン。毎年10月31日のイベントとして知られている。「今年の仮装の衣装は何にしよう……」と悩んでいる人も多いだろうが、そもそもハロウィンが何かご存知だろうか?

 ハロウィンはキリスト教の行事のひとつだと思っている人が多いようだが、その起源は2000年以上前の古代ケルト人が祝っていた異教の祭り「サムハイン」とされている。中世ヨーロッパ時代のケルト民族とカトリック教との関わりから、当時のカトリック教にとりこまれて諸聖人の祝日である万聖節(11月1日)の前夜として位置づけられている。が、カトリック教会はキリスト教とは「別のもの」とした見解を示している。

 米南部バイブルベルトに多く住むキリスト教プロテスタント(福音主義者)の多くは、近所を練り歩いて家々からお菓子をもらう「トリック・オア・トリート」や、カボチャをくり抜いて作るランタン「ジャック・オー・ランタン」作りなどは、キリスト教という宗教とは、まったく関係のないイベントとして捉えている人がほとんどだ。

 しかし、古代ケルト人が祝っていた異教の祭り「サムハイン」で行われていた悪霊の追い出しや魔女の存在などは異教的な意味合いのあることとして、「ハロウィンは危険だ」と考えるカトリック教徒やプロテスタント教徒もいる。そういう人たちは、ハロウィンに関連する行事には一切、参加しない。

セクシーな衣装はNG! ハロウィンは子供たちのもの

 日本でも近年、ハロウィンの日に仮装して街に繰り出したり、仲間たちとハロウィン・パーティーを開催するようになり、「ハロウィンの仮装をした人たちが渋谷のスクランブル交差点で大騒ぎ!」というニュースが、アメリカにいても耳に入るようになった。大勢の日本人が有名なキャラクターに扮した仮装をしたり、なぜか妙にセクシーな衣装を身にまとって街を練り歩いている様子は、アメリカから見るとかなりショッキングだ。

 私が住む米南部のクリスチャン・バイブルベルトと呼ばれる地域は、非常にコンサバティブな地域である。それゆえ、この地域では日本のハロウィン仮装に多く見られる女性が肌を露出したセクシーな衣装や、笑いを取るためなのかセックスに関する衣装は「下品極まりない!」とされ、好まれない。「子供の前で、何を考えているのか!」と怒る人も多いだろう。

米南部人に渋谷ハロウィンの写真を見せてみた

 米南部在住のアメリカ人義母に、こういう日本のセクシーなハロウィン仮装や、白鳥のチュチュを履いた男性の仮装写真などを見せたら気絶するかもしれないので(苦笑)、南部に住みながらもグローバル志向のご近所さんたち10組に写真を見てもらった。

 日本のハロウィン写真を見せた10組の反応は、その人がどの国からの移民か、肌の色が何色か、子育て世代か否かに関わらず、10組全員が「日本の女性のセクシーな衣装」を見て相当驚いた後に、誰もが眉をひそめた。

 アメリカの衣装屋やおもちゃ屋でも、セクシーや面白可笑しいアダルトグッズを模した衣装はあるが、これは大人たちが自分と同じ世代同士、つまり大人だけで開かれるパーティーで楽しむための衣装であって、子供のイベントであるハロウィンで着る衣装ではない。敬虔なクリスチャン家庭ならば、それがたとえ大人のイベントでも、そういうセクシーな衣装(破廉恥とされる恰好)でパーティーに参加することは受け入れられないという文化もある。

 また、アメリカでは「トリック・オア・トリート」で近所を練り歩きお菓子を貰うのは、「ティーンエイジャーになる前まで」と認識されているため、年長の子が家を訪ねると家主から断られることも多い。うちのご近所さんも「ティーンエイジャーが来たのよ、まったく!子供の行事なのに何を考えているのかしらね」と呆れていた。つまり、渋谷で仮装している若者たちは、チビッコではないので「トリック・オア・トリート」とは言えないのだ。

 ちなみに、アメリカの家に住んでいて、「トリック・オア・トリート」のお菓子をあげることに参加したくない場合(子供たちに家のドアをノックして欲しくない場合)は、玄関先のポーチの電気を消して、カーテンを閉めておくのが「ハロウィンに参加しないサイン」である。

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

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