気候変動対策を訴える若者たち:沈黙を続けるトランプ大統領と仲間たち

気候変動対策を訴える若者たち:沈黙を続けるトランプ大統領と仲間たち

圧倒的にリベラル派が多く住む米西海岸から、トランプ大統領と共和党の政策に真っ向から反対する日系アメリカ人ジャーナリスト、マイク佐藤がお届けする「トランプを支持しない人たちの声」。今回は、気候変動への対策を訴えるスウェーデンの少女、グレタ・トゥーンベリさんら若者たちの話を聞こうとしない米大統領や政治家たちについて。


若者の悲痛な訴えにも沈黙を決め込むトランプ大統領と彼の仲間たち

 先月、スウェーデンの16歳の少女、グレタ・トゥーンベリさんに触発された世界中の若者たちが数百万人も、気候変動への対策を求める声をあげて行進を行い、気候変動は世界と彼らの未来を破壊するものだと訴えた。

 トゥーンベリさんは国連本部に集まった各国のリーダーたちを前に「あなたたちは空虚な言葉で私の夢と子供時代を奪いました。未来を担うすべての子供や若者たちの目が、あなた方に注がれています。もし、あなた方が私たちを見捨てることを選ぶなら、私たちはあなた方を決して許しません。私たちはあなた方を逃げ切らせはしません。今ここで、まさに今、私たちはこれまでのことに線を引きます」と話した(英語原文はこちら)。

 彼女はここアメリカで、「あなた方には、気候変動を止める対策を担う“道徳的な責任”があるのです」と言った。

 これに対して、トランプ大統領率いるホワイトハウスと、彼を支持する共和党による米議会は沈黙を決め込んでいる。

「地球は先祖から受継いだのではなく、未来の子供達から借りたもの」

 若い世代の人たちが彼らの世界が未来へ続くように守ろうと大きな声を上げている中、トランプ大統領と彼の共和党の仲間たちは、若者たちの行進とは逆方向に向かってフルスピードで行進している。彼らは北極と沿岸海域で石油掘削を開始し、国立公園の規模をこれまでよりも狭くする規定を作り、石炭や化石燃料に対する規制を緩め、水質と空気のスタンダード数値を落とし、自然保護規制の内容を緩めた。

 トランプ大統領と彼の共和党の仲間たちは、子供や若者たちの将来を見ているか? 答えはノーだ。彼らが見ているのは、今の地球にある石油や石炭、ガスなどの資源を最大限に絞り取り、それを使ったり売ったりして生まれる利益である。そんなことをしたら資源は持続できないという科学を無視して、これこそが「アメリカを再び偉大にする」ことだと国民に説いている。

 しかし、トランプ大統領と共和党の行いは、若い世代が歩む将来の世界を偉大なものにするだろうか? 気候変動が進んで海温が上昇し、魚や貝などの海洋生物の生態系が崩れ、海水レベルが上昇することで土地や家屋が浸水し、台風の頻度と強度が上がり、洪水が増えて土地が侵食されて農産物も不作になるという世界は、若者たちにとって偉大な世界だろうか?

 「限りある地球資源の採掘と使用を続け、今、得られる利益を追い求めること」は、若者たちが将来に得られるはずのきれいな空気や水、彼らが必要とする資源を奪い取った上に成り立つ行為だ。未来を搾取され、汚れた空気や質の悪い水を飲みながら暮らすことになるかもしれない若者たちが、そのときに感じる痛みや、その環境に伴って派生する貧困、混乱、飢餓、疾病、苦しみなどの代償は、誰が支払うのか? トランプ大統領と彼の共和党の仲間たちが、今こうして資源の採掘や販売から得た膨大な富から、将来の若者たちに代償を支払ってくれるのか?

 いや、この代償を若者たちに支払ってくれる人は、誰もいないだろう。

 気候変動対策を訴える若者たちの行進では、「地球は先祖から受け継いだものではない。未来の子供たちから借りたもの」という、胸を刺すメッセージが書かれたプラカードを持つ若者たちが大勢いた。この若者たちの訴えに対して沈黙を貫きながら、資源の伐採や採掘を続けるトランプ大統領と彼の共和党の政治家たちを、地球上のすべての子供や若者たちは決して許さないだろう。もし、世界中の子供や若者たちに未来があるならば、トランプ大統領と彼の政治家たちは地球や若者の未来から搾取することを直ちに止めて、世界のバランスを整えなければならない。すべては、それを施行する権力を持つ彼ら次第なのだ。

この記事の寄稿者

ハワイ出身のジャーナリスト。現在はワシントン州在住で、特に環境問題につい て精力的に取材執筆している。各所へ寄稿すると共に、地元の環境に関わる ニュースを発信する独自メディア、 Salish Sea News and Weatherを主宰。著書 にThe Price of Taming a River: The Decline of the Puget Sound’s Duwamish-Green Waterway (1997)がある。

ちなみに、生まれた病院はバラク・オバマ元大統領と同じ。トランプ現大統領 と共和党が、オバマ元大統領の出生証明書スキャンダルを作り上げたとき、まっ たく動じずに立ち上がったことは言うまでもない。

関連する投稿


2020年版、「アメリカで最も求められる企業トップ100社」発表

2020年版、「アメリカで最も求められる企業トップ100社」発表

米ESG評価機関NGO「JUST Capital」による恒例の「America’s Most JUST Companies」の2020年度ランキングが発表された。地域への還元や雇用の創出、環境保全への取り組みなどの公共性など、時代を反映する各項目でそれぞれ高得点を得た米企業とは?


米大統領選ガイド(1)「アメリカの大統領選は、なぜ重要なのか?」

米大統領選ガイド(1)「アメリカの大統領選は、なぜ重要なのか?」

2020年11月3日に実施される米大統領選挙。トランプ現大統領率いる共和党とリベラルな民主党が政権奪回を争う選挙戦は、その後の世界情勢にも大きく影響するが、米大統領選のルールはかなり複雑だ。そこで、米大統領選を2000年から取材しているジャーナリスト・西森マリーによる、どこよりも分かりやすい解説をお届けしよう。


マイクロソフトが米国防省のクラウド契約を獲得

マイクロソフトが米国防省のクラウド契約を獲得

米国防省、通称「ペンタゴン」のクラウド・コンピューティング契約をマイクロソフト社が獲得した。これは破竹の勢いで拡大を続けるアマゾンドットコム社(AWS)が取ると見られていたため、米国防省のこの決定に業界がざわついている。


大手メディアがまったく伝えない「トランプ大統領の良いところ」

大手メディアがまったく伝えない「トランプ大統領の良いところ」

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けするコラム、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回は、アメリカの大手メディアがまったく伝えないトランプ大統領の良い部分を、保守系メディアではどう報道されているかを紹介しよう。


マイ・エコバッグより、さらに一歩進んだエコ袋とは?

マイ・エコバッグより、さらに一歩進んだエコ袋とは?

環境に配慮した日用品が市場に増えて来たアメリカでは、捨てずに何度も使用できるストローや、店で買い物をした際に自分のエコバッグを持参することなどがかなり定着してきた。最近ではエコバッグはもちろん、そのバッグ中にいれる商品の小分けに使う袋も洗って何度も使えるものや、土に返せるコンポースト素材のものが増えている。






最新の投稿


米アマゾンの年末商戦、「子供の目線」のカタログ配布は功を奏すか?

米アマゾンの年末商戦、「子供の目線」のカタログ配布は功を奏すか?

昨年、米アマゾンドットコム社が突如開始したオモチャのカタログ。今年もホリデーシーズンに先駆けて、アメリカ国内の家庭にカタログが届き始めた。しかし昨年とは異なり、今年のアマゾンのカタログのマーケティングにはひねりがある。このカタログは、完全に子供たちに向けたものなのだ。


ハリウッドに続け! ベガスに「セルフィー・ミュージアム」がオープン

ハリウッドに続け! ベガスに「セルフィー・ミュージアム」がオープン

映画の街ハリウッドにオープンして話題の「セルフィー・ミュージアム」。ハリウッドに続けと、今度はエンターテイメントの都・ラスベガスにもオープンした。本物そっくりな人気番組のセットやイルージョンに見える背景など、SNSで目立つこと間違いなしのセットが揃うミュージアムで、思う存分セルフィー撮影を楽しもう!


2020年版、「アメリカで最も求められる企業トップ100社」発表

2020年版、「アメリカで最も求められる企業トップ100社」発表

米ESG評価機関NGO「JUST Capital」による恒例の「America’s Most JUST Companies」の2020年度ランキングが発表された。地域への還元や雇用の創出、環境保全への取り組みなどの公共性など、時代を反映する各項目でそれぞれ高得点を得た米企業とは?


今週の神秘ナンバー占い(2019年11月15日~21日)

今週の神秘ナンバー占い(2019年11月15日~21日)

当たりすぎて怖い? ロサンゼルスを拠点に多くのセレブリティを顧客に持つ運命鑑定家、サラ・セイヤスがお届けする今週の神秘ナンバー占い。神秘ナンバーとは、東洋数秘術、西洋数秘術、アステカ秘術など複数の占術をベースに導き出す、運気を読み解く数字のこと。あなたの運勢はどのように変化する?!


米大統領選ガイド(1)「アメリカの大統領選は、なぜ重要なのか?」

米大統領選ガイド(1)「アメリカの大統領選は、なぜ重要なのか?」

2020年11月3日に実施される米大統領選挙。トランプ現大統領率いる共和党とリベラルな民主党が政権奪回を争う選挙戦は、その後の世界情勢にも大きく影響するが、米大統領選のルールはかなり複雑だ。そこで、米大統領選を2000年から取材しているジャーナリスト・西森マリーによる、どこよりも分かりやすい解説をお届けしよう。


アクセスランキング


>>総合人気ランキング