ラーメン、うどん、そば。アメリカで最も人気が高いのは?

ラーメン、うどん、そば。アメリカで最も人気が高いのは?


 「長い歴史・美味・歯ごたえ絶妙」――アメリカとヌードル、つまり麺類との関係を表現すると、この3つの言葉に集約されると思う。アメリカは移民の国なので、移民の数と同じだけ様々な食が溢れている。なかでもアメリカ人にとって「麵」は欠かせない存在だ。西洋のパスタやラザニヤやシュペッツレから、東洋のフォーや春雨やチャーメンに至るまで、アメリカの食文化の歴史にはたくさんの麺類が登場する。そして、それらは今でも私たちの食卓を彩っている。

 和食が世界的に知られるようになり、昨今では和食ブームなどと言われることもある。そんな流行の勢いにのって、日本の麺文化もアメリカに次々と上陸してきた。ラーメン、うどん、そば……。これは麺好きのアメリカ人にとって、喜ぶべきことである。そして今や日本発の麺類レストランは、アメリカ・ローカルの客の心を掴もうと、どこも躍起になって競争しあっている。アメリカ人が切望する日本の麵――それらが愛される理由はたくさんある。

 まずは、うどん。うどんは、どこかほっとさせる特徴があるので、アメリカでも多くの人に愛されている。白くて太い麺には噛みごたえがあるが、優しい弾力が新鮮な食感で、食欲を誘う。ご存知の読者もいるかもしれないが, この食感はパスタとは違い、生地の練り方と茹で上がった麺を水洗いすることから生まれる。出汁、醤油、みりんを合わせた素朴で、飲みやすいつゆは、アメリカン人のおくふろの味といわれる「チキンスープ」を彷彿させる。

 アメリカで味わえるうどんの種類には、黄身が艶やかに輝く月見うどんをはじめ、甘い稲荷を誇るきつねうどん、様々な具材が贅沢にグツグツに困れた鍋焼きうどんなど、日本のうどん屋のメニューにも匹敵するほど多くの種類が揃ってきている。最近では、揚げたての天ぷら入りのうどんを出す店も少しずつ見かけるようになった。そんなわけで、うどん屋を見た途端に思わず店内に直行しがちになる。うどん屋の誘惑にはとても勝てない。

 次はエレガントな麵の話。より上品な麺類を好む人たちが熱狂する「あの」麵だ。それは、蕎麦である。蕎麦好き人口は年々増加している。これまでアメリカでソバと言われたら、多くの人たちにとって、すぐに思い浮かぶのは味の濃い「焼きそば」だろう。しかし、最近では、アメリカでも手打ちにこだわった「ざる蕎麦」を食べるグルメが増えているのだ。

 シンプルなものを愛し、それをクールと思うようなタイプのアメリカ人は多いが、そんな人にとって打ち立て、茹でたての蕎麦を漆の蒸籠からいただくのは、この上ない贅沢である。蕎麦はまだ「ブーム」とまでは言えないが、人気の開花はいずれ訪れるだろう。麺を啜りながら芳る蕎麦のあの華やかな香りを、グルメなアメリカ人が見逃すはずはないからだ。そんな私も蕎麦ブームが訪れることを密かに楽しみにしている一人でもある。

 さて、最後はラーメンだ。言うまでもないが、多くのアメリカ人にとって、ラーメンには非常に特別な思いがある。70年代にインスタント・ラーメンがアメリカへ紹介されてから、その地位は不動のものとなった。家庭でのおやつにはもちろんのこと、時にはソウルフードに近い存在として、また大勢の大学生にとってはサバイバルフードとしても、インスタント・ラーメンやカップヌードルは愛され続け、需要を増やしている。インスタント・ラーメンは今やアメリカ社会のあらゆるところに浸透している(ここで、アメリカ代表として、マルチャンやサッポロ一番、そしてラーメンのパイオニアでもある日清食品グループのインスタント麺に対し、心から感謝を捧げます!)

 カップヌードルを愛して来たアメリカ人は今、アメリカ全土に猛スピードで広がりつつある本格的派ラーメン屋にも足繁く出かけるようになった。アメリカ人にとって本格的なラーメンはとても新鮮な存在なのだ。表現しようがないほどの美味な調和を生む、スープや具、麵の食感は、さながら食のオーケストラだ。麺はスパゲッティーを彷彿させるアルデンテの茹で上がり。じっくり時間をかけ、味の凝縮された濃厚スープは、濃い味に慣れ親しんでいるアメリカ人にとって違和感が全くなく、非常に馴染みやすい。ラーメンは具沢山でもあるが、ひとつひとつの具材にはそれぞれ深い味わいがあり、どんなトッピングの品を食べてもまったく飽きない。

 アメリカで愛される日本の麵3種。今のところ軍配は、ダントツでラーメンにあがるだろう。お腹がすいたらカップ麺。贅沢したいなら本格的なラーメン屋。お箸をもってアメリカ人が走りたい場所、それこそがラーメン屋なのだ。アメリカでの麺の王様であるラーメンに今日は乾杯!といきたい。

日清 カップヌードル 77g×20個

¥ 3,344

この記事の寄稿者

1987年シアトル市生まれ。ブリティッシュ・コロンビア大学アジア言語専門学部卒業。2011年まで鹿児島県阿久根市にて外国語指導助手として勤務し、和食や陶芸など、さまざまな日本の文化に接した。料理好きが高じて和包丁の翻訳も手掛け、現在は日本でのツアー通訳ガイドなど、シアトルを拠点に通訳者兼翻訳者として活動中。アマチュア陶芸家でもある。

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