【Red vs. Blue】「リベンジ・ポルノ」で辞職した女性議員スキャンダルをどう思うか?

【Red vs. Blue】「リベンジ・ポルノ」で辞職した女性議員スキャンダルをどう思うか?

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は相手の合意なくヌード写真をネット公開し、相手を貶める「リベンジ・ポルノ」が政治に使われたことについて。


 先月27日、カリフォルニア州選出の民主党女性議員だったケイティ・ヒルさん(32歳)は、右派オンライン・メディアの『RedState』と『Daily Mail』に、夫が撮影した彼女のヌード写真や自身が自分の女性スタッフと関係していたことがわかる写真などを報道され、それを受けて辞職した。ヒルさんは「夫と右派メディアによる汚いキャンペーンだ」と報道元を非難し、「辞職後は『リベンジ・ポルノ』と戦う」と宣言した。

 2018年の中間選挙で下院は民主党が圧勝し、政権を奪還して話題を集めたが、議席を奪回したヒルさんの活躍も注目されていた。今回の辞任によって空いた議席を狙って、すでに共和党議員数人が選挙運動を始めている。ヒルさんの政治生命に多大なる影響を与えたリベンジ・ポルノについて、保守派とリベラル派のアメリカ人はどう受け止めているのだろうか。

出典元のニュース:
The Hill:Katie Hill pledges to fight 'revenge porn' after leaving Congress

RED: ケイティ・ヒルは変質者だ

Katie Hill is a degenerate

 アメリカの政治は、ケイティ・ヒルのような女性が公的に発言できるほど、底辺の域に落ちてしまったようだ。左翼の民主党下院議員が2人の職員と寝て、自分の夫とも情事を持ち、裸で麻薬を吸っている写真も撮られたこと、そして、そのスキャンダルについて嘘をついたことが発覚した事実は話題になるだろうが、ちっとも興味深いものではない。

 ケイティ・ヒルが議会を辞任したひとつ目の理由は、「非常に誤った判断を下したから」だ。ヒルはどういうわけか、自分のスタッフと寝ることは適切または許容可能だという決断を下した。さらに当時の夫に情事を持ちかけることが、米国の法律に遵守を誓い、市民から投票されたアメリカの女性議員(435人の1人)にとって賢明な行動だと判断したのである。

 ふたつ目は、彼女の衝動を制御する能力はゼロであったことだ。32歳の分別あるべき大人の女性が自分が裸で麻薬を吸っているところを、相手が誰であろうと写真に撮らせたりするだろうか? その答えは単純だ。彼女は快楽主義者で、セックス狂で、水パイプを裸で吸っているイメージがいかに公にダメージを与えるか(特に彼女は選挙で選ばれた国会議員なのだし)判断できなかったわけだ。

 この記事には「ケイティ・ヒルは議会を辞めた後『リベンジ・ポルノ』と戦うと宣言」という見出しがついている。悲しいことに、左翼メディアは、ケイティ・ヒルが変質者だという客観的な事実を述べるのではなく、彼女を犠牲者に見せようとしている。全くのところ彼女は議会にはふさわしくないし、彼女の現在の状況における責任から逃れるべきでもない。メディアが彼女の窮状に同情的である唯一の理由は、彼女がカリフォルニアの左派民主党員だからに過ぎない。

BLUE: 本当に価値のある写真とは何か?

What is a Picture Really Worth?

 ドナルド・トランプの行動と、ケイティ・ヒル議員のキャリアを終わらせたスキャンダルとの間で、多くの比較がなされている。

 トランプは数人の女性と関係があり、またそれ以外の数人からレイプで告発されている。インターネットには彼の妻のヌード写真が掲載されている。彼は女性に触ることを自慢しているし、ロシアでのセックステープの噂もある。それにも関わらず、どれひとつとしてトランプが大統領に当選するのを妨げたものはなく、さらに3年近く大統領として就任し続けている。しかも、これら全ての話において、トランプ自身の写真はひとつも露呈していない。もちろん我々は、トランプが服を脱いだ写真など見たくないと願っているが。

 ヌード写真の1枚や2枚は普通のことだと考えるような「自撮り文化」で育った新世代で公職に就く人々は、そのことを心配するべきだ。それとも、ヌード写真を撮るのがより一般的なことになった現在、社会はそれを重要視しないことを学ぶべきなのだろうか。実際、2019年において、なぜ我々はヌード写真を恥だと考えるのだろう?

 「ヒル下院議員は彼女のスタッフと関係を持つべきではなかった」というのは簡単だ。しかし、ヒルは法を冒したわけではない。マリファナを吸うことも彼女の出身であるカリフォルニア州では合法だ。実のところ彼女は、私生活において悪い判断を下してしまったという以外は、何も間違ったことなどしていないのだ。

 一方で彼女の夫は、彼女のヌード写真をメディアに送るという非倫理的な行動をした。彼はカリフォルニア州の「リベンジ・ポルノ」に関する法を冒している。彼は妻との関係が自分の思い通りにならなかったことから、彼女のキャリアを破壊しようと決めたのだ。

 繰り返すようだが、アメリカの政治は我々に不愉快なレッスンを教えてくれているらしい。敵が自分の裸の写真を持っていない限り、やりたいことはほとんど何でもすることができるというわけだ。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!





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