「えっ、そうなの?」 日本とは全く視点の異なるアメリカでの家探し(3)

「えっ、そうなの?」 日本とは全く視点の異なるアメリカでの家探し(3)

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをケンタッキー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。「アメリカでの家探し」の第3回目、今回は新築の家を購入する際に気をつけたいことを説明しよう。


楽しいはずの新築プランニングが、プレッシャーに?

 最近、アメリカの新築住宅市場で人気を集めているのが「セミ・カスタムホーム」だ。
「セミ・カスタムホーム」とは、ビルダー(建設業者)が所有する分譲地に家を建て、その外観や間取りはビルダーの保有するプラン内から選ぶ(もしくは既に決められている中から内装や外構などを選ぶ)ものだ。

 「フル・カスタムホーム」、つまり日本でいう「注文住宅」は、土地だけを購入して建設する場合、建築前に住宅ローンよりも利率の高い「コンストラクション・ローン」(建設ローン)を組まなくてはいけない。それを考えると「セミ・カスタムホーム」は手頃で、引き渡しまでの期間も約半年ほどだ。土地探しから始める「フル・カスタムホーム」は入居まで1~2年は掛かることが多いため、早く入居できる利点は大きい。

 各大手ビルダーには、購入者が家の内装や外構などを決められる「デザイン・センター」がある。平均で2日ほどかけて内装を決めていくのだが、この作業で家の印象が決まる。同時にそれが評価額に影響するため、自分の予算との兼ね合いを見ながらひとつずつ決めなければならない。プレッシャーを伴う作業になるため、本来なら楽しいはずのプランニングが、「これで良いのだろうか?」という不安とストレスを感じ続ける2日間となることが多い。待望の新築の家が出来上がった後に後悔しないためにも、どういうスタイルの家にしたいのか、どのような素材があるのかなど、インテリア雑誌やデザインの参考になるPinterest.comなどを見て、事前に調べて絞り込んでおくことをお勧めしたい。

こんなところに落とし穴! 銀行から住宅ローンが借りられない?

 しかし、予算を気にし過ぎて安価な素材ばかりを選ぶと、中古物件よりずっと割り増しとなる値段を費やして建てた新築の家でも、安っぽく見えてしまう。そして、なによりその家の印象が、良くも悪くも住宅ローンの融資をしてもらう銀行による家のアプレーザル(評価額)に大きく影響する。

 新築家屋のアプレーザル査定はとても重要だ。家の評価額が実際に掛かる金額よりも低いと、満額の融資を受けられなくなることもあるからだ。頭金を多く入れて、その悲劇を回避できればよいが、それができなかった人たちもいる。ある友人夫婦は、すべての準備を整えた新築予定の家のクロージングの日(契約日)に、アプレーザル価格が低かったために融資が下りないという知らせが入り、なくなく諦めた。それを聞いた私たちは、「どうすれば新築家屋のアプレーザルが上がるのか?」を本気で調べて実践した。

 たとえば、アメリカの家の内装によく見られる壁のクラウン・モールディングやベースボードを付ける際、この厚みなどによっても評価額が変わる。そのため資産価値として査定時に「加点」してもらえるアイテム、たとえばキッチンのカウンタートップはクォーツや天然石にすること、フローリングは無垢や複合であったとしてもMDFを使っていないハードウッドにすること、タンクのないウォーターヒーターを導入することなどが重要になる。我々のような素人だと資材の勉強をある程度しないと分からないが、査定をするアプレイザーと呼ばれるプロは、何百軒という家屋を見てきているため、一目瞭然で値段がわかってしまうのである。

新築家屋なのに修理が必要 アメリカ、あるある!

 そうしてやっと完成したピカピカの新築一軒家。日本式に考えれば、新築なのだから修理するべき箇所など何もないと思うだろう。しかし、アメリカの新築ホームオーナー仲間と話すと、入居後に出てくる様々な不具合だけでなく、入居前に入るインスペクション時に専門家に次々と修正箇所を指摘されてガッカリしたという話もよく聞く。

 我が家の場合は、ジャグジータブの水漏れや壁の傷などをはじめ、細かい修理が必要な箇所が次々と現れた。もう最後には疲れて「これでいいか……」と妥協するはめにもなった。このことを周囲に話すと、私たち夫婦が繊細過ぎるからだと笑われるのだが、「新築の家の柱に傷があっても、アメリカ人は許せるのだろうか?」と、そういうことを気にしない彼らの感覚を不思議に感じた。新築の家にはたいてい1年間は無償で補修してくれる保険がついているが、それでも「完璧な家」を求めていた私には、出来上がった後の修理の多さと向き合うのは精神的にきつかったからだ。

 今はすべての修理が終わり、HOUSE(家)からHOME(自分たちの居場所)へと変えるために、毎日インテリア雑誌を眺めている。一筋縄ではいかないアメリカでの家造りはストレスが大きかったが、試行錯誤をして一軒家を造ったことで多くのことが学べた。この学びを生かし、アメリカに住んでいる立地も生かして、次はドリームハウスを建てたいと、すでに構想を練り始めている。夢は大きく!Dream Big!

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。

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