「米大統領は拳銃で人を撃っても責任を問われない」のか?!

「米大統領は拳銃で人を撃っても責任を問われない」のか?!

圧倒的にリベラル派が多く住む米西海岸から、トランプ大統領と共和党の政策に真っ向から反対する日系アメリカ人ジャーナリスト、マイク佐藤がお届けする「トランプを支持しない人たちの声」。今回は、大統領就任中は憲法が適用されないとして、トランプ大統領がウクライナ疑惑や確定申告開示に回答する必要はないとする保守派の見解について。


大統領に憲法は適用されないから確定申告も公開しない?

 私は以前、保守派と呼ばれる人たちが米合衆国憲法が書かれた小冊子を振り回しながら、「なぜ国が定める法を破るのか?」と政府関係者たちに詰め寄る会合に参加したことがある。

 彼らのように市民が合衆国憲法を真剣に捉えることに関して、私は何の疑問も持っていない。私も司法をとても真剣に捉えている。ただ、憲法本を振り回しながら話さないだけだ。

 「アメリカ大統領には合衆国憲法は適用されない」、従って、アメリカ大統領がたとえニューヨークの街頭で誰かを拳銃で撃ったとしても、任期中の大統領はその責任を問われない(トランプ大統領は誰かを撃っても警察は捜査できない)と、トランプ大統領の弁護士が発言して以来、議論が続けられている。この弁護士は、それゆえ同大統領は任期中に確定申告を公開する必要はないと言っている。

 前述の会合に参加していた、合衆国憲法を振り回しながら権利を訴えていた保守派の市民たちは、この言い分、そして今のトランプ大統領の弾劾についてどう思っているのだろうか。

米大統領であっても司法の上に立つことはできない

 現在、トランプ大統領は自らの政治的な利益を得るために米大統領の権力を使用したという証拠を提示されて告発され、弾劾の危機にある。もちろんトランプ大統領を支持する共和党と議会の仲間たちは、大統領は合衆国憲法に違反していないと言っている

 弾劾審議においてトランプ大統領は、政府職員が大統領が権力を違法に使用したか否かの証拠を提示することを拒否した。法的にはその行為は正義の妨害だ。しかし、大統領の弁護士は大統領には合衆国憲法は適用されないので、その必要はないと言い続けた

 トランプ大統領と彼の仲間たちは、この弾劾審議のことを「魔女狩り」や政変狙いだと言って真面目に受け取らない。クリントン元大統領が不倫問題で嘘をついたことから弾劾裁判に至ったとき、自分たちがどれほど真剣にそれと向き合ったかということを彼らはすっかり忘れているようだ。もし、これがトランプ大統領の話ではなく、オバマ元大統領の話で、彼が大統領選で勝つために政治的権力を使ってロシアのプーチン大統領に対立候補についての情報を調べさせたとしたら、保守派の共和党議員たちはまるで太鼓を打つかのように胸をドンドン叩き鳴らして興奮し、正義を要求するだろう。

 しかし、保守派議員たちはトランプ大統領にも弾劾にも、まったく倫理基準を見せていない。

 アメリカ市民の代表として大統領に就任してから今日まで、トランプ大統領は自分のことと、自分の資産と政治的権力しか考えていないように見える。彼が行なった今回のウクライナとの交渉でも大統領の権限を利用して彼自身の利益を得ようとしたように、弾劾審議でも自分のことと自分の政治的な将来しか考えていないように見える。

 トランプ大統領と彼を支持する共和党の仲間たちは、この弾劾審議の目的をまったく理解していない。この弾劾審議はトランプ大統領についてではなく、司法について、合衆国憲法について、市民の権利についての審議だ。

 それこそがトランプ大統領の危機であり、我々は司法が彼の言い分に勝るか否かを見ることになるだろう。

この記事の寄稿者

ハワイ出身のジャーナリスト。現在はワシントン州在住で、特に環境問題につい て精力的に取材執筆している。各所へ寄稿すると共に、地元の環境に関わる ニュースを発信する独自メディア、 Salish Sea News and Weatherを主宰。著書 にThe Price of Taming a River: The Decline of the Puget Sound’s Duwamish-Green Waterway (1997)がある。

ちなみに、生まれた病院はバラク・オバマ元大統領と同じ。トランプ現大統領 と共和党が、オバマ元大統領の出生証明書スキャンダルを作り上げたとき、まっ たく動じずに立ち上がったことは言うまでもない。





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