トランプ・サンタでクリスマスを祝う人たちが暮らす街で思うこと

トランプ・サンタでクリスマスを祝う人たちが暮らす街で思うこと

NYやLAなどの沿岸都市部に比べると、圧倒的に知られていないアメリカ南部。その文化、習慣、宗教観などをケンタッキー州よりジョーンズ千穂が紹介するコラム『アメリカ南部のライフスタイル』。今回はイルミネーションが美しい年末に、ご近所の家々を飾るクリスマス・デコレーションを見て驚いたことについて。


「メリークリスマス!」と軽々しく言えなくなったアメリカ

 12月のアメリカの街は華やかだ。繁華街にはイルミネーションが輝き、クリスチャンの家庭では、屋内はもちろん、玄関や庭にもクリスマス・デコレーションを飾るので、住宅街の雰囲気も一気にクリスマスムードになる。

 この時期は、それぞれの家庭が趣向を凝らしたライトアップで住宅地がキラキラと輝き、日が落ちた後も、なかなかロマンチックな気分で近所を散歩できる(車社会のアメリカでは人々は普段はあまり一般道を歩かない)。ただ、クリスマスの飾り付けに気合いが入る家が集中するコミュニティーに住むと、自分の家も飾らなくてはいけないというプレッシャーが掛かることは予想外だった。何年アメリカに住んでも、まだまだ知らないことばかりである。

 私が住むケンタッキー州は保守的で共和党支持者が多く、バイブルベルトに位置するため、メガチャーチと呼ばれるホテルのように巨大な教会がいくつもあり、クリスチャンが多い。そのため、クリスマスに対する思い入れも極めて強いのだが、昨今の「ポリティカル・コレクトネス」により、クリスチャンがクリスチャンとしての意見を堂々と主張できないなどの事情に対し、心良く思っていない人も多いようだ。クリスマスに「メリークリスマス!」と挨拶して「何がいけないのか?」との意見もよく耳にする。

「メリークリスマス!」とは軽々しく声を掛けられなくなった風潮であっても、うちのご近所さんはホリデーを彩る様々なライトアップや飾りつけを工夫している。しかし、先日散歩をしていたら、思わず「三度見」してしまうほどビックリするクリスマス・デコレーションを見つけてしまった。それがこの写真だ。

ウケ狙いなの? 本気なの? サンタ姿の巨大トランプ

 サンタ姿をしたトランプ大統領の中に空気が入ったバルーン式のデコレーション、そして、そこには彼が大統領に上り詰めたときの名言、「Make America Great Again」をモジって、「Make Christmas Great Again」と書かれている。

 しかも双子だ。トランプが2体。つまり、隣り合う2家族が揃って同じ飾りを飾っているということになる。

 「これって、冗談でやっているんだよね?」と思って、その家の住人の女性に軽く話を聞いてみたところ、どうやら夫は共和党支持者で、これをアマゾンドットコムで購入したのは夫だという。しかし、彼女は民主党支持者なので、夫が勝手に購入したこの飾りが家に届いた日には、これを庭に飾るかどうかの大喧嘩になったそうだ(苦笑)。

 幸い、夫は出張の多い仕事だそうで、夫が不在時には妻はこの飾りの空気を全部抜いてしまうため、下記の写真のような状況になる。よって夫不在の日は誰にでもすぐ分かるという。

白い壁の家とは呼ばないご近所さんも

 そして、よりによって、この家の反対側の隣は民主党支持の黒人(アフリカン・アメリカン)のご家族が住んでいる。このご家族は、近所にある素敵な白壁の家のことを話すときにも、その家のことを「明るい色の壁の家」と表現し、「白(ホワイト)」という形容詞をあえて口にしないほど繊細な人たちだ。

 これまでは、夕方になると誰からともなく庭に出て世間話をするのが日課だったのに、最近めっきり姿を見なくなったのは、外の気温が下がって寒くなったからなのか、両家庭間の空気が冷え切ってしまったからであろうか……。

 どのご家庭も経営者や医者などホワイトカラーを代表するような職業に就いていて、こうしてトランプ支持であることを堂々とみせている。ポリコレ重視のこのご時世で想像もしていなかっただけに、私は三度見するほど驚いてしまったが、もはや驚くようなことではないのかもしれない。

 ちなみに、このバルーン・トランプを飾っているご家庭からは、「大勢の人を招待するホームパーティーを主催するときは、空気を抜いてゲストに配慮をする」という話は聞けた。 しかし、これを飾ることが「ウケ狙いなのか、本気なのか」は未だに聞けていない。

この記事の寄稿者

 東京都出身。アメリカ人航空機パイロットの婚約者の米本土転勤に伴い、一般企業を退職。K-1 Visa にて渡米したのち結婚。現在、アメリカ南部アーカンソー州在住。移住後はパイロットを夫に持つ婦人の会や、日本語補習学校を通じての活動、現地日本人や移民•マイノリティーへの支援、生活アドバイス、ネット上でのアメリカ生活に関する相談・コンサルテーション、翻訳、通訳、観光案内など、国際線パイロットの夫のスケジュールに翻弄されながらも、さまざまなボランティア活動に力を注いでいる。





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