【Red vs. Blue】NYとカリフォルニアのホームレス増大が危機レベルに! 

【Red vs. Blue】NYとカリフォルニアのホームレス増大が危機レベルに! 

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された新聞記事について各派のアメリカ人が見解を披露する。今回は米大都市部で肥大するホームレス危機に対して、トランプ大統領が「政府に助けを乞え」と言ったことについて。


 「ニューヨーク州とカリフォルニア州のホームレス問題は危機状態にある」という都市住宅開発省の報告を受けたトランプ大統領が、かねてからトランプ政権に批判的な民主党のニューヨーク州知事とカリフォルニア州知事に対し、「丁寧に(政府へ)助けを乞え」と嫌味たっぷりにツイートした。
 このツイートの背景には、増大するホームレスへの支援金拠出を滞らせているトランプ政権に対して、以前から「ホームレス問題を政治的な武器に利用している」と非難している両州知事の発言がある。アメリカにおいて経済力でトップクラスの2州が深刻なホームレス問題を抱えていることを、保守派とリベラル派の一般アメリカ人はどう捉えているのか。

出典:『News Week』
President Donald Trump responded to California and New York state leaders' claims he'd been withholding homelessness aid by telling their governors to call and ask him "politely" for help.

RED: ニューヨークとカリフォルニアの民主党州知事は無能だということ

Democratic governors in NY and California are apparently worthless

 民主党に完全に支配された州が抱える問題について、メディアがドナルド・トランプを非難するのを我々は一体、何度聞けばよいのだろうか。

 カリフォルニア州の経済は2018年が約3兆ドル(日本円で約328兆円)で世界5位、ニューヨーク州は1.7兆ドル(約186兆円)で世界12位だ。これほど豊かな州が、「ホームレス問題は国の問題だ」と言うのは笑止千万である。両州知事がトランプ大統領について苦情を言う一方で、政府からの支援を要求している事実は、まるでガソリンタンクに火のついたマッチを投げ入れるようなものだ。

 彼らは何を期待しているのだろう? トランプ大統領には、この2人の無能な州知事を支援する理由がない。トランプがこの2人に“丁寧に”援助を乞うようにと言っているのは、単なる親切だ。カリフォルニア州は5,000億ドル(約54兆円)以上、ニューヨーク州も3,480億ドル(約38兆円)の負債を抱えている中、これは問題の半分にも過ぎない。

 残りの半分は、各州の要求に関連する憲法上の問題だ。「ホームレス」は米国連邦政府の18の権限のいずれにも該当しない。厳密に言えばトランプ大統領はこれについて一切の責任を負わない。連邦政府の職務の概要を説明する第1条第8項を調べると次のような責務が含まれている。通商規制権、帰化規制、破産法の確立の権限、法定通貨の発行、郵便局の設置、海軍の設置とその維持のための歳出……。

 実のところ、このセクションには「一般的な福祉を促進する」という発言以外、ホームレスについての具体的な言及はひとつもない。ホームレスは特定の問題であり、一般的に気にかける問題ではないのである。

 カリフォルニア州とニューヨーク州はホームレス問題を抱えていながら、愚か者を知事に選出した。この2州の人々はトランプ大統領のツイートに文句を言う代わりに、そろそろ問題を解決できる人を知事に選ぶ時期だろう。

Blue: 人類愛に住所はない

Humanity Doesn't Have an Address

 カリフォルニア州は、アメリカのホームレス人口の4分の1近くを抱えている。実際、アメリカ全土に広がるリベラルな都市と州は、保守的な地域に比べて不均衡な数のホームレス人口を抱えている。

 この不平等の背後にある最も明白な要因は、もちろんサンフランシスコ、シアトル、ポートランドのような都市における「信じられないほどの住宅コストの高さ」と、「信じられないほど急速な家賃上昇」にある。そして、家賃を引き上げるのはグーグル社、アマゾンドットコム社、フェイスブック社、ツイッター社などの大企業の成功だ。これらの大企業が雇用する何百万人もの従業員に対して、会社はたとえばサンフランシスコで家賃が月3,500ドル(約38万円)のワンベッドルームのアパートで快適に暮らすために必要なだけの給料を支払っているわけだ。

 企業の成長はCEOや社長にとっては喜ばしいことだが、かつては手の届く家賃だったアパートがモダンなコンドミニアム(高層マンション)化してしまった今、そこに住んでいた人々はどこへ行ったらいいのだろう? トランプ大統領率いる共和党の答えは「どこかよそへ行けばいい」だ。「よそへ」行くにも、公共交通機関の選択肢がないと行けないことは彼らの知ったことではない。アメリカに住む人は全員、自家用車を所有していると考えているのである。

 経済学的な問題だけでなく、アメリカのホームレスの人々のほぼ3分の1がメンタルヘルスの問題を抱えている。そして、さらに多くの人が身体的な懸念を持っている。

 しかし1981年、共和党はレーガン大統領のもと、地域ベースのメンタルヘルスケアへの資金提供を撤廃した。以来、彼らは「貧しい人々のためにヘルスケアを拡大する」ことを阻止するために大変な努力を続けている。が、そんな中、昨年だけで2,000億ドル(約22兆円)以上の税収をトランプ政権に送ったカリフォルニア州は、誰もが尋ねる質問、「なぜホームレス問題について、誰も何もしないのか?」に答えようとしているのだ。

 トランプ政権内の誰かが、救済金6億5,000万ドル(約711億円)の拠出のために書類上の数字のいくつかをチェックする余裕ができるのを待つ間、トランプは人の苦しみをツイッター劇場に変えたいようだ。困難な状況に陥っているアメリカ市民をさらに罰する行為は、リベラルな州が保守的な州よりもアメリカのGDPに貢献している事実からして、犯罪としか言いようがない。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者

1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント

1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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