新型コロナウイルスでトランプ叩きをする米大手メディア

新型コロナウイルスでトランプ叩きをする米大手メディア

米テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、米国内でも報道されにくい保守派の声をお届けする、西森マリーの「トランプ支持がなぜ悪い? アメリカ保守派の考え方」。今回はトランプ大統領を嫌っている米大手メディアと民主党によるトランプ・バッシングが、度を超えているという著者の意見を例を挙げて紹介しよう。


最近のトランプ・バッシングの具体例

 2001年9月11日に同時多発テロが起きた後、アメリカは党派を超えて一団となり、それまでブッシュ大統領を声高に批判していた米大手メディアも少なくとも数ヶ月は中立な立場を取っていた。しかし現在のアメリカでは、大手メディアはトランプを嫌うあまり、コロナウイルスをトランプ・バッシングの道具として役立て、公正な報道をする義務を捨て去ってしまったようにみえる。

 今回は、大手メディアの露骨なトランプ・バッシングの例をいくつかご紹介しよう。

中国からの渡航禁止を早々と発令


 1月30日、テドロス・アダノム世界保健機関事務局長が「 国際貿易や渡航に不必要な干渉をする理由はない」と発言したが、トランプ大統領はその翌日、「2月3日から中国からの外国人の入国を禁じる」と発表。これを受けて、大手メディアは、「 トランプは人種差別者だと批判し」、バイデン民主党大統領候補も「ヒステリック。 外国人嫌いで恐怖を利用している」トランプの人格を批判した。

 民主党は”恐怖を煽る”トランプを批判し、ニューヨーク市では、市の衛生局長が2月2日に「 中国の新年を普通に祝おう。地下鉄を避ける必要はありません」と言い、マーク・レヴィン市議会議員も「 チャイナタウンで中国の新年を祝おう」と叫び、ディ・ブラジオ市長は「コロナウイルスに関わらず 普通の生活を続けなさい」と訴えた。ペロシ下院議長もサンフランシスコのチャイナタウンで中国の新年を祝い、「 チャイナタウンにいらっしゃい」と呼びかけた。トランプの言動と反することをするのが、民主党の行動規範と化しているからだ。

 後に、コロナウイルス対策を指揮する国立衛生研究所の免疫学者、ファウチ博士が「アメリカの被害が現状よりさらにひどいことにならずに済んだのは中国からの渡航禁止令のおかげだ」とコメントしたが、大手メディアはトランプの英断をいまだに正当に評価していない。そのうえ大手メディアはファウチ博士のコメントを積極的に隠しているように見える。グーグルで検索すると、「 中国からの入国禁止は人種差別、外国人差別」というニュースは何万件もあるが、ファウチ博士のコメントを掲載しているサイトは500以下で、そのほとんどが保守派のブログである。

「中国武漢コロナウイルス」と呼ぶのは人種差別

 3月12日、中国外相が「 コロナウイルスは米軍が中国に持ちこんだ可能性がある」と発言したため、トランプが「中国武漢コロナウイルス(Chinese/Wuhan
Coronavirus)」と言い始めると、大手メディアは一斉に「トランプは人種差別者だ」とバッシングした。しかし3月初旬までは、三大ネットークも CNNもMSNBCもトランプ・バッシング専門のコメディアンやコメンテイターたちも、皆「 中国武漢コロナウイルス」と呼んでいた。

トランプの病院船、コロナウイルス患者拒否

 トランプは感染者数が多いニューヨークとカリフォルニアに「コロナウイルス以外の患者に対応するための病院船」を派遣した。両州の病院が新型コロナウイルス感染患者に専念できるようにという配慮からだった。しかし、トランプの記者会見を無視し、トランプのコメントを曲解することが多い大手メディアは、「トランプの病院船はコロナウイルス患者を拒絶している」とツイートした。これらのツイートは今ではすべて消去されたが、 消去される数日前のスクリーン・ショットがある。これが撮られた時点のリツイート数は約7500件だが、筆者が見た時点では2万件以上あった。

大手メディアは中国プロパガンダの手先なのか?

中国が コロナウイルスの真実を告げず真相を明かそうとする人々の口封じをしたことは恐らく日本でも伝えられているだろうが、米大手メディアは中国と世界保健機関の関係に関する報道を避けているようだ。

 世界保険機構でコロナウイルス対策を担当しているカナダ人のブルース・エイルワード医師が、 台湾人記者からの質問を無視し続け、中国の対応を褒めちぎったことは、欧州諸国やニュージーランド、オーストラリアでは大々的に報道された。しかし、以前からトランプは世界保険機構や国連を疎み、中国をアメリカ国益の敵と見なしているため、米大手メディアは”敵の敵は味方”ということで、 世界保険機構と中国の癒着を指摘することを避け、 ツイッターも中国のプロパガンダをブロックしていない。

 南部の人たちはフェイク・ニュースには慣れているものの、少なくともこのパンデミックが収束するまでは、米大手メディアがトランプ・バッシングを自粛して、事実のみを伝える報道をしてほしいと嘆いている。

この記事の寄稿者

エジプト、カイロ大学で比較言語心理学を専攻。1989年から1994年までNHK関東ローカル・ニュース、NHK教育テレビ『英語会話I 』講師、NHK海外向け英語放送ラジオ・ジャパンのDJ、テレビ朝日系『CNNモーニング』キャスターを務め、1994年にオランダに移住。1998年、拠点をテキサスに移し、”レッド・ステイト(共和党が強い州)に住むイスラム教徒”というユニークな立場からアメリカでも日本でも報道されていないアメリカ保守派の視点を伝えている。

著書:
『ドナルド・トランプはなぜ大統領になれたのか?アメリカを蝕むリベラル・エリートの真実』(星海社)
『レッド・ステイツの真実 アメリカの知られざる実像に迫る』(研究社)
『世界のエリートがみんな使っているシェイクスピアの英語』(講談社)
『聖書をわかれば英語はもっと分かる』(講談社)

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