Know your friends! その友達は「誰」なのか

Know your friends! その友達は「誰」なのか


 その昔、人々は壁にコードで繋がった黒くて重い物体を使って電話を掛け、紙に手書きで用事をしたためて郵送し、第三者とコミュニケーションを取っていた。その頃は、そうやって人と連絡を取り合っても自己のプライバシーは守られるだろうか?などと心配する人は、ほとんどいなかった。たまたま間違って届けられた郵便物を常識のない輩が開封して読んでしまったとか、映画のように突然スパイの標的にされたりしなければ、当時のコミュニケーションの取り方において、人々のプライバシーは守られていた。

 近頃の私たちの主なるコミュニケーション・ツールの主流が、メッセージ・アプリとソーシャル・メディアであることは言うまでもない。これらは今や、どこにでもある当たり前のものになった。しかし、この便利なツールは非常に便利ではあるものの、昔のコードで繋がれた電話や封書の手紙とは異なり、その頃にはなかった危険も含んでいる。自分が手の中にあるディバイスで、LINEやFacebook、Twitterなどの画面を見ているときには忘れがちだが、これらは世界中にシェアされる可能性があるサービスだ。だからといってパニックになる必要はないが、何も気をつけないのは危険である。少し気をつけるだけで、オンラインと共に生きるライフスタイルを安全に楽しく維持できるので、今回は簡単だが重要なポイントを挙げてみよう。

1)何を心配するべきか?  What is there to worry about?
 現実の生活と同様、オンラインにおいても「誰を自分の友達や仲間にするか」を考慮すべきである。オンラインでコミュニケーションを取る際に潜む危険には、恥ずかしい話を公表されてしまったり、執拗に付きまとわれたり、重要な個人情報を盗まれるなど様々なものがある。オンライン詐欺などを企てる者たちは、日本の「オレオレ詐欺」のように、本人にしかわからない情報を巧みに会話に含みしつつ罠をしかけてくる。そういう輩に個人情報をできるだけ渡さないためには、 友達の名前を語る相手でも「本当にその人なのか?」の真偽を確認してからリクエストを受け入れるべきである。

2)あなたは「誰」?  Who Are you?
 こう書くとバカらしく聞こえるだろうが、自分がオンライン上で本当に「誰」と話しているのかを確認することは、とても重要だ。もちろん最も重要なことは、個人情報が含まれるフェイスブックやラインなどのプラットフォームでは「知らない人からの友達リクエストは受け入れないこと」だ。ウエブサイトの素晴らしいことのひとつが「世界中の人たちと繋がれること」だが、もし例えばあなたに「青森」さんとか「アンダーソン」さんという苗字の知人がいない場合、その苗字の人から届いた友達リクエストへの追加をクリックする前に、自分が友達とシェアしている内容をすべて「この顔が思い出せない人たち」ともシェアしたいかどうかを考えてみよう。もし、あなたがプライバシーに価値をおくならば、この人たちを追加しない方がいい。「青森」さんや「アンダーソン」さんは、あなたとあなたの友人の情報を集めているオンライン詐欺師かも知れないからだ。たとえ自分がオンライン上でシェアしている情報が詐欺師を喜ばせるような情報ではないとしても、頭の良い詐欺師なら各自のタイムラインから非常に多くの情報を得られるだけでなく、オンライン上の“友情”や“コネ”を利用して、あなたの他の友人から信用を得ることもできるのだ。
 悪い人たちの中には、あなたの友達の振りをする人もいる。近頃はオンライン詐欺師たちの中で“クローン・アカウント”を使う詐欺が増えているが、その手口は、ある人のフェイスブックのプロフィールをコピーして“クローン”を作成し、その人の友達全員に改めて友達リクエストを送り、詐欺師からの友達リクエストを受け入れさせるものだ。すでに友達である人から、もう一度リクエストが送られてきたら、くれぐれも注意しよう。そのリクエストには、きっと「これまで使っていたアカウントがなぜか使えなくなってしまったので、改めてリクエストしました」というようなメッセージが添えられているはずだ。そういうリクエストが来たら、それには応答せず、携帯メールやEメールや電話など何か別の連絡方法で本人に確認しよう。もし本人ではなかった場合は、FacebookやLINEに報告すれば、自分だけでなく、他の人たちが被害にあうのを阻止できる。

3)親しくなり過ぎない Don't get too close.
 Facebookには個人用とビジネス用それぞれのページ・セッティングがあるが、ビジネス用を使用せずに個人用アカウントを設定しているブランドやサークル、バンドなどからの友達リクエストには注意しよう。ビジネス用ページは利用者側が「いいね!」か「フォローする」を押すが、個人アカウントからの友達リクエストを受け入れてしまうと、その会社やバンドのメンバー全員が、あなたが親しい友人とシェアしている情報をすべて読めてしまう。そのページの運営元が知人でない限り、企業やグループからの友達リクエストは断る方が安全だ。

4)ちょっとだけ気をつけよう Don't be discouraged, just be careful.
 オンライン詐欺や偽の友達の可能性などという話は気分の良いものではないし、それを怖いと思う人もいるだろう。しかし、現実の世界でも知らない人と出会って信頼関係を構築するためには、いろんなことに気をつけて関係を築いていくわけで、誰と友達になるのかを吟味することはオンラインに限ったことではないわけだ。現実の世界と同じようにきちんと考慮すれば、何かの詐欺や事件に巻き込まれる可能性を高めることなく、人間関係を安心して構築することも楽しむことも出来るだろう。

 次回はプライバシーを出来るだけ安全にシェアする方法について書こうと思う。では、安全で楽しいオンライン・ライフを!

この記事の寄稿者

インターエージェンシーLLC代表(ワシントン州シアトル)。デジタル媒体におけるブランディングおよびマーケティング・コンサルタント。クライアントは米大手スポーツ・ブランドや玩具メーカーから、スタートアップ、非営利団体などと幅広く、緻密なデータ分析から導き出すクリエイティブなネットマーケティングのコンサルテーションには定評がある。シアトルのグランジミュージック・シーンを牽引したバンドのベーシストだった過去を持つ。

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