オバマ政権内部で密かに行われていたロシアへの援助活動?

オバマ政権内部で密かに行われていたロシアへの援助活動?


 ブルームバーグ通信が2014年12月31日、当時のオバマ政権とロシアとの関係についての記事を報道した。それによるとオバマ政権は、ウクライナ問題や中東和平などロシアが関わる問題の解決策として、ロシアとの関係改善にむけ何カ月にも渡る話し合いが行われていた。中心となって奔走したのは当時のジョン・ケリー国務長官で、ロシア外相セルゲイ・ラブロフ氏とは何度も会っていた。しかし結局はオバマ前大統領とプーチン大統領の仲の悪さも影響してか、関係は改善されないままに終わった。

出典『ブルームバーグ通信』
元記事「Inside Obama’s Secret Outreach to Russia」
https://www.bloomberg.com/view/articles/2014-12-31/inside-obamas-secret-outreach-to-russia

RED: オバマがロシアと話すのは援助活動で、トランプが話すと共謀と言われる
「When Obama talks to Russia, it’s called outreach, when Trump talks to Russia it’s called collusion」

 これは左翼ご都合主義の格好の実例だ。記事は2014年12月と古いし、政治の話としては大して面白くもないが、ドナルド・トランプ大統領に対するプレス戦争には警告になるだろう。バラク・オバマはロシア政府と会話を持つために当時のジョン・ケリー国務長官のみならず、賢者ヘンリー・キッシンジャーの助けまで借りている。記事ではこう言っている。「ケリーはワシントンとモスクワ間において最後の外交ルートとなるロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と親しい関係にあることから、ロシアとの交渉に当たる主要な役割をしてきた。二人は頻繁に会い、他の関係者がひとりも同席しないことがよくあり、電話でも定期的に話していた。一方、オバマとプーチンはお互い好きではなく、ほとんど口もきかないことはよく知られている」。
 これは驚きだ! ふたりは他の誰もいないところで会っているって? それなのに彼らが何を話していたのか、どうしてわかるのか? それは共謀かもしれない。その取り調べを要求する新聞はどこにいたのだろうか? オバマ大統領に弾劾を迫る政治家はどこだ? もし2014年のオバマ大統領のロシア外交が“アウトリーチ(援助活動)”と呼ばれるなら、ドナルド・トランプの2016年の外交も同じように“アウトリーチ”と考えられるべきだ。共謀はもってのほか、他のどんな呼び方をするのもナンセンスだ。


BLUE:ロシアへの援助活動、オバマの躊躇
「Inside Obama’s Reluctance to Reach Out to Russia」

 この記事が書かれた2014年に、当時のジョン・ケリー国務長官はロシアがウクライナ分離主義者の武装援助を止め、ミンクス合意で知られる和平協定に従うように説得するため、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相に頻繁に会った。これらの会談は、それまでの国家安全保障会議と国務省、国防総省、他の機関からの当局者の間で何カ月にも渡る話し合いが行われた“後”のことだ。この記事の内容は秘密とは言い難い。当局者の何人かは、ロシアと協力して両国間の緊張を和らげる方が、制裁を行なって緊張を強めるよりも得るものは多いと考えた。しかし、オバマ前大統領はロシアと親しい関係を築き上げることに熱心ではなかった。彼の注意深さが正当化されるのか逆効果だったのかは、歴史研究家の判断を待つところだが、オバマ前大統領がプーチン大統領を好きではなく、ロシアと友好関係を結ぶ提唱者にはとてもなれなかったという事実は残る。
 2016年にロシア政府が米大統領選においてトランプ現大統領に有利に働くよう干渉したことについては明確な証拠がある。またこの間に、トランプの選挙運動陣営が秘密裏にロシアと交渉していた証拠もある。調査は現在トランプ陣営とロシアとの関係に広がっており、その続行は合理的なだけでなく倫理的にも必要だ。オバマ前大統領時代の政治的な援助活動(アウトリーチ)について今わざわざ取り上げるのは、現トランプ政権下のホワイトハウスが直面している深刻な問題への妨げ以外の何ものでもないだろう。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

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