アメリカでの目的と最終ゴールは?

アメリカでの目的と最終ゴールは?


「アメリカンドリーム」。この国を目指す者にとっては誰しも憧れの思いを胸にしながら、一度はこの言葉を耳にしたことがあるだろう。かくいう私も、かつてはこの言葉に胸にアメリカに渡った一人だ。そんな日本人である私が本格的にアメリカでビジネスを登記した時、最初に移民弁護士に言われた言葉がある。それは「What is your purpose ? What is your final goal?」であった。

 「成功したい!」と私は軽く答えた。この時のことを今でも昨日のことのように覚えている。私は欧州に根を張り、海外と長い間ビジネスを展開していたし、そんな背景もあって様々な事業を通じてアメリカ人とのビジネス経験があったので、こう回答した時点ですでに「アメリカ人のマインド」というものをある程度心得ていた。アメリカ人は「謙遜」や、自らを「卑下」するような遠慮した回答はしない。多くの人が私同様、「成功したい!」という言葉を使って、さらりと意思表示をするだろう。

 なぜアメリカ人はそこまで最初に言い切れるのか。そこにあるものこそが、この国で生き抜くためには必須となる「ポジティブさ」だ。今どんな状況なのかは関係ない。これからどうなりたいかという問いにポジティブに答えられなければ、その時点でこの国では「おしまい」なのだ。

 私は日本人クライアントの方とお話しする際に、毎回最初の席で「あなたの目的は何ですか」ということを投げかけるようにしている。「このリサーチの目的はなんですか?」、「どうしたいですか?」、「どのような結果が欲しいですか?」――これらの質問にどう回答するかを、まずは確認させていただくのだ。

 そこで残念だと思うのは、やはりほとんどの日本企業が謙遜気味という点だ。「様子をみて、相手がよければ」、「とりあえずやる」などと、とても曖昧。本当は素晴らしい目的があって、シンプルなゴールイメージも浮かんでいることも多いのに、日本人はアメリカ人のようには、シンプルに目的や、ビジネスのゴールを語れない。

 日本とアメリカには大きな文化の違いがある。それは今さら言うまでもないだろうし、どちらが良い、悪いの問題でもない。しかし日本人がアメリカでビジネス展開するためには、「どうやって文化的な違いを理解し、アジャストメントするか」は大切だ。簡単に見えるようなことでも、日本では考えられないほどの長いプロセスが必要となることもある。あまりに複雑すぎて、アメリカ人でさえ頭を抱えたり、胃潰瘍になったりする場合もある。アメリカ人でさえ企業の立ち上げをするのに容易でない国で、小さな島国の日本人がビジネスをやろうとするなら、相当の意識改革が必須なのだ。

 また、アメリカには年功序列の文化もないし、男女は平等だ。日本的な縦社会は存在しない。自尊心が高い国民性で、かつアメリカ人はとてもシンプルである。結果をすぐ求めるアメリカ人にあるものは、Yesか Noだ。本音と建前を大事にする日本文化は一旦忘れ、結果を求める姿勢に変える必要もある。そして最初に、議論の「目的」やあなたの「要望」をアメリカ人に示すことだ。これがなければ、アメリカ人を納得させる交渉は出来ないだろう。このような姿勢があってはじめて、アメリカ人は相手を認める。

 私も最初は様々な日米間の違いを理解しきれずに、痛い思いをたくさんした。欧米人とのやり取りに「慣れているつもり」でいたのに、失敗もした。この連載ではそんな有益な失敗談も共有し、皆さんと共にアメリカでの「成功」を目指していきたいと思っている。

この記事の寄稿者

 ファッション、美容を中心に、日本とヨーロッパで長年輸出入ビジネスを展開。2008年、リーマンショック直前に日本の拠点としていた輸入会社を大手アパレル企業、株式会社ベイクルーズに売却、翌年2009年よりアメリカで本格的な事業展開をスタートし、ハワイ州にビジネスを登記。その後カリフォルニア州ロスアンゼルスにFundsmedia incを設立した。日米双方に向けての商品開発や販売、マーケティング、コンサルテーション、プロモーション、ライセンス契約エージェント業務など、幅広いサービスを提供。特にビューティー、フードビジネスエリアに関するサービスには定評がある。日欧米というグローバルな土壌で培った長い事業経験と、常に新しい視点でリサーチを重ねたビジネス案、ヒット予測を元に、現在新商品開発にも力を入れている。アメリカでビジネス展開を希望する、日本の個人、企業パートナーも募集中。

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