謙遜は美徳にならず!

謙遜は美徳にならず!


 日本社会において「美徳」とされるもののひとつに「謙遜」があると思う。一歩下がって相手をたてることや、自分の主張を抑えて控えめにすることは、日本社会で生きていくためのマナーのひとつであり、ビジネス上でもある程度必須となる配慮だろう。しかし、アメリカで起業したり、勝負をしたいのであれば、この美徳は一旦忘れたほうがいい。なぜなら、アメリカ人には自己評価が高いという国民性があり、日本人とは決定的な違いがあるからだ。

 日本人とのビジネス経験があり、日本人をよく知るアメリカ人の多くは、「日本人は謙遜しすぎだ」と言う。あるアメリカ人が、日本人の取引相手をテニスに誘った時の話をしてくれたことがある。その人は「朝食兼テニス・ミーティング」に日本人の取引相手を誘った。それは、彼がその日本人に「テニスの腕前はどうか?」と聞いたら、「普通のレベル。趣味で家族テニスを楽しむ程度」と答えたからで、それなら自分と同じ程度なので両者が楽しめるはずと思ったからだった。ところが、いざ試合をしてみると、その日本人のテニスの腕前は達人並みで、誘った方は面喰ってしまったと言う。アメリカでは彼の腕前ならば「僕はプロ並みだよ」と、ためらいなく言ってもまったくおかしくないのだが、それを言わない国民性を持つのが日本人だ。

 逆に、多くのアメリカ人は、それほどの腕前でなくても平気な顔つきで「私はプロ並み!」だと自信満々に言ってしまう。テニスならまだいいが、仕事でもそれを言うため、頭が痛いこともある。私がアメリカ人を雇用する際に、いつも感じることは、面接時と実際のパフォーマンスのギャップが大きいことだ。面接のときには素晴らしいほどいろいろと自分のことを語り、能力があるよう振る舞うのに、いざ働き出すとまったく使えない人材が多い。オーバートークと自己主張、これがアメリカ人の基本なのだと思う。

 日本人はもっと自信を持った方がいい。日本で教育を受けた優秀で常識もある人材は、アメリカではアメリカ人の上を行く、かなりの優秀な人材として働いる事例は多いからだ。実際に私の知人や取引先でも、銀行や一流企業、シリコンバレーなどのトップをいくアメリカの企業で日本人が役員として雇用されている。アメリカ流を少し学び、その流儀を理解できれば、資質のある日本人は鬼に金棒だ。日本である程度の実績や学歴とモラルのある人間性であれば、誰もがアメリカでトップに立てる可能性がある。それほどまでに、日本人はクオリティーの高いのである。

 自信とともに必要なこと、それはやはり英語力である。これからアメリカに住みたい方、あるいは将来アメリカでの起業をお考えの方は、英語を完璧に使いこなすことが出来るのであれば、日本で培った経験を武器に、必ずやインターナショナルに通用するポジションが約束されると考えても言い過ぎではないだろう。だからこそ、英語が得意と思っていらっしゃる方であっても、英語はずっと学び続けて欲しいと思う。私の19年間に及ぶ欧米のビジネスシーンで会った人や経験から言わせてもらうと、とにかく日本人ほど世界で優秀な人はいない。コミュニケーションの手段である英語力で足を引っ張られるのは、あまりに勿体ない話だ。

 英語のスキルは個人差があるだろうが、あなたがネイティブ・スピーカーでない限り、移住した後であっても個人で家庭教師などをつけて、継続的に英語を学ぶことは時に重要だろうし、日常生活を通じ、時間をかけて文化やボキャブラリーなどを常に構築し続ける努力は必須だろう。そこまで自分自身に対し、時間とお金を投資できた人間は、必ず自分自身に大きな価値をつけ、活躍できるはずだ。円安で多くの日本企業がアメリカを目指し、ゴールドラッシュを夢見るこの地には可能性のある市場がたくさん存在する。今からでも遅くはない。英語とアメリカナイズされた自己表現を磨いていこうではないか。

この記事の寄稿者

 ファッション、美容を中心に、日本とヨーロッパで長年輸出入ビジネスを展開。2008年、リーマンショック直前に日本の拠点としていた輸入会社を大手アパレル企業、株式会社ベイクルーズに売却、翌年2009年よりアメリカで本格的な事業展開をスタートし、ハワイ州にビジネスを登記。その後カリフォルニア州ロスアンゼルスにFundsmedia incを設立した。日米双方に向けての商品開発や販売、マーケティング、コンサルテーション、プロモーション、ライセンス契約エージェント業務など、幅広いサービスを提供。特にビューティー、フードビジネスエリアに関するサービスには定評がある。日欧米というグローバルな土壌で培った長い事業経験と、常に新しい視点でリサーチを重ねたビジネス案、ヒット予測を元に、現在新商品開発にも力を入れている。アメリカでビジネス展開を希望する、日本の個人、企業パートナーも募集中。

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