気取らないのがカッコイイ! シリコンバレーのライフスタイル

気取らないのがカッコイイ! シリコンバレーのライフスタイル


前回の記事で「シリコンバレーは超カジュアル」という話に少し触れたが、今回はシリコンバレーの人たちのライフスタイルについて触れていきたい。

 当サイトで連載をされている竜氏の記事にもあるが、私の住むシリコンバレーの人の平均年俸は1,500万円 に近く、ミリオネア(億円単位の資産を持つ人)と呼ばれる人も普通にごろごろいる。ここではビリオネア(10億円単位の資産を持つ人)でないと、お金持ちとは呼ばれない。

 勤務先の企業が大きく成長したことで大きな株収入を得る者、超大手のIT企業に夫婦共働き、投資物件としてアパートメントの建物を持っている人なども多く、世帯収入が高い人が多い。特にエリア的に不動産需要が高く、地価が高騰している昨今では、投資物件保持者であれば家賃収入も右肩傾向にあり、そうした人はビリオネアまでいかずとも、かなり金銭的にゆとりを持っている。しかし、そういう金銭的にゆとりがある人たちが「さすがお金持ち!」と分かるような贅沢な行動をとることが少ないのが、シリコンバレーなのだ。

 “アメリカのお金持ち”と聞くと、豪華な家に住み、贅沢なインテリアに囲まれ、毎日オシャレな高級ブランドの服を着て、セレブリティを招いて夜な夜なパーティーを開く……、というイメージを抱く人が多いだろうが、シリコンバレーの人たちの生活はとてもシンプルだ。見かけだけでお金持ちかどうかを判別するのは、まず不可能である。街を歩いていても、お金持ちそうな風情の人(高級な時計やアクセサリーやブランドバッグを持っている……など)は見かけない。

 Google 、Cisco Systems、Intelなど超大手IT企業の重役レベルが多く住むリッチな住宅地のひとつにLos Altos Hillsと言う場所がある。私にもそこに住んでいる知り合いがいるが、彼はどこに行くにも、旅行先で購入したお土産Tシャツやトレーナーに、Costcoのズボンを履いている。理由は「楽で着心地がいいから」だそうだ。

 身なりに無頓着という点では、会社に出勤する服装がシャレている人もあまりいない。極端な例かもしれないが、つい先日Appleのキャンパスに遊びに行ったとき、ヒゲぼーぼー、髪は伸び放題にヨレヨレのTシャツ・短パン・サンダルという装いの人を見かけた。彼はMac Proを開いて何かをしていたので、恐らく社員なのだと思う。パソコンを持っていなかったら、正直、ホームレスに間違えられてもおかしくないような装いだった。ちなみにAppleの社員たちはチラリとも彼を見ず、普通に通り過ぎていたので、同社ではそれほど珍しい装いではないのだろう。日本では考えられないような服装でも、実力があり、しっかり仕事さえすれば、周囲もそれを特に「気にしない」ということだ。

 そんなシリコンバレーで、最近多くの人たちがこぞってお金をかけているのが環境関連商材だ。ここ数年は、空気を汚さない電気自動車を買ったり、クリーンパワーとなるソーラーパネルを家に取り付ける人が増えている。普通の自動車よりも電気自動車の方が高価だし、ソーラーパネルも高価な割りには大して電気代は安くならないため、これらは贅沢品といえる。また、昨年までカリフォルニア州は水不足だったため、「Brown is the new Green(茶色は新しい名の緑化)」というスローガンを掲げて節水に励んだが、それに協力するため、緑の芝生の代替として庭に乾燥に強い植物を植え替えたり、石を使ったロックガーデンを改造する人たちも多かった。シリコンバレーの人々は、こういうことにお金を使うことにおいては、極めて積極的だと言える。つまり、お金に余裕があっても、家や自分自身を豪華に飾り立てるのではなく、環境に配慮したものにお金を費やすことが、シリコンバレーでは「粋」なのだ。

 シリコンバレーの人たちは、とにかく見栄を張らない。むしろ、見栄を張らないことこそがカッコいい。見栄を張らない分、本質を突いた生き方や考え方をしている人が多いように思う。周りを気にしながら生きてきた日本人の私は、当初は面喰うことも多かった。事実、「ザ・シリコンバレー・エンジニア」の本質重視の夫とはよく衝突もした。しかし、この気取らない生活に一度慣れてしまうと、自分らしくいられるので非常に楽と思えるようになった。

 観光でサンフランシスコに来る際は、もう少し足を伸ばして是非この見栄を張らない、自由な雰囲気のシリコンバレーを実際に感じてみて欲しい。カジュアルで、リラックスした雰囲気ながらも世界的に業績を上げ続けている理由を体感すれば、良い意味できっと衝撃を受けるだろう。

この記事の寄稿者

関連する投稿


野菜は近所で調達! ローカル・フード・ムーブメント

野菜は近所で調達! ローカル・フード・ムーブメント

「サステイナブル(持続可能)」は、今日のアメリカの農業を語る上での、ひとつのキーワードだ。サステイナブルな農業にもいろいろな方法があるが、身近でそれを実現させている注目のサイトを紹介しよう。


ミレニアムのテレビは「コード・カッティング」

ミレニアムのテレビは「コード・カッティング」

進化を続けるオンライン事情により、日々豊かに変化していく人々の暮らし。そんな世界で賢く生きる術とは? デジタルマーケティング専門家、ティム・ポールが解説するコラム『オンラインと僕らの生活』。最近はアメリカの一般家庭でも自宅用の電話を引かず、携帯電話だけにする人が増えたが、テレビもまたその流れを追っている。


シリコンバレーの人々を虜にするテスラ(TESLA)の魅力とは?

シリコンバレーの人々を虜にするテスラ(TESLA)の魅力とは?

IT業界の世界的な聖地とも言えるカリフォルニア州のシリコンバレー。この地に在住して10年、元NFLチアリーダーの齋藤佳子がシリコンバレーの見逃せない情報や、地元に飛び交う噂話などをお届けする。今回はシリコンバレーに限らず、世界中から注目されているテスラ(TESLA)が、これほど羨望される理由を紹介しよう。


アース・ウィンド&ファイヤーとの出会い その2

アース・ウィンド&ファイヤーとの出会い その2

アース・ウィンド&ファイヤーや、メアリー・J・ブライジなど、ビッグネームの舞台を支える著者が見た、エンターテインメントの実際とは? 飯塚登志子がお届ける『アメリカのエンタメ業界、そして私の進む道』。今月は著者のアメリカでのキャリアの出発点となったアース・ウィンド&ファイヤーとの仕事が、いかにして始まったかの続編だ。


超豪華なブティックも登場、驚愕のアメリカのマリファナ事情

超豪華なブティックも登場、驚愕のアメリカのマリファナ事情

 日本では非合法だが、アメリカでは国の半数以上の州でマリファナが解禁されている。そのため関連産業も急速に成長し、なかには驚くほど豪華なブティックも登場。その実態を覗いてみよう。






最新の投稿


訳が分からないアメリカの不法移民問題

訳が分からないアメリカの不法移民問題

保守とリベラル派の対立が激化し、「分断された」と言われるアメリカだが、実際には中道派も多く存在する。二つの異なる思想の間で様々な思いを抱く中道派の視点で、グッドイヤー・ジュンコが「アメリカ」を語る。1,100万人以上とされるアメリカの不法移民。トランプ政権発足後、取り締まりが強化されているが……。


権利意識が社会を変える:アメリカ女子アイスホッケー(前編)

権利意識が社会を変える:アメリカ女子アイスホッケー(前編)

アイスホッケーの在米コーチである著者が、アメリカのプロスポーツ・ビジネスの構造や考え方、ユース・スポーツの育成、アプローチ方法などを情報満載でお届けする、若林弘紀のコラム『スポーツで知るアメリカ』。平昌オリンピックの開幕まで、あと約1カ月。今回は注目の女子アイスホッケーで、なぜ北米が優位なのかを解説する。


【Red vs Blue】サンフランシスコの慰安婦像 大阪市長が姉妹都市提携の解消を表明

【Red vs Blue】サンフランシスコの慰安婦像 大阪市長が姉妹都市提携の解消を表明

米二大政党、共和党と民主党。保守派共和党の公式カラーは赤、リベラル派民主党は青。アメリカの分断は両者の意見が大きく異なるためだ。当連載ではアメリカで報道された記事に各派のアメリカ人が各々見解を披露する。今回はサンフランシスコ市が設置した「慰安婦像」と大阪市の言い分について、保守派とリベラル派が市民目線で見解を述べる。


野菜は近所で調達! ローカル・フード・ムーブメント

野菜は近所で調達! ローカル・フード・ムーブメント

「サステイナブル(持続可能)」は、今日のアメリカの農業を語る上での、ひとつのキーワードだ。サステイナブルな農業にもいろいろな方法があるが、身近でそれを実現させている注目のサイトを紹介しよう。


トランプ大統領は現代のロビン・フッドだ

トランプ大統領は現代のロビン・フッドだ

多様なアメリカでは、暮らす地域によってすべてが異なる。テキサス州に暮らすイスラム教徒の著者が、アメリカ国内でも報道されない保守の声をお届け。トランプ支持がなぜ悪い? 西森マリーの「アメリカ保守派の考え方」。先日、新税制改革法を通したばかりのトランプ大統領。彼こそが「現代のロビン・フッド」だと評価する保守派の考え方とは?


アクセスランキング


>>総合人気ランキング