共和党議員らを銃撃した犯人のポケットに暗殺リスト

共和党議員らを銃撃した犯人のポケットに暗殺リスト


 首都ワシントン近郊バージニア州アレクサンドリアで6月14日朝、共和党議員たちが恒例の野球大会に備えて練習中、ジェイムズ・ホジキンソン容疑者(66)が下院ナンバー3のスティーブ・スカリス下院院内幹事をはじめ、他の議員や警官ら4人を銃撃した。スカリス幹事は重体、他の4人は重軽症を負った。犯人はその場で射殺された。
 射殺されたホジキンソン容疑者の着ていた服のポケットから、共和党保守強硬派(House Freedom Caucus)の6人の議員の名前が記載されたリストが見つかったため、暗殺の計画が疑われたが、後日、FBIにより暗殺リストではないことが発表された。ホジキンソン容疑者のソーシャルメディアには、トランプ大統領と共和党を批判する過激な言葉が羅列されており、容疑者の所属する反共和党のフェイスブック・グループのひとつ “共和党を破壊せよ”では、事件後にメンバーが今回の共和党議員襲撃を歓迎するコメントを載せている。同容疑者は「金持ちは税金を十分に払っていない」、「人生に不平は言わないが、共和党の政策は最悪だ」などと苦情を述べた手紙をそれぞれ地元の新聞社に送っている。
 昨年の大統領予備選ではバーニー・サンダース議員を支援し、選挙活動のボランティアもしていた。サンダース議員は事件発生当日、「我々の社会において、暴力はどんな形であろうと許されるものではない。私はこの行動を最も強い言葉で非難する」と声明を述べた。
 ホワイトハウスのケリーアン・コンウェイ大統領顧問は、「容疑者は野球や美しい6月の朝が嫌いだったわけではなく、ただ共和党を憎んでいた」とコメントした。

 事件の背景が明らかになるにつれ、保守とリベラルの攻撃合戦が激しくなる中、RedとBlueの意見はいかに?

出典『デイリー・コーラー』ニュースサイト
元記事「Assassination List Found on James Hodgkinson’s Body」:http://dailycaller.com/2017/06/16/exclusive-assassination-list-found-on-james-hodgkinsons-body/

RED: おめでとう左翼主義者、君たちは最初のテロリストを生み出した
「Congratulations American Leftists: You have produced your first terrorist.」

 堕落したアメリカ人左翼主義者と社会正義運動家にとって、彼らが生み出した最初のテロリストの仕事は誇らしいに違いない。死亡した警官への苦情と要求、共和党はみんなナチだという非難の果てに、ついに誰かがインスピレーションを受けて腰抜けの左翼連中に代わって行動を起こしたのだ。バンザイ、血の喝采だ。いや、たぶんこれは大げさ過ぎるか。
 振り返ってみよう。ドナルド・トランプが大統領に就任する直前の1月14日、マーティン・オマレイ前メリーランド州知事はツイッターに、「今は和解の時ではない。ディートリッヒ・ボンヘッファー(ヒトラー暗殺を企てた神学者)はナチと和解などしなかった。マーティン・ルーサー・キング牧師はKKKと和解などしなかった。今こそ、戦う時だ」と投稿した理由を。
 この無謀で大バカな民主党支持の心を掴んだのは誰か?共和党のナンバー2と何人かの共和党員を暗殺しようと思いつかせたヤツが大勢いる。これに似たコメントは数え切れないほどある。例えば私の記憶に残る強烈なものでは、テレビのコメンテーター、クリス・マシューがドナルド・トランプの就任式の演説について断言した「これは背景に人種差別的−−−いや、それよりもヒトラーかナチス政権を連想させる」という発言だ。
 聞きたまえ、左翼主義者の愚か者たち。アドルフ・ヒトラーはドイツの全国社会主義独裁者で、1934年から1945年の間に600万人ものユダヤ人を起訴し殺害した責任者であり、5,000万人もの人々の命が失われることになった全ヨーロッパ、ユーラシア、アジア、北アメリカを巻き込んだ世界戦争を引き起こした張本人だ。ナチスと誰かを比べる前に、本当にそれに相当するかを吟味すべきだ。誰かが言ったこと、あるいは信じていることが気に入らないにしても、今は利己的な左翼主義を乗り越えて、すべてのアメリカ人が自分に賛成するとは限らないことを認める時だ。


BLUE:行動は言葉よりも雄弁だ
「Actions Speak Louder than Words」

 この銃撃について共和党が憤るのは当然だ。悲しみと怒りで、誰かを責めたくなるのは理解できる。ただ、彼らが忘れているのは、リベラル派も同じように憤っているということだ。我々だって誰も撃たれて欲しくはない。
 野球場での銃撃の後、ホワイトハウスのアドバイザー、ケリーアン・コンウェイは、リベラル派は共和党が「大嫌いだ」とし、銃撃した容疑者が属する反共和党のフェイスブック・グループについて言及し、あたかもすべてのリベラル派に責任があるかのようにコメントしている。はっきりさせておこう。どちらの側にも、ばかばかしいほど怒っているフェイスブック・グループがあるし、トランプ自身も大統領選の際に、「誰かがヒラリー・クリントンを撃っても構わない」と冗談を言ったことがあるのを忘れてはいけない。しかし、たとえリベラル派だけが他党派に対して悪態をついているのだとしても(このコラムの読者は、それはあり得ないことを知っているはずだが)、この銃撃事件を「アメリカ人をさらに分断させる道具に使う」のは利己的であり、間違っている。さらに言えば、コンウェイのように公務員の立場でありながら、自分の所属する党員のみが尊敬に値するかのように振る舞うのは、もっと悪い。
 こうした時に人々をひとつにつなぐのがリーダーの役割だ。私たちは恐れと怒りが我々を分断しようとしている時に、国家をまとめるリーダーを必要とする。しかし、リーダーが国民の半分を非難するとしたら、そのリーダーは自分の給料は国民が払っていることを忘れているということだ。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

この記事の寄稿者

「市民の声」を分かりやすくお届けする公式企画。分断が進むアメリカで、対立する思想を持つ市民はひとつのニュースをどう読むのか?
 対立する思想を持つ市民たちによって深まるアメリカの「分断」。アメリカには二大政党の共和党(保守)と民主党(リベラル)があるが、それぞれの政党支持者は、どれだけ考え方が異なるのだろう?人口で見ると保守派、リベラル派の比率は約半々で、両者のものの考え方は、水と油ほど異なると言われている。日本からはあまり分からない「普通」のアメリカ人たちの思想の傾向。
 この連載では保守派共和党の公式カラーである赤、リベラル派民主党の青をタイトルに、アメリカ国内で報道された「ひとつの記事」に対して、保守派(赤)とリベラル派(青)のアメリカ人がそれぞれのどんな見解を示すかを対比するBizseedsイチオシの連載・特別企画!

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