呼吸を止めないことが、すべての始まり

呼吸を止めないことが、すべての始まり


 当たり前のことのように聞こえるかもしれないが、生きている以上「呼吸」は重要だ。しかし、呼吸が生理的機能で、あまりに「当たり前」のことであるがゆえ、その重要さを常に意識できる人は少ないだろう。

 ペンタゴンには「呼吸を制するものは、人生を制する」という言葉がある。この言葉が示すこと、それは「常に良質の呼吸を意識する」ということの重要性だ。人は緊張をすればするほど、呼吸が浅くなる。しかし呼吸が浅くなると心身は健康な状態には決してならない。なぜなら人は、呼吸によって体をメンテナンスするからだ。体内から二酸化炭素を排出するためには、呼吸は必要不可欠。実に体内毒素の70%は呼吸によって排出されるのだから、それがどれだけ大切なことか、すぐに想像はつくだろう。しかし、現代人は総じて忙しく、ストレスフルな生活を送っているために、呼吸が浅い。酷い場合になると、緊張して何かに集中しているとき、息を止めてしまうという人も少なくない。これは大変危険なことだ。

 成人男女の1分間あたりの平均呼吸数は12回から16回と言われている。しかし、これでは肺容量全体の20%しか使っていることにならず、十分な酸素の循環ができない。つまりメンテナンス不全状態になってしまう。正しい呼吸ができないことの弊害は、体の浄化への影響だけでなく、血圧や心拍数の正常化などにも及ぶとされる。また、深い呼吸をしない現代人は疲労回復力が鈍いとも言われており、浅い呼吸は体にとって良いことがひとつもない。

 これに対し、理想的な呼吸は1分間に8回から10回で、鼻から吸って口から吐くとのが、ペンタゴンでの基本呼吸法だ。鼻から息を吸う理由は、体に毒を入れにくくするため。鼻の粘膜には繊毛と呼ばれる無数の細かい毛が生えているが、鼻から息をすることで、この繊毛がウイルスや細菌、埃などの異物が体内に侵入するのを防ぐのだ。

 こうした基本呼吸をペンタゴンが徹底させる理由は、兵士の心身の健全を保つためである。特に戦場という緊迫した現場で戦う必要のある兵士たちにとっては、正しい呼吸で自分を整え、自分の体を正しく機能させることは、すべての基本となる。たかが呼吸、されど呼吸。決して侮るべきではない。毎日朝、昼、晩の3回でよいので、肩の力を抜き、リラックスした姿勢で、深く質のよい呼吸に意識を傾けてみてほしい。人間が心身ともに健康で、完全に機能するための基本は正しい呼吸こそが、すべての始まりなのだ。

この記事の寄稿者

現役米国国防総省キャリア、サイバーセキュリティ・スペシャリスト。University of Washington卒。米空軍在軍中に、米国軍 事大学院で修士課程修了。その直後に 国防総省国防情報システム局入局。情報部隊のエキスパートとして、国防総省でも保有率わずか1%というサイバーテロスペシャリストのライセンスを取得。現在は国防総省、軍に籍を置きつつ、民間企業「ディフェンス・ディベロップメント・コンセプト社」をベースに、米、カナダ等でセミナー、コンサルティ ングなども行っている。日本、台湾等で書籍を出版した経験も。空軍での階級は少佐。

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