「ホワイトハウスはメディアに緊張を焚き付けている」とレポーターが抗議

「ホワイトハウスはメディアに緊張を焚き付けている」とレポーターが抗議


 先月27日、ホワイトハウスの記者会見室でプレイボーイ誌のブライアン・カレム記者が、サラ・ハッカビー・サンダース報道官に対して「あなたはメディアに緊張を焚き付けている」と抗議した。
 その前日にCNNがロシアと大統領上級顧問との関係疑惑の記事を撤回した件に関して「トランプ大統領は謝罪を受け入れるのか」との記者からの質問に対し、サンダース副報道官が「メディアは正しい情報を報道するよう注意深くなくてはならない。しかし毎日、情報源のわからない匿名の情報を載せ続けている」と回答したところ、プレイボーイ誌の同記者が、「あなたの今の言い方は、ここにいる我々全員を怒らせ、緊張を焚き付けている。我々は自分たちのなすべき仕事をしているだけだ」と抗議した。サンダース報道官はそれに反論し、結局トランプ大統領が「謝罪を受け入れるかどうか」についての答えはなかった。
 ホワイトハウスは最近、記者会見中のテレビ放送を禁止しており、この日は久しぶりにテレビ公開がされた日だった。緊張関係が高まり続けるホワイトハウスとメディアに対するRedとBlueの意見は?

出典『The Hill』
元記事「Reporter accuses White House of 'inflaming' media tensions in heated exchange」:
http://thehill.com/blogs/blog-briefing-room/news-other-administration/339708-reporter-accuses-white-house-of-inflaming

RED: ホワイトハウスにプレイボーイの記者とは笑わせる
「Playboy Reporter at the Whitehouse--What a joke」

 やれやれ、またアメリカのジャーナリズムの低俗さが伺える記事だ。プレイボーイ誌(最近まで裸の女性の写真を満載していた)が、今ではホワイトハウスの記者会見にレポーターを送っている。超センシティブなレポーターのカレム氏は、ホワイトハウスのサンダース報道官が、トランプ大統領は最近のロシアに関連する記事についてCNNからの謝罪を受け入れたか否かの返答を拒絶したことを怒って抗議した。信じられないことに、カレム氏はサンダース報道官が記者団の緊張を焚き付けていると非難している。これはもちろん、2017年1月の就任式からずっと続くトランプ大統領についての大量なネガティブ記事を考えると、とんでもない主張だ。
 
 ハーバード大学ケネディー校の報道・政治・公共政策に関するショーレンスタイン・センターの調査によると、ドナルド・トランプの就任から100日間の記事の80%はネガティブなものだという。調査の対象には、ニューヨーク・タイムス紙、ウォール・ストリートジャーナル紙、ワシントンポスト紙、ファイナンシャルタイムス紙、CBS、CNN、Fox News、NBC、BBC、ドイツの放送局グループの報道機関が含まれる。同じ調査におけるバラク・オバマ前大統領の最初の100日間に出されたネガティブ報道41%と比べると、対象的だ。

 これではっきりわかるではないか。メディアに緊張を焚き付けているのはドナルド・トランプではなく、メディアだ。CNNは ウソの報道に気が付いた。トランプ大統領が彼らの謝罪を受け入れることを躊躇しているのに驚いているとは、冗談だとしか言えない。

 メディアはもっと大人になって、自分達が信頼性において重要な局面に立たされていることに気が付くべきだ。そして、自分達のイメージの悪さについて他人を非難するのは止めるがいい。


BLUE:「フェイクニュース」の話は、まったく正気ではない
「The 'Fake News' Narrative Is Completely Insane」

 トランプ大統領のメディア攻撃は、想像力の欠落による悲劇から起きる「心の狭い子供っぽい仕返し」であり、アメリカの半数以上を占める国民は、世界の目にアメリカがどのように写っているのか考えるだけで恥ずかしく思っているはずだ。

 それだけでも十分よくないが、トランプ政権は、ことメディアに関しては単に心が狭いだけではなく、アメリカ人が読む情報の内容と、アクセスできるものとをコントロールしようとしていることが明確になってきた。

 アメリカ人にとって何が一番よいことなのかについて取り組むとか、良い仕事をして誇りを持ってメディアに結果を伝えるのではなく、トランプとその仲間たちは、内緒で仕事を進め、何に対しても批判は受け入れず、誰よりも子供っぽく振る舞うことを好み、自分たちの行動に異議が唱えられると噛み付く。

 トランプはツイッターを使うことについて、「フェイクニュースを回避して直接、市民に届ける」と言っている。つまり彼のツイッターは、アメリカの国民に対して、「自分こそが唯一信頼できる声であり、自分の考えには誰も疑問を挟むべきではない」と言っているのだ。彼は、自分のそうした態度こそがメディアの関心を惹きつけることを理解できていない子供なのだ。トランプのツイッターの幼稚な言葉を借りると、「Sad! (実に悲しい!)」。

記事トピックスは、過去のメジャーな事件やニュースも含みます。

寄稿者

ジム・スミス(Jim Smith)農場経営者  
 1965年生まれ。アラバマの伝統的な保守派の両親のもとで生まれ育った影響から、自身も根っからの保守支持に。高校卒業後、アメリカ陸軍に入隊。特殊部隊に所属し8年軍に従事するも、怪我が原因で除隊。その後テキサス州オースティンの大学で農経営学を学び、現在は同州アマリロ近郊で牧畜を中心とする多角的な農場を営んでいる。地元の消防団に所属し、ボランティアの消防隊員としても活動するなど、社会奉仕活動多数。妻と子供3人の家族5人暮らし。

ポール・クラーク(Paul Clark)データ分析コンサルタント
 1972年、オレゴン州のリベラルな街に生まれ、両親も親戚も学友も周囲は皆リベラルという環境で育つ。カリフォルニアのベイエリアにある大学へ進学し、英文学とコンピューターサイエンスを専攻。卒業後はベイエリアの複数の企業に勤務し、各種のデータ分析業務に従事。現在は家族と共にオレゴン州に在住。趣味はサッカーとクラフト・ビール造り。

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